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驚くべきこと? [放射能汚染]

今頃になって珍しく、魚類の放射能汚染に関するニュースが出ていました。その見出しは「セシウム値が急激に上昇? 東京湾のコイも福島原発沖のヒラメ以上に汚染されていた!」というもの。

内水面の放射能汚染はセシウムが流出しづらいために海以上に長引いている。だから赤城大沼などのワカサギ釣りの禁漁が長期に渡ったのだし、中禅寺湖のマスだって依然として持ち帰りが禁止されている。反面、海はセシウムが希釈されるので現在はその検出値も下がっている。そんなこと、自分にしてみれば当たり前なんですけど・・・。

記事においては、新中川で採捕された体長70cmのコイを測定してみたところ、50bq/kgのセシウムが検出されたとのこと。それって驚くべきこと?葛飾地区も放射線量は高かったのだからそれくらいは普通に出てもちっともおかしくない。そもそも70cmのコイって、2011年以前から生きていた可能性があります。手賀沼のコイなんて、昨年の6月には120bq/kgも検出されている。ちなみに霞ヶ浦のアメリカナマズは昨年12月の検査において平均しておおよそ50bq/kg前後のセシウムが検出されています。

今でも淡水魚はそれくらい検出される。それが普通。まぁ、本来あってはならないことではあるのですが。

記事ではこの他に、銚子・九十九里沖で今年の1/12に採捕されたスズキのセシウム検出値が69bq/kgを検出したことを受け「この年末年始にセシウム値が急上昇」と記しています。

確かに記事以外の検体を見てみても、昨年の12/20には58bq/kg、12/1には利根川下流域で43bq/kgの検出値が出ています。10月にも数個体、40bq/kg超のスズキがいた。これらのスズキが河川域で汚染されたという可能性ももちろんあるのですが、昨年の4/27に福島県平藤間沖で採捕されたスズキでは87bq/kgという高い数値が出たように、福島海域では今でも高い数値の出る個体がいる。こうした個体が南下してきた可能性も捨て切れない。

ただ、記事の見出しにあるような、ここにきて検出値が上昇しているということではありません。確かに69bq/kgというのは少し突出している気もしますが、銚子~茨城のスズキには時折高い数値を検出する個体が出ます。平成27年の2月にも40bq/kg台のスズキが何匹か出ています。だから今に始まったことではないのです。

こんなことは原発事故以来、魚類の汚染をずっと注視してきた人間にしてみればごく当たり前のことなので、どうしてこれを今になって記事にしているのかな?と不思議に思いました。

「さらに取材班は、東京湾内と東京湾に流れる河川の合計24地点で放射能汚染を調査。その結果、なんと1000Bq/kgを越えるスポットが2地点もあったのだ!」
え~と、別に驚かないです。手賀沼に流入する大津川なんて昨年8月の調査でも2260bq/kg出てますし、印旛新川の八千代橋付近だって2470bq/kg出ています。

でもこの記事、別に何かの悪意があって書かれたものではないと思います。記者さん含め、一般読者もそうだと思うのですが、一般世間の多くの人はもう原発事故から5年以上も経っているのだから魚も土壌もセシウムなんて消えて無くなっているように誤解している人が多いのでしょう。そもそもニュースにもなっていませんから。

それがたまたま編集の人が検査してみたら・・・これは!となったのではないかな。

でも、編集者の方がいちいち調べなくたって、水産物は水産庁が、土壌は環境省がそれぞれ定期的にモニタリング調査を行い、結果も公表しています。

まぁ、たまにはこのような記事が世に出るのもいいかもしれません。依然としてセシウムは消えていない。魚も土壌も汚染されている。それが現実なのだけれど、多くの人はそれをすっかり忘れてしまっているから。

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茨城県内水面の放射能汚染状況・10 [放射能汚染]

いつもは混んでいる駅前のマクドナルドが、先週の週末にはガラガラでした。問題のある中国産の肉を使用していたとニュースが報じたためでしょう。

日本は元々、食の安全性に関する意識はとても高い国です。BSEが発生した後にはアメリカ産牛肉の輸入を止めたし、食品の偽装問題も大きくクローズアップされた。にも関わらず放射能汚染された食材に関しては何故か寛容な気がするのは私だけでしょうか。もし原発事故が自国の事故でなかったら、日本は原発事故の起きた国の食材なんて輸入していないと思う。

