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茨城県内水面の放射能汚染状況 [放射能汚染]

3月30日に環境省より、茨城県内の公共用水域における放射性物質モニタリング結果が発表されました。その結果はこのブログでも記したことがありますが、それ以降の継続調査結果がなかなか発表されませんでした。確か継続調査をやるとの事だったけど、本当にやってるのかな?とさえ思えました。

そして8月10日、ようやく環境省から継続調査の結果が発表になりました。前回の調査結果では相当汚染状況が深刻な地点も多数あったにも関わらず4ヶ月以上も空いてしまうのか、と思いますが、ひとまず簡単に結果を紹介します。
セシウム134と137の合計値、単位は全て(bq/kg:乾泥)


■ 底質モニタリング調査結果

【北浦水系】調査日:6/6~6/7 湖心6/27

鉾田川 270
巴川 220
大洋川 108
武田川 152
山田川 390
蔵川 239
雁通川 260
流川 830
釜谷沖 510
神宮橋 106
外浪逆浦 110
息栖 168


【霞ヶ浦水系】 5/29~6/7 湖心6/27

園部川 260
山王川 1550
恋瀬川 830
梶無川 42
菱木川 860
一の瀬川 950
境川 780
新川 900
桜川 62
備前川 4800
花室川 1280
清明川 2130
小野川 620
新利根川 330
夜越川 310
前川 580
玉造沖 228
掛馬沖 610
湖心 178
麻生沖 183


2月下旬の調査では新川が4400bq/kg、清明川が6800bq/kgでしたので、だいぶ下がったとは言えます。しかし依然として備前川のように突出して数値の高い場所があるのが気掛かりです(因みに、居住制限区域とされている福島県飯舘村を流れる新田川で3300bq/kgです)。

【牛久沼水系】 6/4 湖心6/19

谷田川 1800
西谷田川 1000
稲荷川 1610
湖心 1090


【利根川】 5/31~6/22

栗橋 52
布川 320
佐原 202


■ 周辺環境モニタリング結果(河川敷の土質調査)

【北浦水系】調査日:6/6~6/7

鉾田川 計測不可
巴川 720
大洋川 810
武田川 1060
山田川 850
蔵川 2320
雁通川 1120
流川 計測不可
釜谷沖 710
神宮橋 340
外浪逆浦 247
息栖 440


【霞ヶ浦水系】 5/29~6/7

園部川 1110
山王川 800
恋瀬川 2250
梶無川 330
菱木川 530
一の瀬川 420
境川 470
新川 1000
桜川 188
備前川 630
花室川 720
清明川 920
小野川 1380
新利根川 2800
夜越川 450
前川 154
玉造沖 71
掛馬沖 720
湖心 -
麻生沖 244


2月下旬の調査段階では新川が1990bq/kg、清明川が1950bq/kgという数値でしたので、だいぶ下がったとは言えます。ここにきて新利根川の数値が一番高くなってしまっているのは気になるところです。

【牛久沼水系】 6/4 湖心6/19

谷田川 1100
西谷田川 460
稲荷川 2230
湖心 480


2月下旬の検査結果では稲荷川9400bq/kgでしたのでだいぶ下がったとは言えます。まだまだ高い数値ですが。

【利根川】 5/31~6/22

栗橋 250
布川 760
佐原 1210


数値の捉え方は人それぞれなのであえて私が言及するところではありませんが、個人的な感想としては数値が下がっているところが多く少しホッとしているというのが正直なところです。もしかしたら前回調査時よりも更に数値が上昇していたら・・・と心配していました。とはいえ、まだまだ高い数値のところがあります。楽観できない状況ですが、現実から目を背けることなく経緯を見守りたいところです。

それにしてもこの調査、結果報告はこれで3回目なのですが、もう少し頻度を上げられないものなのかな。

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魚類の放射能汚染は今 [放射能汚染]

