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淡水魚の放射能汚染状況 ~2013.6 [放射能汚染]

昨日、水産庁より「水産物の放射性物質の調査結果」の最新版(※PDFファイル)が公開されました。4月~6月3日までの調査結果となっています。

その中から、内水面の淡水魚で気になるものだけ抜粋します。

4/14 福島県桧原湖 イワナ 290bq/kg
4/14 福島県桧原湖 ウグイ 390bq/kg
4/14 福島県桧原湖 ギンブナ 140bq/kg
4/30 福島県秋元湖 イワナ 240bq/kg
4/30 福島県秋元湖 ウグイ 270bq/kg
4/30 福島県秋元湖 ギンブナ 150bq/kg
4/30 福島県秋元湖 ヤマメ 130bq/kg
5/12 福島県桧原湖 ギンブナ 130bq/kg
5/12 福島県秋元湖 コイ 110bq/kg
5/12 福島県桧原湖 ヤマメ 240bq/kg
5/9 茨城県霞ヶ浦 アメリカナマズ 150bq/kg


東北、北関東の河川においてはだいぶ状況が上向きになり、一部を除いては魚類の汚染もだいぶ収束しました。しかし依然として水が滞留する湖では汚染が深刻です。

福島県ではバス釣りも盛んに行われている裏磐梯方面の湖が依然として深刻な状況から抜け出せません。環境省の周辺環境調査によれば、桧原湖に関しては周辺環境(湖岸、湖底)からも高い放射物質が検出されている現状であることから、今後急速に状況が改善されるという期待は薄いように思えます。なお、今年はまだバス類の調査結果は出されていないようですが、イワナやヤマメで200bq超の数値が出ていることを考えると、バス類に関しても同様かそれ以上の数値が出る可能性が高いと見た方がいいでしょう。

霞ヶ浦に関しては依然としてアメリカナマズの汚染度合が高く、これもまた周辺環境自体が汚染されていることから当面高い数値が検出される状況が続くものと思われます。釣り上げたアメリカナマズを陸上に投棄することは、それを食した獣、鳥、虫などによって放射性物質がより人間の生活圏に入り込んでしまいます。

霞ヶ浦水系に関してはバス類の調査結果はこれまで出たことがありません。食材と見なされない魚種だから調査対象から外れているのか、はたまた漁師さんでも獲れない希少種だからなのかわかりませんが、こちらもまた気になるところです。
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サンプリング釣り大会 [放射能汚染]

来月、とある湖でトラウトの釣り大会が開催されます。その湖の漁協が主催をする。

この湖は依然としてマス類から基準値を超えるセシウムが検出されているため釣った魚をキープして持ち帰ることは出来ません。キャッチ&リリースが前提で釣りが続けられている。でも、キャッチ&リリースでは釣った魚を検量所に持ち込むことが出来ない。そこで今回の大会においては釣った魚は放射性物質調査の検体として全て回収される「サンプリング釣り大会」として開催される。

釣った魚は県の水産試験場及び民間の分析機関に持ち込まれて検査を行い、その結果はHPで公表するとのこと。

確かに、これまでの検査というのはサンプル数が非常に少ない場合があった。1魚種に付きほんの数尾だったというケースも見られるし、検査されていなかった魚種もある。しかし湖の中が均一に汚染されているわけではないし、魚の個体によってもその検出値がまちまちである可能性は高い。そもそもマスの場合は湖に放たれてからどの程度経過した個体なのかによって全然異なる数値が出てくるはずです。少ないサンプル数で判断するのはあまり好ましいことではない。だから、釣り人の協力を仰ぎより精度の高い放射性物質の検査を行うということは非常に意義があると言えます。

けれども、ちょっとした違和感を覚えずにはいられなかったことがある。昨日、各釣り具メーカーに配布されたであろう大会の協賛依頼の書面が私のところに回ってきました。主催者が作成したであろうその文面には「放射性物質の濃縮を防ぐ目的」と明記されていました。つまり、放射能汚染された魚を湖から除去することで湖の除染を進めたいとする意図がある。