さて、環境省より7/23に茨城県内の公共用水域における放射性物質モニタリングの測定結果の最新版が公開されました。5月に採取した湖底泥の調査結果となっています。

例によって、霞ヶ浦水系、北浦水系の状況で気になる箇所をピックアップしてみました。なお、本文中の数値に付与する単位は全てbq/kgとなります。

【北浦水系(流入河川)】

8箇所の調査地点のうち、前回(採取時期2月)と比較してセシウムの検出値が上昇している箇所は5箇所です。残念ながら、検出値が下がっている場所よりも数値が上昇している地点の方が多いという結果になっています。

鉾田川:73 --> 163
巴川:87 --> 166
蔵川:222 --> 319
雁通川:151 --> 185
流川:156 --> 182


【北浦水系(湖心)】

前回の調査と比較して、釜谷沖が 470 --> 550 と検出値の上昇が見られました。釜谷沖は北浦水系において最も放射性物質の測定値が高い場所でもあります。

一方、神宮沖、外浪逆浦、息栖においては数値が下降しました。外浪逆浦は49、息栖は74で、これは調査開始以降最も低い数値となりました。

北浦の湖心では放射性物質が蓄積されてなかなか流出していかないが、外浪逆浦や常陸利根川では放射性物質の流出が進んでいるという印象があります。

【霞ヶ浦水系(流入河川)】

相変わらず北部の流入河川において高い数値が検出されています。

園部川:800 園部川は前回は281だったので、数値が大きく上昇しています。
菱木川:610 ここも前回(405)と比べ上昇傾向
新川:1640 非常に高い数値ですが、数値自体は下降を続けています。初回調査の際などは5400もありました。
備前川:1490
清明川:610
小野川:610


一方で、大きく数値を下げた場所が何箇所かあります。

山王川 1800 --> 31
境川:178 --> 70 過去最低値
新利根川:318 --> 11 過去最低値
前川:400 --> 16 過去最低値


【霞ヶ浦水系(湖心)】

麻生沖を除き、数値は下降していました。しかし玉造沖は依然として510あり、放射性物質の溜まり場になっていると言えそうです。

バスアングラーは自分の通うフィールドの事をよく観ていると思います。あそこが浅くなった、水質が悪くなった、藻が生えてきた、等です。しかし残念ながら放射性物質のような目に見えないものはその存在を感じることが出来ません。もし興味があるようならば、定期的な検査結果に目を通しておくことをお勧めします。

放射性物質がどうこうなんてバス釣りには関係ない!と考えている人が多いと思います。自分も今のところ、その関連性は見付けられていない。でも1点だけ、とても気になっている事がある。

福島や茨城のバスレイクで、近年やたらとバスのスポーニング時期が長引いているという点です。天候が不順だから?水温の上昇が遅かったから?実際のところはバスに聞いてみないとわかりません。しかし、チェルノブイリ原発事故後、周辺の湖においてはパイクやパーチといった食物連鎖上位魚種の生殖器官に異常が多く発生したと言われています。

あくまで1つの可能性として、バスのスポーニング時期の長期化は、湖中の放射性物質による悪影響、という可能性も捨てきれません。

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福島県内水面の藻類について・2 [放射能汚染]

先日のニュースを聞いて自分の抱いていた疑問の答えが見えた気がしました。私の疑問というのはこれです。

昨年8月に福島第一原発で実施した瓦礫撤去作業の影響で、20km以上離れた南相馬市の米が汚染された疑いが出ています。さらに、50km離れた相馬市でも8月中旬に、放射性物質の濃度が上昇していたことがわかったそうです。

私が着目していたのは昨年12月に採取した福島県内水面の植物類(藻類)において、前年を上回る放射性物質が検出されていたという点でした。

阿武隈川A ND(不検出)--> 284(bq/kg)
阿武隈川B 19 --> 134
真野ダム 94 --> 620
真野川 0.97 --> 910
秋元湖 4.7 --> 169


素人の私が見ても何かおかしいと疑問を持つ。そんな状況だったというのに、環境省の見解はこうでした。「水域によってばらつきがあり、採取された生物種も同一ではないが、全体の状況と しては、前年同時期調査と比較して、ほとんどの生物種で放射性セシウム濃度の低下 が見られる。」
ハッキリ言います。環境省は見る目が節穴です。


検査地点のほとんどの場所で前年よりも検出値が上昇していた。環境省はこれを見逃さず、原因の究明に努めるべきでした。でないと、一体何のために定期的な検査をしているのかわかりません。