現在、魚の放射性物質汚染はどのような状態になっているのでしょうか。水産庁より、8月9日時点での、最新の調査結果が発表されました。4月以降の発表値と併せ、数値の推移を追っていくと以下のようになりました。

【スズキ 東京湾(千葉県)】

4/11 5.3bq/kg
4/12 7.9
4/16 7.9
4/18 7.2
5/1 6.7
5/17 5.5
6/8 5.5
6/13 5.6
6/18 検出値未満
6/28 4.1
7/2 3.9
7/9 53
7/17 2.7
7/23 3.3
7/30 2.5
8/6 5.7
8/8 3.6


高濃度の放射能汚染が指摘されている東京湾ですが、魚類に関しては今のところ低い数値となっています。が、7月9日の検査結果だけが突出して高いのです。つまり、全てのスズキが低い数値というわけではなく、中には数値の高い個体が存在するということを証明する結果となっています。

シーバスには、回遊する魚もいれば居着きの魚もいます。場所によって食性が異なる可能性もあり得る。7月9日の検査個体は一体どんな行動パターンの魚だったのか興味深いところです。

【アメリカナマズ 霞ヶ浦】

4/4 180
4/17 160
4/19 150
4/20 210
4/27 120
5/7 170
5/11 140
5/18 110
5/29 180
6/5 190
6/8 320
6/19 92
6/27 160
7/4 120
7/31 200


霞ヶ浦水系において最も汚染度の高い魚がアメリカナマズです。数値は今のところ収束する気配がありません。
私はアメリカナマズの増加がバスの個体数の減少をもたらしている一因であると考えているので、アメリカナマズは減って欲しいと願っていますが、これを陸上に投棄する行為は良くないと思っています。これをすると、アメリカナマズの死骸を食する鳥、猫、蝿などにセシウムが移行します。水中から陸上へ、より人間界に近いところに移行することに抵抗を感じるのです。


【オオクチバス 芦ノ湖】

5/25 97
5/31 100
6/18 94
6/29 100
7/6 98


【ブラウン 中禅寺湖】

4/20 160
5/25 250
6/26 220
7/20 160


【ヒメマス 中禅寺湖】

4/20 170
5/25 180
6/26 150
7/20 170


【ニジマス 中禅寺湖】

4/20 150
5/25 59
7/20 98


いずれも閉鎖水域の湖の魚です。ニジマスなどは数値が前後していますが、これは放流後の経過時間にも左右されるのであまりアテにはならないかもしれません。しかしいずれも、数値が収束する様子は伺えません。

まだまだ収束しそうもない魚類の放射能汚染。特に閉鎖水域においてはその収束が困難であることが徐々に浮き彫りになってきている気がしてなりません。

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500 -> 100・14 [放射能汚染]

7月2日、環境省より放射性物質モニタリング結果の新たな発表がありました。水生生物の放射性物質を計測したモニタリング調査結果です。http://www.env.go.jp/jishin/monitoring/result_ao120702.pdf(PDFファイル)

これまでのモニタリング調査結果というのは主に食品として流通される可能性があるものでした。しかし、それ以外の自然界の環境汚染に関してはほぼ手付かずだったと言えます。

今回は福島県内のとりわけ、内水面水域の粗粒状有機物(主として落ち葉など)、水生昆虫(カワゲラ、トビケラ等)、甲殻類(エビなど)、魚類(食品としての対象外)が調査対象に含まれています。

【阿武隈川A地点】
粗粒状有機物:920bq/kg
水生昆虫:340bq/kg
ミナミヌマエビ:156bq/kg
フクドジョウ:61bq/kg
カワムツ:147bq/kg
アブラハヤ:171bq/kg


【阿武隈川B地点】
粗粒状有機物:1120bq/kg
水生昆虫:330bq/kg
コイ:155bq/kg
ニゴイ:350bq/kg
コクチバス:680bq/kg


【真野川】
粗粒状有機物:1140bq/kg
水生昆虫:670bq/kg
シマヨシノボリ:2600bq/kg
コイ:190bq/kg
ゲンゴロウブナ:500bq/kg
オイカワ:680bq/kg