さらに、協賛依頼に同封されてきた新聞記事のコピーにはこのように記されていました。
漁協は汚染魚を減らすと共に、食物連鎖による大型魚への放射性物質の濃縮を防ぐ目的などで、湖の再生に向けた「サンプリング釣り大会」の開催を決めた。


湖の除染を進めたいというのは誰しもの願いであるし、ましてや漁協としては切実な願いであるのに違いありません。でも、果たして湖の魚を除去していくことが除染になるんだろうか?基本的に1年魚であるはずのワカサギだって、世代交代を繰り返しても相変わらず汚染されたままの湖がある。だから、湖底や周辺土壌が汚染されている限り、大した効果は見込めないんじゃないかと私は思うのだが・・・

そして、同湖の魚をキャッチ&リリースで大切に扱ってきたルアー・フライマンの思いはここでその意味を無くしてしまうのか?

そもそも、漁協はこれまで湖を魚の豊富な水域にしようという思いで管理や放流を行ってきたものと思う。折角自分達の努力によって湖に生息するようになった魚達を、今度は自分達の判断で湖から取り除いていかねばならない。これは漁協の本意でなく、断腸の思いなのではないか。

そんな色々な違和感を感じつつも、自分は主催者側を責める気には到底なれない。地元や漁協は原発事故の被害者以外の何者でもない。魚を除去なんてしなくても他にもっと効果的に除染できる方法があったのならとっくにそれを行っているだろう。その一方で、世の中をぶち壊した本当の黒幕は、おおよそ自分達が加害者だなんていう自覚すら持ってはいないだろう。これは本来、加害者が何とかすべき問題だ。

ただ、魚を取り除く=湖の除染というイメージは世の中に植えつけて欲しくないと切に願う。そこは根本的な部分が間違っている気がする。

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茨城県内水面の放射能汚染状況・6 [放射能汚染]

4月19日、環境省より茨城県内水面における最新の放射性物質の測定結果が発表されました(PDFファイルです)。

霞ヶ浦、北浦の底泥採取日は2月です。採取~公表までおおよそ2ヶ月を要しているようです。もうちょっとタイムラグがなくなると良いのですが。

気になる部分のみ抜粋します。

前回の調査において4400kg/bqを検出した北浦の釜谷沖は
90-->1000-->510-->810-->4400-->610bq/kg
となりました。前回検査時はよほど高濃度のピンスポットを探ってしまったのでしょうか。しかし610bq/kgも充分に高い数値ですので安心は出来ません。


そして霞ヶ浦水系でダントツの検出値を出し続けている土浦の3河川は依然として汚染が深刻な状況が続いているのがわかります。
新川:5400-->4400-->900-->4000-->2210-->2340bq/kg
備前川:2600-->228-->4800-->4500-->2800-->2150bq/kg
清明川:1420-->5800-->2130-->1790-->4100-->3500bq/kg


また、上記河川ほど高い検出値が出ていないものの、気になるのが以下の場所です。
小野川:260-->220-->620-->570-->980-->990bq/kg
新利根川:220-->(検査なし)-->330-->270-->400-->440bq/kg
検査回数を重ねるごとに汚染が酷くなってきているのがわかります。明らかに上昇傾向です。特に小野川はとうとう1000bq/kgに迫ってきました。


また今回の調査において、大きく検出値が上がったのは霞ヶ浦の玉造沖です。
330-->1300-->228-->201-->370-->890bq/kg
前回の倍以上の検出値が出ています。掛馬沖:270bq/kg、麻生沖:183bq/kgですから、同じ霞ヶ浦の湖心でも玉造沖だけが突出して高いということが伺えます。


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茨城県内水面の放射能汚染状況・5 [放射能汚染]

極めて不評でありつつも、このブログでは定期的に霞ヶ浦水系、北浦水系の放射能汚染状況をお伝えしています。そろそろ環境省から年明け以降の調査結果が発表されても良い時期ですが、まだのようです。現時点において公表されている最新の調査結果は昨年12月の調査結果です。