瓦礫撤去作業の際に高濃度の放射性物質が風に乗って飛散していたという話が事実であるならば、上記の疑問に対しても見事なまでに辻褄が合う。

秋元湖においても数値の上昇が見られることから、50km程度は飛散した可能性が高いと判断できます。ニュースでは北方向の相馬市方面が取り上げられていましたが、阿武隈川や秋元湖にも影響が出ていることを考えると、思ったよりも西方向にも飛散している可能性が高いと言えます。

放射性物質が半減期を迎えたり、除染が進められたりといった影響で、徐々にその検出値が下がりつつあると思っていたらまたしても新しい放射性物質が飛散して汚染を広げている。そしてこんな状況が1年近くも経った段階で、ようやく公になっている。それでいて肝心の電力会社はその因果関係が明確でないとして対応が後手に回っている。何とも酷い話です。もし当日の風向きが違っていたら別の地域が汚染されたのでしょうし、もし風が強い日であったのならさらに広範囲に放射性物質が飛散したことが考えられます。

今回、たまたま明らかになったのが米だったというだけで、私が指摘している藻類もそうだし、他にも影響が出ている恐れは十分にあると考えた方が良さそうです。また、原発事故直後がそうであったように、現在は藻類に蓄積されたセシウムが今後は魚類に移行していく可能性も認識しておかなくてはいけないでしょう。

今後も、また同じようなことが起きるかもしれない。おまけに、こんな危険な現状が一年遅れで明らかになるという歪んだ世の中です。どこかの国の総理大臣が、福島原発はコントロール下にあると全世界に向かって大見栄切っていたけれど、そう言ったからにはそれを実現して欲しい。原発の再稼働だなんて、まずは福島第一原発をきちんと管理出来るようになってから議論すべき話でしょう。

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福島県内水面の藻類について [放射能汚染]

ここにきて某漫画の被爆の描写が大きな議論を呼んでいます。この騒ぎを、自分はバスの害魚問題の時と似ているなぁと感じる。

バスを悪者扱いしたい人がいて、メディアがそれに偏重した報道をしたことでバスは害魚だという世論が一般化した。そして今は、原発を推進したいという人達(特に政治家)がいて、その流れを阻害する要因になりそうなものは悪者にされる。メディアの報道内容が偏っているように思えてなりません。

ニュース番組に出てくる専門家も、官僚の言うことも全くアテにならないことは原発事故関連の一連の流れで明らかです。何度も国民を欺いてきた。本当に正しい情報は中立の見地から自力で調べることによってのみ得られるような気がしています。

さて、5月13日に環境省から「水生生物放射性物質モニタリング調査結果」というものが発表されました。これは昨年12月に採集した水生生物の放射性物質の汚染状況を調査したものです。食材として供される魚類(水産物)に関しては調査報告も多いのですが、藻類、水生昆虫、甲殻類、貝といった部類の調査はデータが飛んでいたりと、やや不定期な傾向があります。それにしても12月に採取した水生生物の調査結果が今頃出てくるわけですから、調査に5ヶ月も掛かるんですね。

調査地域は福島県内の河川及び湖沼です。そしてその調査報告はこのようにまとめられている。「水域によってばらつきがあり、採取された生物種も同一ではないが、全体の状況と しては、前年同時期調査と比較して、ほとんどの生物種で放射性セシウム濃度の低下 が見られる。」

確かに水生昆虫、甲殻類、貝類、魚類はおおむねそのような傾向があります。でも植物類(藻類)に限っては明らかに違う。

阿武隈川A ND(不検出)--> 284(bq/kg)
阿武隈川B 19 --> 134
真野ダム 94 --> 620
真野川 0.97 --> 910
秋元湖 4.7 --> 169


太田川に至っては5600bq/kgなんていうとんでもない数値を検出しているし、明確に数値が下がっているのは猪苗代湖(6.3-->2.0)くらい。

この傾向はたまたま出ているものではなく、12月採取分の調査結果のみならず、夏から秋にかけての調査結果も同様の傾向が見られます。1年前の数値と比較して明らかに上昇している。

世の中の多くの人は、放射性物質による汚染は収束傾向にあると考えているのかもしれませんが、全てにおいて必ずしもそれが当てはまるわけではありません。そうでないものもある。福島県の水域の藻類に関しては、検出される放射性物質の数値が確実に上昇しています。