【秋元湖】
ウチダザリガニ:180bq/kg
ニゴイ:173bq/kg
ギンブナ:178bq/kg
ウグイ:167bq/kg
コクチバス:450bq/kg
オオクチバス:470bq/kg
ワカサギ:290bq/kg
イワナ:330bq/kg
サクラマス:510bq/kg


【真野ダム】
粗粒状有機物:800bq/kg
水生昆虫:520bq/kg
カワヨシノボリ:660bq/kg
ウグイ:1010bq/kg
オオクチバス:790bq/kg
ニジマス:197bq/kg
ヤマメ:91bq/kg


いずれの場所においても、落ち葉の汚染が酷い。当然の事ながら、昆虫も汚染されていた。魚類では、フィッシュイーター系の魚が高いと思いがちですが、生態系の下層に位置するはずのヨシノボリ類の汚染が酷いことがわかります。常時底付近を徘徊している魚だからでしょう。

それはさておきこのデータ、平成23年12月21日~24年2月26日の間に採取した検体による計測結果となっています。要は、冬の間に採れたもの。冬の間は多くの生物が活発な摂食活動はしません。まして、もう7月、夏ですよ?!半年経っていますよ?!

確かに、これまで調査していなかった分野にまで調査範囲を広げてくれたのはとてもありがたい。検体に関しても十分なサンプル数を採取して検査を行っている(一部を除く)。これらの点は大いに評価していいはずです。

でも、タイムリーな結果ではない。もうちょっと迅速に検査結果を公表してもらえないものだろうか。

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500 -> 100・13 [放射能汚染]

充分に予想は出来ていましたが、とうとう出たかと思いました。箱根の芦ノ湖のバスから100Bq/kgものセシウムが検出された。現在は出荷自粛要請が県から出されています。もっとも、芦ノ湖のバスが出荷される先なんて、地元のレストランくらいでしょうけど。

5月25日の検査においては97Bqという数値だったため、5月30日に再検査が実施された。その検査においてバスからは100Bqが検出されました。ちなみに5月25日に実施された検査においてニジマスは僅か3.7Bq/kgしか検出されていません。但しニジマスの場合は放流個体なので、放流されてからどの程度経過しているかによっても検出値が異なるはずので、あまり信用し過ぎない方がいいと思います。

私達が愛してやまないこの魚から、とうとう高濃度のセシウムが検出されるようになったというのはやはりショッキングな出来事に違いありません。食べるわけではないのだから別にいいだろうと言えばそれまでですが・・・。

今回の結果は2つの注目点があります。1つは言うまでもなく、バスという魚種から検出されたこと。そしてもう1つは、神奈川県の芦ノ湖から高濃度汚染の魚が出た、という2点です。北関東の湖などと比べて神奈川の湖沼や河川では汚染がさほどクローズアップされませんでした。そんなに高い数値はこれまで出なかったからです。

水産庁や専門家の中には、魚類に取り込まれたセシウムは体外に排出されると言っていた人もいました。また、泥と結合したセシウムは魚類に取り込まれても排泄されるなんていう意見もありました。自分は放射性物質に関しては専門家ではありませんが、上記の見解については全く信用していません。チェルノブイリ事故の際には、事故直後は小型魚の汚染が酷かったものが翌年以降にはパイクやパーチといった魚食性の高い大型魚の汚染の方が非魚食魚の2~3倍にまで高くなるというデータが出ています。セシウムは魚類の体内に取り込まれ、生物濃縮されるのです。

現在、海ではスズキの汚染濃度も高まってきました。そして芦ノ湖ではバスの汚染濃度が高くなった。セシウムの生物濃縮が進んでいることは明らかで、それを否定してきた専門家の見解が大きく崩れてきています。