さて、一時期はかなり制限されていた北関東の渓流釣りなども現在ではだいぶ制限解除された河川が多くなりました。これは言うまでもなく、魚類の汚染値が暫定基準値を下回るようになったからです。河川はだいぶ状況が改善されてきたと言えます。例えば栃木県の渓流などは最新の底質モニタリング結果を見る限り、最高で500bq/kg(日光市赤堀川)が検出されているものの、その多くは二桁程度の検出値となっています。

一方、湖沼においては依然として状況の改善が見られないケースがいくつか見られます。赤城大沼のワカサギや中禅寺湖のトラウトなどは相変わらず基準値を上回る検出値が出てしまっているため、釣った魚を持ち帰ることが禁じられています。これは言うまでもなく水域の閉鎖性によるものと見られています。

では、霞ヶ浦水系は?
残念ながら、ここも水が大きく流れていくことがありません。そのため、依然として放射性物質が減らない場所があります。それどころか上昇している場所さえあるのが現実です。


北浦水系において最も注目されるのは、湖心の釜谷沖です。これまで5回の底質調査が行われていますが、
90-->1000-->510-->810-->4400bq/kg
と、昨年12月の調査では、いきなり物凄い数値にまで急上昇しています。ちなみに下流にあたる神宮橋ではさほど大きな検出値は出ていません。


霞ヶ浦水系においては、北西部のいくつかの流入河川が目立って高い数値を記録しているのはこれまでもお伝えした通りです。特に新川、備前川、清明川が突出しています。
新川:5400-->4400-->900-->4000-->2210(bq/kg)
備前川:2600-->228-->4800-->4500-->2800(bq/kg)
清明川:1420-->5800-->2130-->1790-->4100(bq/kg)
清明川はここにきて一気に急上昇へと転じています。
一方、桜川などは数値の低い状況が続いていますので、単に霞ヶ浦北部の流入河川、と一括りにしてはいけないようです。


全体的に見て、依然として検出値は上がったり下がったりを繰り返していて、収束傾向には程遠い印象を持ちます。湖底の汚染状況も一定というわけでなく、極めてスポット的に高い箇所と低い箇所があり、そのために検出結果が都度大きく上下しているのかもしれません。

ちなみに、居住制限区域とされている福島県飯館村を流れる新田川の底質調査の最新検査値は、2月12日時点で4800bq/kgです。認めたくありませんが、霞ヶ浦水系の放射能汚染はそこまで酷い状況になってきているということです。

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ワカサギ、スズキに見る放射性物質汚染状況 [放射能汚染]

本日、水産庁より最新の「水産物の放射性物質の調査結果」が発表されました。定期的に調査結果が公表されているものです。全体的に、事故直後に比べればだいぶ検出値が落ち着いてきているようにも見えますが、よく検証してみると楽観視できない部分があるのもわかります。

福島原発の事故に端を発する各地の放射能汚染は、間もなく2年が経とうとしている現在、その明暗が分かれてきています。河川、流出のある湖などは徐々に検出値が下がりました。一方、湖水が滞留する湖ではなかなか状況が改善しない場所もまだあります。

例えば、各地のワカサギの最新の検査結果は以下のようになります。なお、ワカサギは基本的には一年魚なので世代交代してもなお魚自体が汚染され続けているということになります。
2/13 秋元湖 41bq/kg
2/1 榛名湖 340bq/kg
1/30 小野川湖 76bq/kg
1/31 山中湖 11bq/kg
1/31 河口湖、精進湖 検出値未満
1/25 釜房湖(宮城県) 6.0bq/kg
1/16 桧原湖 9.9bq/kg
1/10 赤城大沼 180bq/kg
1/10 照月湖(群馬県) 検出値未満


例えば群馬県の赤城大沼。ここでは依然として180bq/kgものセシウムがワカサギから検出されています。そのため、現在では釣ったワカサギを持ち帰ることが出来ない。赤城大沼はH23.8.29の調査では640bq/kgでした。一年前H24.1.10は591bq/kg。それらの数値と比べればだいぶ数値が下がったともいえるのですが、依然として暫定基準値の100bq/kgを上回ってしまっています。