何故なんだろう?水生昆虫、甲殻類、魚類などは数値が下降傾向にあるというのに、藻類だけは違うのです。

漫画の描写をひたすらバッシングすることよりも、まずはどのようなメカニズムで藻類の放射性物質の検出値が上昇を続けているのかを究明してもらいたいと思うのです。理由がわからないというものは、何だかとても怖いことのような気がします。

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茨城県内水面の放射能汚染状況・9 [放射能汚染]

3月14日に、環境省より茨城県内の公共用水域における放射性物質モニタリング測定結果の最新データ(PDFファイル)が公表されました。計測時期は2月。

【北浦水系(流入河川)】

目立って高い数値ではないものの、鉾田川、大洋川、山田川、蔵川といった流入河川で数値が前回(11月)よりも増加しています。なお、採取日が2/10~11にかけてだったので、直前の降雨(積雪)の影響により周辺土壌のセシウムが河川に流れ込んだ可能性があります。

【北浦水系(湖心)】

神宮橋にて数値が上昇していますが、その他は下降傾向でした。

【霞ヶ浦水系(流入河川)】

こちらも北浦水系同様、半数の計測地点で数値が上昇しています。また、以下の河川は相変わらず高い計測値が出ています。

・ 新川 2170 bq/kg
・ 備前川 1540 bq/kg
・ 清明川 870 bq/kg
・ 花室川 1200 bq/kg
・ 山王川 1800 bq/kg


【霞ヶ浦水系(湖心)】

掛馬沖を除き数値は減少傾向でした。

2月は関東でも2度の大雪が降った月です。霞ヶ浦方面では雨だったという話ですが、流入河川の半数の計測地点で数値が上昇していたのは少なからず初回の大雪(降雨)の影響を受けたのかもしれません。

ちなみに、ほぼ同じ時期(2月)に福島県沿岸部の汚染状況も調査されています。その結果は、最も検出値の高かった樽葉町沖で1160bq/kgでした。福島第一原発から10数キロ南下した地点です。先に述べた霞ヶ浦水系の数箇所の流入河川に関しては、福島県の海域よりも汚染が残ってしまっているという事です。

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茨城県内水面の放射能汚染状況・8 [放射能汚染]

震災に伴う原発事故から3年近くが経とうとしている現在、さすがにもう状況は落ち着いているだろうと考える人が多いかと思います。関東のバス釣り場の代表格の1つである霞ヶ浦水系も残念ながら一部にホットスポットがあった。ではそうした地域の現在はどうなっているでしょうか?

おおよそ3ヶ月に一度程度の更新となっていますが、環境省から茨城県内の公共用水域における放射性物質モニタリング測定結果の最新データ(PDFファイル)が1月下旬に公表されました。なお計測時期は昨年の11月のものです。

下記に記したデータは底質の計測結果です。単位はいずれもbq/kg

【北浦水系(流入河川)】

北浦水系では過去に蔵川や流川で1000bq/kgを超える高濃度汚染が計測されたことがあります。しかし現在では巴川の314bq/kgが最高値で、他はそれ未満の数値です。また、多数の計測地点において数値は減少傾向となっています。

【北浦水系(湖心)】

北浦水系の湖心としては、釜谷沖、神宮橋、外浪逆浦、息栖にて計測がされています。しかし残念なことに、その4箇所中3箇所については計測値の上昇となっています。前回(8/7)の計測値と今回(11/6)の計測値を比較すると

・ 釜谷沖 410 --> 980
・ 外浪逆浦 66--> 219
・ 息栖 102 --> 330


流入河川は数値が低下しているものの、湖心においては前回よりも数値が上昇しているということが言えます。また、これらの計測地点においては、計測をスタートさせた時点(2011年9月)よりも数値が上がっています。放射性物質が流入河川から本湖に流れ込み、それが蓄積されている様子が伺えます。

【霞ヶ浦水系(流入河川)】

境川と新利根川を除き数値は減少傾向です。ですが依然として高い検出値が記録される場所があります。

・ 新川 3900
・ 備前川 1360
・ 清明川 940
・ 一の瀬川 880
・ 花室川 790
・ 山王川 730


【霞ヶ浦水系(湖心)】

霞ヶ浦水系では玉造沖、掛馬沖、湖心(中央部と思われる)、麻生沖の4箇所で計測がなされていますが、そのうちの2箇所で計測値の上昇が見られています。

・ 玉造沖 630 --> 770
・ 麻生沖 139 --> 164


玉造沖は2013年に入ってから急速に計測値が上昇しました。それまで200~300台で推移していたものが600~800台に上昇した状態が続いています。他の湖心計測地点と比較しても高い数値であるので、放射性物質の溜まり場になっていると言えそうです。