原発事故以降、私達は何度政治家や専門家の意見に騙されてきたでしょう。もうそろそろ、彼らを信用するのは止めた方がいい。本気でそう思います。

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500 -> 100・12 [放射能汚染]

東京湾の底泥のセシウムの検出量が7ヶ月で13倍にもなった場所があるという。でもこの話、5月13日にYahooのトップページに報じられたのですが、実際はもっと早くその結果は公表されていて、いち早く取り上げたメディアもあった。報道の足並みが全く揃っていなかったのです。

徐々に高くなっていく東京湾の放射線量も気になるが、4日も報道を控えていたメディアがあるのは何故だろう。

*****

5月12日、埼玉県吉川市のナマズから基準値を超えるセシウムが検出された。確かに、吉川市も葛飾のホットスポットゾーンの一角にあります。私も数年前まで吉川市に住んでいました。吉川市は「なまずの里」として、ナマズは市のシンボルでもあります。昔は川でナマズやウナギが大量に取れ、その名残で今でも吉川には川魚料理屋がたくさんあります。そんな経緯があって、吉川市はなまずの里なのです。ナマズをモチーフとした土産物も売られているし、市民による放流なども行われている。

そんな吉川のナマズが放射能に汚染されていた。市のシンボルが汚染されていたのです。元吉川市民としても、強い憤りを感じます。現在中川水系では漁協に対して採捕の自粛、釣り人においてはナマズを食べないように、との行政からの要請が出されています。

*****

5月初旬、多摩川の河川敷がセシウムで土壌汚染されていることが判明。現在は高い線量が計測された場所をシートで覆い、柵を立てて人が近付けなくしてあるそうですが、国の除染基準に満たないために除染する予定がないという。東京新聞のインタビューに答えた女性は「子供たちは河川敷には近付けないほうが良いと思う」との回答でした。子供を守っていかなくてはいけない立場の人間として当然の認識だろうと思います。

放射能汚染は抜きにしても、最近は事故を恐れる学校が、子供たちに水辺へ近付かないようにと指導している場合が多く、それがまた子供たちが釣りから離れていってしまった一因でもありました。危ないものから遠ざけるのは致し方のないこともであります。けれども、子供は自然に興味を抱くものです。出来ることならば大人の監視下の下で釣りであるとか川遊び、昆虫採集などを体験して欲しい。少なくとも自分はそう思っていました。

でも、今はすっかり事情が変わってしまった。もし私が親だったら、放射線量の高い河川敷に子供を連れて行くだろうか?行かないだろう。もしくは線量の低い場所を選ぶでしょう。

釣りをする子供は今でも十分少ないけれど、この先はさらに激減する。特に関東の内水面はそうだと思います。釣り業界も色々と巻き返しに躍起になってきたけれど、もう若者は釣りの世界には入って来ない。思いもしなかったかたちでトドメを刺された感があります。

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500 -> 100・11 [放射能汚染]

昨夜もしくは今朝のニュースで知った人も多いことかと思いますが、5月7日に国からの指示によって霞ヶ浦の天然ウナギが出荷停止となりました。

さて、私のブログを日頃から読んで下さっている方ならばちょっとした違和感を感じたことと思います。霞ヶ浦の天然ウナギって、以前から出荷停止ではなかったっけ?

そもそも、霞ヶ浦産の天然ウナギは3月の段階から基準値の100Bq/kgを超えていました。このため、4/1より茨城県が霞ヶ浦水系の漁協に対してヘラブナとウナギの出荷・販売の自粛を要請していました。

ではなぜこの案件が今になってニュースとして取り上げられているのでしょうか。一体何が違う?