一方、福島県の桧原湖はH23.5.13には870bq/kgもありましたが、現在では9.9bq/kgにまで下がりました。小野川湖は依然として数値が気になるレベルですが、桧原湖の水が流れていく先が小野川湖であることも関係しているのかもしれません。

そして北関東で最も状況が悪いのは赤城大沼だとばかり思われていましたが、ここにきてさらに状況が酷い湖があることがわかりました。群馬県の榛名湖です。位置的にその汚染は誰もが予想していたとは思うのですが、検査に必要なワカサギが採取出来ずに、これまでその汚染状況が公になっていなかったものです。それが今年の2/1の検査にて340bq/kgもの放射性物質がワカサギから検出されるに至りました。赤城大沼の倍近い数値です。元々ワカサギの個体数自体が極めて少ないようではありますが、ここもその収束にはまだ時間が掛かると思われます。

海で気になるのはスズキです。スズキの場合、検査結果を見るとその個体差が非常に大きい魚であることがわかります。同じような時期、場所で採取された魚でもまるっきり検査結果が違う場合があります。しかしここにきて、茨城県沖~銚子沖にかけてのスズキに、高濃度汚染されている個体が目立ってきています。

2/18 銚子沖 180bq/kg
1/31 神栖市沖 85bq/kg
1/31 大洗沖 40bq/kg
1/31 日立市沖 120bq/kg
1/24 日立市沖 54bq/kg
1/24 鹿嶋市沖 40bq/kg


2/18に銚子沖のスズキから180bq/kgが検出されたというのは、関東近郊のスズキとしてはこれまでになく突出して高い数値です。この海域では、H24.10~12月には暫定基準値オーバーは見られませんでした。

これは一体どういうことなのか?茨城沖~銚子沖にかけて、スズキ以外の魚種でここまで汚染が目立っているような魚種は見当たりません。ただ、その要因は過去の調査結果を辿っていくとおぼろげながら見えてきます。秋の調査においては、福島や宮城で高濃度汚染されたスズキが何回か検出されています。おそらくはこうした個体が南下してきたものではないかと推測されます。いずれにせよ、この海域で採取されるスズキはしばらく注意を要するでしょう。

2年近く経ってなお、放射能汚染は消えていません。もう食べても大丈夫・・・かどうかは、各自が慎重に判断するしかありません。ちなみに私は食べません。人には強要しませんが食べないです。安全なのかどうかははっきりいってわからない。わからないなら避けておくのが無難だと考えるからです。

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茨城県内水面の放射能汚染状況・4 [放射能汚染]

以前、NHKの番組で東京湾の放射能汚染が取り上げられたことがありました。その内容は荒川の河口から8kmほど上がった地点が最も検出値が高く、東京湾の汚染は2~3年後がピークになるというものでした。

霞ヶ浦、北浦に関しても、現段階では北部の流入河川が検出値が高いというのはお伝えした通りです。今後は流入河川に堆積しているセシウムが徐々に本湖側へと移動してくることも考えられ、各所の検出値に変化が出てくる可能性があります。しかし残念ながらその数値がなかなか下がらないのは赤城大沼ほどではないにせよ、霞ヶ浦水系の閉鎖性によるところが大きいのでしょう。

それでは閉鎖性とは関係のない河川の場合はどうでしょう。同じ水郷エリアを代表するフィールド、利根川の汚染状況は以下のような推移を見せています。なお利根川の場合は霞ヶ浦、北浦に比べて検査頻度が多くとられています。

■ 底質モニタリング調査結果

【利根川】 単位はbq/kg

栗橋
2回目(2/17) 3回目(6/1) 4回目(6/22) 5回目(7/20) 6回目 8/24 7回目(9/12)
159 52 48 42 18 123


布川
2回目(2/22) 3回目(6/4) 4回目(9/13)
330 320 95


佐原
2回目(2/22) 3回目(5/31) 4回目(6/22) 5回目(7/19) 6回目(8/20) 7回目(9/14)
330 195 202 181 39 140


■ 周辺環境モニタリング結果(河川敷の土質調査)