残念ながら、霞ヶ浦・北浦水系の放射能汚染に関しては3年近くが経とうとしている今でも、まだ収束にはほど遠いのが現実です。周辺環境(河川敷の土壌)の計測値はさらに高い数値が計測されている地点が多いです。これが湖水に流入することを考えると、この状況は当面収束しそうにないというのがわかります。収束してきているのは世の中の関心だけです。

最近はニュースなどでも放射能汚染に関するものはあまり聞かなくなりました。どこかの国の総理大臣が大見栄を切って無理矢理オリンピックを誘致してからと言うもの、福島原発の汚染水問題もあまりニュースで見なくなったのはどうしてでしょうね。

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汚染水流出による海産物への影響は? [放射能汚染]

福島原発からの汚染水が海洋流出しているというニュースが報道されています。当初はなかなかその事実を認めなかった電力会社がそれを認めたのは選挙の翌日。流出量に関しても実はとんでもないものだったと認めたのは流出が発覚してしばらく経ってからのことでした。いつも本当の事を認めるのは、少しホトボリが冷めてから。

そして今は、周辺海域の放射能汚染が取り沙汰されてきました。いずれも、基準値には満たないレベルとは言うけれど、これもまたしばらく経ってから何をカミングアウトするかわかったものではありません。電力会社はそのような隠蔽体質であり、それを隠し通せなくなった時点でようやくそれを認めるというのは原発事故以降、嫌というほど思い知らされてきました。だから自分は、電力会社の発表内容は信じていない。必ず疑ってかかるようにしています。

競争相手がいないのをいいことに、利益が出ないとなれば電気料金の値上げでその負担を国民に押し付ける。さらには電気料金の値上げをチラつかせて原発を再稼動できるように世論を操作しようとしているのですから根本からして体質が腐り切っているとしか言いようがない。

ところでやはり気になるのは海洋汚染です。現段階で原発に隣接する港湾内に留まっているとの報道もなされていますが、それにしてはちょっと気になることがあります。

海産物の放射能汚染に関しては定期的に捕獲調査がなされ、 水産庁のウェブサイトにて公開されています。最新の検査結果としては8/22までのデータが掲載されています。そして福島県内の海洋水産物に限定してデータを追っていくと、8/21の検査結果において基準値超の魚種がいくつかあります。

コモンカスペ(久之浜沖)290bq/kg
ウスメバル(富岡沖)280bq/kg
キツネメバル(大熊沖)150bq/kg
コモンカスペ(楢葉沖)120bq/kg
シロメバル(大熊沖)330bq/kg
ヒラメ(楢葉沖)110bq/kg


これらの海域はいずれも福島第一原発の周辺及びやや南部に位置する海域です。元々放射能汚染度合の高い海域であることは言うまでもありませんので基準値超の結果が出てもおかしくはない。

ですが検出値の推移を追っていくと
  • 久之浜沖のコモンカスペは180(7/10)-->120(7/24)-->55(8/14)-->290(8/21)
  • 富岡沖のウスメバルは130(7/3)-->50(8/14)-->280(8/21)
  • 大熊沖のキツネメバルは44(8/14)-->150(8/21)
  • 楢葉沖のヒラメは19(7/24)-->110(8/21)

但し、
大熊沖のシロメバルは420(7/31)-->330(8/21)
これのみ数値が減少しています。


しかし周辺海域の魚種において、ここに来てその数値が上昇しているケースの方が目立つ。

たまたまの個体差という可能性もあり、まだ現段階で断定すべきではありませんが今後もこの傾向が継続、悪化するようであれば明らかに水産物にも放射能汚染が拡大している兆候と言えます。

また現在の検査というのは対象物質がセシウムです。そして検体の可食部しか検査をされていません。しかし今回の汚染水流出においてはストロンチウムも確認されている。しかしストロンチウムに関しては昨年の12月以降の調査がなされていません。これは絶対に検査体制を見直すべきでしょう。