その答えは
「県からの自粛要請」と
「国からの出荷停止指示」の違いにあります。


国からの出荷停止指示というのは、原子力災害対策本部長(=野田総理)から県知事への指示となります。これは原子力災害対策特別措置法に基づき、強制力を持った指示となります。簡単に例えると、これまでは「止めておいてね」と部長に注意されていたものが、社長命令で完全に禁止となったというわけです。

ちなみに渓流のヤマメ等においても同様に、「県からの自粛要請」と「国からの出荷停止指示」の2つのパターンがあります。さらに「国からの出荷停止指示」を受けて、県が各関係機関に自粛要請を出すパターンもあります。結構複雑なのです。

ただ、ウナギの場合は食用を目的とした漁がほとんどなのでトラウトのようにリリース云々という落としどころは存在しません。霞ヶ浦水系のウナギ漁は完全に出来なくなったというのが実情です。

ちなみに、5月7日の「国からの出荷停止指示」の内容は霞ヶ浦水系の魚種ではウナギのみが対象となっていました。既に茨城県からの出荷自粛要請の対象となっていたヘラブナとアメリカナマズについての記述はありません。食材として流通する可能性が高いものに関しては「国からの出荷停止指示」で徹底する方針なのかもしれません。

霞ヶ浦水系に関しては以前にも環境省が調査した放射性物質汚染状況の結果を掲載したことがありますが、ところにより河川敷及び湖底から検出される放射線量が半端ではなく高いところがあります。昨年日釣工が湖底清掃をやろうとして許可申請を出した際には、放射能汚染が酷く危険であるという事から当初の実施予定場所での清掃活動が許可されなかったほどです。それほど酷い。

ましてやウナギは泥に潜ったり湖底を徘徊する魚です。果たして今後100Bq/kgを下回る事があるだろうか・・・また仮にそれが90Bq/kgに下がったとしても果たしてこれまで通りの需要があるのかどうかは大いに疑問です。

いつになったら終わるのか、この放射能汚染問題。それとももう、30年先までこのままなのか。

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500 --> 100・10 [放射能汚染]

5月1日、延期となっていた中禅寺湖のトラウトフィッシングがようやく解禁となりました。但し、中禅寺湖の魚の放射能汚染が収まったわけではありません。最新の調査においても、依然として基準値の100Bq/kgを超過している。しかしキャッチ&リリースの徹底という条件付きで今回の解禁にこぎつけたのです。漁協の努力には計り知れないものがあったでしょう。

が、キャッチ&リリースのルールを厳守するために想像以上の制限が設けられました。私も聞いて驚いた。

  • 岸釣りのみ
  • 国道沿いの一部の区間のみ、例年よりもだいぶ狭い区域に限られた
  • エサ釣り禁止。ルアー、フライのみ
  • フックはシングルバーブレスのみ
  • ビクやクーラーボックスは持ち込み禁止
  • 生簀やストリンガーの使用禁止
  • 同意書への記名が求められる。本人確認できるものが必要
  • 当然の事ながら、魚の持ち出し禁止。もし違反が発覚した場合は直ちに禁漁となる
  • 持ち出しは理由を問わず禁止。釣った魚を剥製にする、等も理由にならない
  • 釣った魚が死んでしまった場合、死魚は監視員に提出する。


かなり厳しい内容です。絶対に持ち帰りはさせないという強い姿勢が感じられます。漁協の、行政に対する姿勢の表れといったところでしょうか。しかし、モラルのあるアングラーならば問題なく遵守出来る内容です。解禁に向け、漁協はかなり頑張ったと思います。釣り人もこれに応えなくてはいけないでしょう。

元々、キャッチ&リリースというのはスポーツフィッシング・ゲームフィッシングを象徴するべきものでした。食すために釣るのではなく、釣るという行為を楽しむ。無意味に魚の命を奪うことはそのモラルに反することであったわけです。

それが原発事故以降、キャッチ&リリースの存在意義が変わりました。魚が汚染されてしまったため食用には出来ない。つまりは人間の健康を害することがないように再放流が義務付けられることとなった。

まさかこんな世の中になるとは思わなかった。

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500 -> 100・9 [放射能汚染]