【利根川】 左岸/右岸 単位はbq/kg

栗橋 
2回目(2/17) 3回目(6/1) 4回目(6/22) 5回目(7/20) 6回目 8/24 7回目(9/12)
212/130 270/216 460/250 460/380 90/400 320/510


布川
2回目(2/21) 3回目(6/4) 4回目(9/13)
1560/430 760/760 1360/1600


佐原
2回目(2/21) 3回目(5/31) 4回目(6/22) 5回目(7/19) 6回目(8/20) 7回目(9/14)
280/1590 205/1210 167/740 340/1150 510/830 490/1180


いずれも、段々検出値が下がってきた・・・と思いきや、9月に実施された最終検査にて再度上昇に転じている箇所が多いのがお分かりいただけると思います。

つまり、通常通り川に何事もなければ検出値は下降線を辿る。けれどもひとたび大雨や台風などにより増水が起きると上流部から再度新しいセシウムが流れてきてしまう、といったところでしょう。

残念ながら北関東もホットスポットとなってしまった場所があるわけで、利根川の上流部にはまだまだセシウムが堆積している場所がある。そしてこれらは大水に乗じて下流域にやってくる。上流部に堆積しているセシウム自体が減らない限りはこの傾向は変わらないでしょう。そしてこの状況が続くということは、現時点での除染作業などはあまり意味を成さないという事が言えます。

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茨城県内水面の放射能汚染状況・3 [放射能汚染]

本日は北浦水系のモニタリング調査結果から、その汚染状況を検証してみます。

■ 底質モニタリング調査結果

【北浦水系】
2回目(2/18) 3回目(6/6~6/7:湖心6/27) 4回目9/26~27:湖心9/12 単位はbq/kg


(地名 2回目 3回目 4回目)
鉾田川 390 270 420 上昇
巴川 690 220 370 上昇
大洋川 計測なし 108 330 上昇
武田川 計測なし 152 630 上昇
山田川 計測なし 390 174
蔵川 計測なし 239 187
雁通川 計測なし 260 223
流川 計測なし 830 490
釜谷沖 1000 510 520 上昇
神宮橋 217 106 103
外浪逆浦 143 110 97
息栖 205 168 152


上流に位置する流入河川においては数値が上昇傾向にあるのがわかります。それも単なる上昇傾向というわけではなくて、一度下がった数値が再上昇というパターンの場所が多い点に注目すべきです。季節的な事を考えると、台風や大雨の影響も可能性が考えられます。

■ 周辺環境モニタリング結果(河川敷の土質調査)

【北浦水系】
2回目(2/20) 3回目(6/6~6/7) 4回目9/26~27 左岸/右岸 単位はbq/kg


(地名 2回目 3回目 4回目)
鉾田川 計測不可
巴川 1700/1110 600/720 700/570 左岸上昇
大洋川 計測なし 930/810 770/420
武田川 計測なし 740/1060 690/430
山田川 計測なし 1670/850 600/770
蔵川 計測なし 770/2320 800/660 左岸上昇
雁通川 計測なし 1510/1120 490/850
流川 計測不可
釜谷沖  740 710 810 上昇
神宮橋  188 340 49
外浪逆浦  830 247 400 上昇
息栖  480 440 370


霞ヶ浦周辺は湖西側を中心にホットスポットと呼ばれる地域が存在するため、土浦周辺の流入河川を中心に検出結果が高いという結果が出ていますが、ホットスポットにかかっていない北浦に関しては霞ヶ浦と比較して数値は低いと思われがちです。事実、ワカサギなどからのセシウム検出値は霞ヶ浦ほど高くないという傾向があります。

そしてモニタリング結果を見ると、確かに湖底泥の検出値に関しては霞ヶ浦ほどは高くない。しかし、周辺環境(河川敷)モニタリングに関してはこちらも比較的高い数値が検出されているのがわかります。

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茨城県内水面の放射能汚染状況・2 [放射能汚染]

今年の春先、魚類から基準値を超える放射能汚染が検出された渓流や湖沼では解禁が見送られたり、或いは再放流が義務付けられたりといった措置がなされるケースが多発しました。