汚染水の漏洩はすぐに止まるものではないと思われます。ようやく収束傾向に向かいつつあった海産物の放射能汚染がここにきて再び懸念されつつあるというのはとても残念です。

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茨城県内水面の放射能汚染状況・7 [放射能汚染]

8/9に環境省より、茨城県内の公共用水域の放射性物質モニタリング測定結果が発表されました。(PDFファイル)

しかし、毎回書いている気がしますが、今回発表された内容は5月に採取・測定されたもの。リアルタイムの結果発表は無理にしても、もう少し早めの公表であれば尚良いと思うのですが。

前回(4/19公表・2月採取調査分)と比較して約3ヶ月のスパンがあるわけですが、北浦水系においては放射性物質の測定値が上昇した箇所が複数あります。

巴川 159 --> 410bq/kg
大洋川 172 --> 320bq/kg
山田川 190 --> 304bq/kg
雁通川 166 --> 211bq/kg
流川 370 --> 530bq/kg


流入河川8箇所の測定地点中、5箇所において数値が上昇しています。半分以上の地点で数値が上昇しているというわけです。

神宮橋 95 --> 121bq/kg
外浪逆浦 93 --> 113bq/kg


湖心部の数値も上昇気味のところがあります。

北浦水系に関しては、数値として目立って高い場所は見当たらないが、汚染度合は上昇傾向にあると言えます。

一方、霞ヶ浦水系は逆で、ほとんどの箇所で放射性物質の測定値は低下傾向にあります。増加している測定箇所は数箇所しかありません。

一の瀬川 730 --> 840bq/kg
新川 2340 --> 4100bq/kg
花室川 570 --> 810bq/kg
前川 580 --> 630bq/kg
掛馬沖 270 --> 280bq/kg


霞ヶ浦水系において測定値が上昇している地点は以上です。ちなみに前川は過去最高値となっています。

霞ヶ浦水系に関しては、相変わらず幾つかの流入河川において汚染が深刻なところがあります。

園部川 430bq/kg
山王川 860bq/kg
菱木川 600bq/kg
一の瀬川 840bq/kg
新川 4100bq/kg
備前川 1770bq/kg
花室川 810bq/kg
清明川 1290bq/kg
小野川 960bq/kg


北部の流入河川で数値の高い傾向があるように見えますが、位置関係が近い河川でも数値が低い川もあります。しかし依然として新川の数値は霞ヶ浦水系では突出しています。

一方、だいぶ南側に位置しているはずの小野川の数値が気になります。小野川は調査開始した当初は200bq/kg台だったものがどんどん上昇してとうとうここまで来てしまった感があります。汚染物質の拡散具合が他の河川とは異なるようです。

霞ヶ浦水系は少しずつ数値が低下している場所が多いが、依然として高い汚染度合の場所があるので引き続き注視していく必要があると感じます。

原発事故から2年半近くが経過した今。もうだいぶ汚染も収まってきたんでしょ?という見方をされる人が多いと思います。が、結果は報告した通りです。残念ですが状況は改善してはいないというのが現実です。

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日立市沖のスズキから1000bq/kg [放射能汚染]

やっぱりというか、福島原発の汚染水は海に流出していました。以前からその疑いは指摘されていたはずなのに、電力会社がそれをようやく認めたのが昨日。選挙が終わった直後のタイミングとなったのは果たして偶然か?

事故以降、色々不都合なものを隠蔽し、ホトボリが冷めた頃に公表するような電力会社、そして政府。国民の安全よりも、自分達の利権を優先させる腐った体質。そんな連中に、海も魚も安全ですなどと言われたところでそれを素直に信じる気持ちには到底なれない。

ただ、依然として海洋汚染が続いていることだけははっきりしました。

水産庁より、7月1日~7月22日までの間の 水産物の放射性物質調査結果が公表されました。福島県内の海水魚、そして猪苗代湖、桧原湖の魚からは相変わらず基準値超の放射性物質が検出されています。阿武隈川水系のアユやヤマメも然り。ただ、それらは今に始まったことでもないので、傾向として大きな変動があったわけではありません。

ところが今回、茨城県日立市沖においてとんでもないものが捕獲されています。それは何と1000bq/kgのスズキ。

スズキは魚食性の高い魚なので生態系の上位にいます。そのため生物濃縮により、これまでにも他の魚種と比べれば比較的高い検出値の個体がたびたび確認されてきました。銚子や日立市沖で採取されたスズキにおいても120、180bq/kgというのはこれまでにもあった。しかし今回ばかりは桁が違う。突出している。