放射性物質汚染によって最もその影響が顕著となった北関東のマス釣り。群馬県赤城大沼のワカサギがそうであったように、湖の汚染は改善出来る手立てがない。

日本のルアー・フライフィッシングの歴史を育んで来た日光の中禅寺湖もまた例外ではありませんでした。4月中旬に実施された検査においても、ヒメマス、ニジマス、ブラウントラウトのいずれもが暫定基準値100Bq/kgを超過したままなのです。

例年であれば4月1日より解禁できるはずだったものがその延期を余儀なくされていました。

しかし、漁協、栃木県、水産庁、厚生労働省の協議の末に、5月1日より条件付での解禁が出来る見通しとなったようです。その条件とは、「岸釣り」そして「キャッチ&リリース」です。ボート釣りに関しては別途検討中との事。

徐々にではありますが、釣った魚を食べないキャッチ&リリースの釣りが認知されつつあるようです。そして、それならば釣りが許可されるようにもなってきた。

放射性物質による汚染問題はたやすく解決することは出来ません。もしかしたら、私が生きている間は続いてしまう可能性も否定できない。関係者が東電に補償を求めて、それが支給されれば解決するというものでもない。一番の被害者は自然環境であるからです。これが元通りに回復して初めて事態が解決したと言えるのだろうけど、それがいつのことになるのか全く見通しが立たない。

キャッチ&リリースの釣りが、辛うじてマス釣りの命綱となった印象です。その反面、釣った魚を持ち帰って食すという楽しみは完全に絶たれた。悔しい思いをしている釣り人も少なからずいることと思います。その気持ちは察するに余りある。けれども、間違っても人目を盗んで魚を持ち帰ろうなどという発想はしないで欲しいと思います。

今回、リリース限定での解禁が認められたのも、行政が理解を示してくれたからに他なりません。しかしもし釣り人がこの制限を守らず、信用を失うようなことがあれば、行政の理解をも失うことになるかもしれない。

1本の命綱が残った今。この綱だけは切れないように守っていかなくてはいけないと思うのです。

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500 --> 100・8 [放射能汚染]

ネット上のニュースなどでご存知の方も多いかとは思いますが、4月14日、茨城県から霞ヶ浦水系の各漁協に新たな自粛要請が出されました。

というのも、また基準値超の放射性物質で汚染されている魚が出てしまったからです。4/9~10に採取した北浦のアメリカナマズ(175Bq/kg)、西浦のギンブナ(126Bq/kg)、北浦のギンブナ(112Bq/kg)が検出されてしまいました。

ただ、これまでもアメリカナマズは100Bq/kgを超えていたことはありましたし、ウナギやヘラブナなどは既に基準値超の結果が出ているわけですから、何も不思議な結果というわけではありません。但し、今回は県からの通達内容に気掛かりな部分が見受けられる。

まだこの件に関して茨城県の公式サイトには記載が見当たらない状況ですが、ニュースの本文には、こう記されている。

「霞ケ浦の流入河川については、漁業権のある桜川、小野川、新利根川、常陸利根川でのギンブナ出荷・販売・釣りの自粛を要請。霞ケ浦と、漁業権がない河川ではギンブナとアメリカナマズの出荷・販売自粛を要請した」

これまでは採捕の自粛という表現をされていたものが、ここにきて漁業権のある河川区域については明確に対象魚種の「釣りの自粛」を明言されてしまったのです。

但し、これを受けた各漁協や茨城県漁連のスタンスは未だに明確になってはいないようです。正式なアナウンスは発表されていない。そりゃそうです、釣った魚を食べるわけでもないのに一律に釣り自体を制限することには疑問がある。県からの要請が来たとはいえ、それをすんなりと受け入れるというわけにはいかないでしょう。

放射性物質の影響が、徐々に渓流や山上湖以外の内水面にも及んできました。

釣りをやらない一般の人の間では「釣り=釣ったら食べる」と考えている人が結構います。バス釣り、ヘラ釣り、コイ釣りなど、釣った魚はリリースするというのが常識とされる釣りがあるということ、そしてそれらに関して規制対象とされないような行政側へのアプローチが求められてきているのかもしれません。