しかしその後、状況は改善に向かい、解禁を迎えるフィールドが多くなっていきました。しかしその一方で依然として深刻な状況から脱せられないフィールドも存在します。例えば群馬県の赤城大沼では9/12時点で湖底泥から1400bq/kgが検出され、ワカサギからも基準値超の放射性物質が検出されています。このため釣り自体は出来るものの、それを持って帰ることが出来ません。いつになったら状況が改善するのかの見当もつきません。

では、改善に向かった湖沼とそうでない湖沼の何が違うのでしょうか。その答えは湖沼の閉鎖性にありそうです。

ところで、ワカサギやマス類に関しては解禁云々という事もあり世間の注目を集めましたが、低地の湖沼はどうなのでしょうか。このブログではこれまでもたびたび霞ヶ浦水系の放射能汚染を取り上げてきましたが、10月下旬に環境省から最新のモニタリング検査結果が出ていますので、その傾向を追ってみます。

■ 底質モニタリング調査結果

【霞ヶ浦水系】
2回目(2/17) 3回目(5/29~6/7:湖心6/27) 4回目9/24~27:湖心9/12 単位はbq/kg


(地名 2回目 3回目 4回目)
園部川 計測なし 260 1370 上昇、数値高
山王川 1950 1550 900
恋瀬川 計測なし 830 680
梶無川 計測なし 42 197 上昇
菱木川 1070 860 660
一の瀬川 1540 950 530
境川 760 780 680
新川 4400 900 4000 上昇、数値高
桜川 136 62 270 上昇
備前川 228 4800 4500 数値高
花室川 820 1280 1000 数値高
清明川 5800 2130 1790 数値高
小野川 220 620 570
新利根川 計測なし 330 270
夜越川 310 290
前川 計測なし 580 470
玉造沖  1300 228 201
掛馬沖 440 610 430
湖心 900 178 151
麻生沖 250 183 202 上昇


■ 周辺環境モニタリング結果(河川敷の土質調査)

【霞ヶ浦水系】 
2回目(2/18,21) 3回目(5/29~6/7) 4回目(9/24~26) 左岸/右岸 単位はbq/kg


(地名 2回目 3回目 4回目)
園部川 計測なし 670/1110 920/660 左岸上昇
山王川 520/760 530/800 980/990 上昇
恋瀬川 計測なし 820/2250 1230/680 左岸上昇
梶無川 計測なし 870/330 232/260
菱木川 860/1810 610/530 450/870 右岸上昇
一の瀬川 540/630 450/420 410/540 右岸上昇
境川 2040/590 960/470 1030/2340 上昇、数値高
新川 1180/1990/ 600/1000 1000/800 左岸上昇、数値高
桜川 550/1170 460/188 590/320 上昇
備前川 1310/1040 910/630 680/1270 右岸上昇、数値高
花室川 1270/900 1030/720 1790/1060 上昇、数値高
清明川 1070/1950 119/920 960/1150 上昇、数値高
小野川 850/1310 830/1380 2380/1450 上昇、数値高
新利根川 計測なし 1190/2800 660/550
夜越川 計測なし 520/450 340/370
前川 計測なし 530/154 105/249 右岸上昇
玉造沖 178 71 23
掛馬沖 58 720 -
湖心 - 151 -
麻生沖 162 244 127


この数字を見て皆さんはどのように思われるでしょうか。渓流や山上湖のように、回を重ねるごとに検出値は下がっているでしょうか?確かに、全体的に見れば底質は下降傾向にある場所が多い。しかしその度合が頭打ちになっている場所が多い。特に土浦周辺は深刻で、依然として高い検出値が検出される状況が続いています。そして周辺環境においてはむしろ数値が上昇しているところがこんなにもある。

同じ内水面であれど、霞ヶ浦水系は渓流や山上湖とは違います。だからこそこれからも、この水系のモニタリング結果は注視していかなくてはいけないのです。

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淡水魚の放射能・2 [放射能汚染]

日曜日の昼前、待ちわびていた書籍が自宅に届けられました。「淡水魚の放射能」水口憲哉著/フライの雑誌社刊 恥ずかしながら、本をネットで買ったのはこれが初めてです。この本が出版されていなかったら、ネットで本を注文することなく人生を終えていたかもしれません。