これまでにも、宮城県内で採取されたクロダイなどでは突出して検出値の高い個体が出ることがありました。しかしスズキでここまで高い数値が出たのはこれまでに例がないと思います。

釣り人ならばご存知の通り、スズキの行動範囲というのは恐ろしく広い。タグを打ってリリースした魚がまるっきり異なる海域で再捕獲されたなんていう話も聞くし、海だけでなく川に遡上していく魚もいる。他の魚種と比べ、行動パターンが多岐に渡り過ぎていて読めない。海で獲れた魚だからといっても、もしかしたら数日前までは川で生活していた個体かもしれない。そして一般の人はそんなことは知らない。ほとんどの人が、スズキが川にいることさえ知らないのです。

出来ることならば、そのスズキがどのような過程でそこまでの放射能汚染を帯びることになってしまったのか調べられれば良いのですが。せめて胃の内容物だけでも調べていてくれたらと思ってしまいます。そこで何かヒントが得られていたかもしれない。

1000bq/kgのスズキが1尾獲れたということは、他にも同じようなスズキがいる可能性は0じゃない。現在、福島県はもとより岩手県、宮城県、茨城県、千葉県(銚子・九十九里沖)においてスズキは出荷制限ないし出荷自粛の措置がとられています。全体的な数値としてはほぼ基準値を下回り落ち着きつつあったのですが、時折こうした突出した検体が出てくる危険性を考慮すれば、スズキに関しては出荷制限の解除はまだ程遠い現状にあると考えておいた方が良いでしょう。

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魚類の放射能汚染状況 ~2013年7月 [放射能汚染]

事故から2年以上が経過した今でもなお、ニュースでは原発や汚染水に関連する内容が途絶えることがありません。そしてどうやら、福島原発の汚染水は海に漏れ出している可能性が高い。海洋汚染は今もなお進行中です。一方、そんなことはお構いなしに、原発を推進しようとする政党が主導権を握っているのだからこの国は本当にどうしようもない。

昨日、水産省より「水産物の放射性物質の調査結果」の7月前半分が発表になりました。以下、気になる部分のみ抜粋します。

【淡水魚】

7/1 千葉県松戸市江戸川 ウナギ 71bq/kg
7/1 千葉県松戸市江戸川 ゲンゴロウブナ 55bq/kg
7/3 福島県猪苗代湖 ウグイ 140bq/kg
7/3 福島県桧原湖 ギンブナ 120bq/kg
7/3 福島県桧原湖 コイ 110bq/kg


ホットスポットと呼ばれる葛飾地区を流れる江戸川。そこで獲れる魚はやはりその影響が色濃く出ています(ちなみに荒川、中川で7月に採取されたウナギは検出限界値未満です)。特に顕著なのはちょっと前に騒ぎになった江戸川のウナギ。現在では基準値こそ下回っているものの、相変わらず高い数値が出ています。

肉食魚ではなく植物性プランクトンを主食とするゲンゴロウブナ(ヘラブナ)で55bq/kgというのは高い数値だと思います。決して生態系の上位に位置する魚ではないし、ウナギやナマズのように底付近を徘徊するような魚でもない。これは植物性プランクトンさえも汚染されている可能性が高いと思います。

福島県内の湖に関しては、今回はマス類の調査結果はないようです。時期的に冷水温を好む魚類は採取しにくいのかもしれません。しかし、コイ科の魚でさえここまでの数値が出ているという点については、あまり軽視すべきではないでしょう。

【海水魚】

7/3 宮城県金華山~江の島沖 スズキ 25bq/kg
7/3 宮城県菖蒲田浜沖 スズキ 25bq/kg
7/3 宮城県仙台湾 ヒラメ 28bq/kg
7/3 宮城県岩沼市二の倉沖 ヒラメ 54bq/kg
7/3 茨城県北茨城市沖 ババガレイ 20bq/kg
7/3 茨城県北茨城市沖 マコガレイ 24bq/kg
7/4 宮城県岩沼市二の倉沖 ヒラメ 44bq/kg


福島県内の海域で採取される海産物は言うに及ばず、依然として宮城、茨城の海域も汚染が残っています。特にヒラメ、カレイといった底層魚、そして魚食性が高いスズキは食物連鎖による生物濃縮で高い数値が出る傾向があります。依然として注意が必要だと思います。

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