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500 --> 100・7 [放射能汚染]

原発事故後、一番最初に放射能汚染が明確になった魚は海のコウナゴでした。放射性物質を含んだ汚染水を海に垂れ流していたのですから当然の結果です。しかしその後、まさかの内水面汚染が表面化した。現在、魚類で最も汚染されているのは渓流のヤマメです。福島県新田川のヤマメからは18700Bq/kgもの放射性物質が検出されています。海の魚でこれを超えるものは存在しない。

現在、放射能汚染の影響を最も受けているのは東北南部及び北関東のマス類とワカサギです。時期に入ったらアユも汚染される危険性があります。でも、マス、ワカサギ、アユという冷水域の魚類の汚染ばかりが取り沙汰され、それ以外の釣り人(バス、ヘラ、コイ等)にとっては直接的にはあまり関係ないと感じている方が多いのではないでしょうか。

しかし、4/1より施行された食品の新基準値(100Bq/kg)は、問題視される水域を一気に拡げる結果となったのです。

ホットスポットとして有名な柏市をその一部に有する千葉県の手賀沼。柏市を流れる大堀川は手賀沼に注ぐ流入河川ですが、ここの川底からは9700Bq/kgという桁違いの数値が出ています。当然、そこに住む魚類にも汚染をもたらしています。モツゴは110Bq/kg、コイは330Bq/kg(4/6公表数値)。よって現在、手賀沼の魚類は出荷が出来なくなっています。但し、マブナやヘラブナ釣り自体は制限されていません。食用にするケースが考えにくい、との判断であるようです。

さて、バスアングラーにも馴染み深い霞ヶ浦。霞ヶ浦では3月半ばに採捕されたゲンゴロウブナ(ヘラの事ですね)から101Bq/kg、ウナギから104Bq/kgが検出されました(3/23公表数値)。100Bq/kgを超えているので、アウトです(その他、2/28公表段階では、アメリカナマズからも基準値超の検出値が出ています)。

これにより

霞ヶ浦北浦及びその流入河川においてはゲンゴロウブナ及びウナギに【出荷・販売の自粛】 が、県から各漁協(霞ヶ浦漁協、麻生漁協、きたうら広域漁協、潮来漁協、桜川漁協、新利根漁協、常陸川漁協)に出されています。

まぁ、確かに他に売ったらまずいとは思います。ですからそれは致し方ないとして、実はもう1つあります。

桜川、小野川、新利根川、常陸利根川においてはゲンゴロウブナに【採捕及び出荷・販売の自粛】が、県から各漁協(霞ヶ浦漁協、桜川漁協、新利根漁協、常陸利根漁協)に出されているのです。

採捕の自粛という言葉をそのまま解釈すれば、ヘラブナ釣り自体の自粛を求められているという事です。少なくともこれまで栃木などのケースはそうだった。これに対して、私の知る限りはまだ公にアナウンスしている漁協関係はないように思いますから、県からの要請に対しては協議中といったところでしょうか。

でも、霞ヶ浦水系のヘラブナ釣りを自粛して下さいって?!?!ヘラブナを食べる人なんて居ないでしょうに・・・。

その点、前述の手賀沼に関してですが、千葉県は一律に採捕の自粛を要請するというわけではなく「手賀沼で釣りをする皆様へのお知らせ」として粋な取り計らいをされています。これまでの他県の前例では、県が漁協に自粛要請を出す、というのが通常でしたが、千葉県は漁協のみならず釣り人向けにメッセージを発した。その内容も実に現実に即していると感心させられます。

各県の行政の方々には千葉県の対応のように、もっと現実的で、粋な対応を求めたいところですね。釣り=釣ったら食べる、という図式でない釣りもちゃんとあるということを知ってもらいたい。

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