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このブログではこれまでも定期的に魚類の放射能汚染の実態や、霞ヶ浦水系を中心とした釣り場の汚染についても取り上げてきました。ですので日頃このブログをご覧になっている方ならば、私が魚類の放射能汚染についてどのように考えているのかはおおよその察しがつくことと思います。

しかし私は放射能汚染の専門家ではありません。自分なりに色々と調べたりもしてきましたが、所詮は専門家が発信する情報をもとにした自分自身の解釈に過ぎないのかもしれません。でもだからこそ、今でもあらゆる情報が欲しいと思っています。

人間というものは非常にご都合主義なところがあって、自分が信じる事柄に都合が良い情報ばかりを選択してその思考回路を一層強固なものにしてしまう傾向があります。例えばバスの害魚問題の時もそうです。

バスが小魚を食べ尽くす、と主張する人達は規模の小さな水域での実例を挙げてきたり、水槽に入れたバスに小魚を与えて食べさせてみたり、バスの胃袋に小魚が入っている事例を挙げてきます。一方、バスが生態系に組み込まれてバランスが保たれるようになると主張する側は比較的規模の大きい水域を実例に挙げ、バスの歴史の古い水域でも多くの小魚やエビなどが生息する現状を伝えようとします。互いに都合の良い実例ばかりを挙げて主張しあうわけですから、その妥協点が見出せるはずがありません。

但し、バスの場合はまだマシかもしれない。水域に出向けば、事実はちゃんとそこにある。その点、放射能は実に厄介です。見えない、臭わない、味もしない。その存在を全く感じることがない。放射能汚染なんて大したことない、と主張する人達はもしかしたら心のどこかで、その実感が沸いていないのかもしれない。ではこれがもし可視できるものだったらどうでしょう?仮に、放射性物質で汚染されたものが赤く変色するとしたら。
  • 公園の植え込みの一部にちょっと地面が赤っぽいところがあるから行政にお願いして除染してもらおうか
  • 河川敷の土がだんだん赤みを増してきた。付近に近づくのは止めておこう
  • この魚、開いてみたら身が赤っぽい!これは食べたらヤバそうだ

放射性物質が可視できたなら、きっと世論も大きく違っていたと思う。でも現実にはその存在は全く感じ取ることが出来ない。高い測定値が検出されている地点に立ったところで何も感じ取ることはできないだろうし、もし汚染された食材を口にしてしまったとしてもこれまでと全く変わらぬ味と食感しか感じられないでしょう。

しかし現実には、自然界、生物、そして食品となりうるものにさえも放射能が撒かれてしまった。残念ながら悪夢ではなく、これは現実です。

「大丈夫、問題ない」と言う人達がいる。行政や専門家の人も大概そう言う。しかし、行政や加害者企業は事故後に国民を裏切っています。重要な事実を隠蔽し、ホトボリが冷めてから公表した。誠意のかけらすらも感じられない。確かに、彼らの言うことに従い、楽観的に物事を捉えるのが気楽でいいのかもしれない。でも自分は、彼らをもう信じないことにした。

「淡水魚の放射能」を一通り読みました。私もチェルノブイリ事故後の魚類への影響というのは調べていましたが、さほど深い知識を得るには至っていませんでした。この書籍においては、各国の魚類の放射能汚染に関して広い範囲で記されています。特にチェルノブイリ原発事故の影響を直接受けたウクライナ、その風下だったベラルーシの事例は福島、そして関東とオーバーラップする部分があります。人的被害、魚類やミミズなどに発症した異変など、目を背けてはいけない事例が記されています。

もちろん、福島原発事故以降の国内の淡水魚に関しても様々な考察がなされており、傾向や今後の推移予想などもされています。これに関しては私のように定期的に各地の魚類のセシウム検出値を注視している者にとっては情報としてさほど新鮮味は感じませんでしたが、現在の国内内水面の淡水魚の汚染状況を把握していない方が現状を知るにはうまくまとめてあると思います。

さて、結論として汚染された淡水魚が危険とされるボーダーラインはどの程度なのでしょうか?国が定める100Bq/kg?私の見解は「わからない」です。でも、わからないからどうでもいいやではなくて、わからないから少なくとも5年は用心した方がいいのではと思っています。

他人には強制しませんが自分の中ではそう決めています。

では、「淡水魚の放射能」ではどのように結論付けているのか?この本の中にもその結論はありません。但し、以下の記載が著者の見解を表していると言えるのではないかと思います。
  • 淡水魚の調査がほとんど見られないベラルーシやウクライナで、政府が規制するにもかかわらず、子供たちの内部被爆の症例が次々と報告されることに、私たちはもっと気が付かなければならない。
  • 海水魚について食品の放射能汚染完全対策マニュアルをまとめた中で考え抜いた末に、”子供には1回の食事で1ベクレルたりとも放射能を含む魚を食べさせない方が良いのではないか”という結論に達し・・・

でもこれも、一人の専門家の意見です。最後に判断するのは、自分自身です。判断材料は、なるべく多く持っていた方が自信を持った判断に繋がることと思います。

104ページ、そんなに分厚い本ではありません。テーマは重いですが読み切れる本だと思います。

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淡水魚の放射能 [放射能汚染]

かつてバスの害魚論争が巻き起こった際に、それを取り巻く本質に鋭く切り込んだ書籍「魔魚狩り」。東京海洋大学名誉教授の水口憲哉さんが執筆された本です。この本はきっと多くのバスアングラーが目を通したはずです。

そしてその水口憲哉さんが執筆した新刊が9月初旬に発売されました。それが「淡水魚の放射能」。

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選ぶべき未来は森と川と魚たちが教えてくれる。─『淡水魚の放射能 川と湖の魚たちにいま何が起きているのか』(水口憲哉=著)

書下ろし緊急出版! 類書なし

福島第一原発事故以前、日本では淡水魚の放射能汚染はまったく研究されていませんでした。本書の第1部では、チェルノブイリ事故をはじめ世界の核施設による、知られざる淡水魚の放射能汚染をくわしく掘り起こします。

第2部ではそれらの事例を参考に、福島第一原発の大事故により、いま日本の川と湖の魚たちに起きている放射能汚染の実態を見つめ、汚染の仕組みを考えます。そしてこれからの汚染の行方を予測します。

私たちが選ぶべき暮らしの有り様がそこに見えてきます。

セシウムの計測値は大きく三つの条件で変動する。

アユ、ワカサギ、イワナ、ヤマメ、ウグイ…、
身近な魚の放射能汚染の実態とその行方とは!?


選ぶべき未来は森と川と魚たちが教えてくれる。

水口憲哉=著
(福島原発事故国会事故調査委員会参考人、東京海洋大学名誉教授)


ISBN 978-4-939003-52-3
A5判 104ページ / 税込1,200円
2012年9月1日発行


この本、元々は8月に発売予定だったものが9月に延びていたものです。やっと発売されたようなので、Amazonで買おうとしたらもう売り切れてる!でも何とか、「フライの雑誌社」さんのウェブサイトから申し込むことが出来た。早く手元に来ないかと待ちわびています。ちなみに一般書店の店頭には並ばないそうです。

早く読みたい・・・でも、読む時間あるかな?読んだら感想もアップしてみたいと思っています。

最近、ホトボリが冷めてきたというか、平和ボケした日本人的思考というか、「汚染された魚を食べる」事に対して世の中が楽観的になってきている気がします。放射性物質は「ただちに健康に悪影響を及ぼすものではない」。仮に将来的に悪影響を及ぼす結果だったとしても震災後1年半しか経過していない現在、悪影響が見られるはずがないのです。まだ最終判断する時期ではない。

暫定基準値は国によっても異なり、現在の値は日本政府が勝手に定めたもので、それに満たないからといって安全が保証されているわけではありません。

知りたくないものから目を背けることなく、まずは現実を知り、各自が自分で判断し、自分や家族の健康を守ることが一番大事です。この本はきっと参考となる内容が記されているに違いありません。

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