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スモール・シンクスパイダー [製品開発]

イモグラブもそうですが、バルキーでショートボディー(要はポッチャリ体型)のワームはある程度フックを選びます。これが合っていないと、バスが甘噛み傾向にある状況下ではスッポ抜けが多発します。

シンクスパイダーの開発時においても、マッチさせるフックというのは常に試行錯誤を繰り返していました。結果的に、市販されているいくつかのフックがシンクスパイダーにマッチすることがわかったため製品化に漕ぎつけたのです。

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私がテスト段階で多用していたフックはがまかつの322(#2)、ハヤブサの951(#2)。ショートシャンク&ワイドゲープでその加減が絶妙な形状です。

但し、シンクスパイダーの小型版を開発したとしても果たしてそれに合わせられるフックがあるかどうかがネックでした。私が多用するがまかつ322は#2が最小サイズなので合わせられない。そんな理由もあって、シンクスパイダーは2.2インチよりも小さいサイズを作るのは止めておこうと思っていました。開発するつもりはないと人に話したこともあったはずです。

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2020年1月、横浜釣りフェスティバルにてシンクスパイダーを発表。多くの来場者にシンクスパイダーを見ていただくことが出来ました。「これは釣れそうですね!」と大勢の方に言っていただき非常に嬉しかったのですが「もっと小さいものを作る予定はないですか?」という声も非常に多く驚きました。それはフィッシングショーOSAKAの会場でも然り、発売後のユーザーさんからの意見としても無視が出来ないレベルでした。

さすがの私も、それだけの要望をいただいているのならということでひとまずサンプル製作に着手することにしました。ただ、この時点で幾つかの難題にぶつかるであろうことは容易に想像出来ましたのであまり気は進みませんでしたが・・・。

ちなみに、浮く虫系である「モッサ」も1.6インチと2.2インチの2サイズ展開です。どちらの方が売れているのかと問われれば1.6インチの方が売れています。シンクスパイダーも2サイズ展開にすれば小さい方が売れるのは間違いないところではありました。

(つづく)

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艶やかなるリアルベイトフィッシュソフトベイト・5 [製品開発]

ソフトベイトをリアルベイトフィッシュとして表現する場合に自分がこだわっている点。それはスケール模様や胸ビレなどは入れずプレーンな表面仕上げとすることです。ハードルアーで同じことをしようと思ったらスケール模様は必須でしょうけど、ソフトベイトの場合は入れない方がいいというのが私の見解。ヴィヴィッドライブを作った時からその考えは変わっていません。

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プレーン仕上げの方が確実に艶めかしさが表現できる。水中に入れるとさらにその違いは大きく出る。内蔵した反射板の反射光もしっかり出せる。

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1992年からスミスが輸入販売していた「ネフベイト」。パッと見はなんて事のないシンプルなワームです。けれども、これをジグヘッドにセットして湖水に入れた瞬間に驚愕した。これはまんま小魚じゃないか!!

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そして私だけでなく大勢の人が見た瞬間に衝撃を受けたであろうフラッシュトリックス。今でも全然通用するワームだと思う。

プレーンな表面処理、そしてホログラムのアイ。これがベイトフィッシュを模すソフトベイトのキーポイントとなる。私自身は間違いなくネフベイトとフラッシュトリックスに多大な影響を受けています。

そして何より現時点での生産工場の高度な技術。凄い、ここまで出来るのかと驚きながら開発を進めていました。

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リアルミノー顔負けのリアルフィニッシュ。ソフトルアーもハードルアーに負けないレベルに達してきました。究極の艶めかしさ。現代の技術ではここまでベイトフィッシュを再現できるのです。

新ヴィヴィッドライブは艶魚(アデウオ)として生まれ変わりました。ロックフィッシュ用ソフトベイトブランド・オーシャンパフォーマーから新発売です。

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艶やかなるリアルベイトフィッシュソフトベイト・4 [製品開発]

ワームの本体内に反射板をインサートして反射光を得たい。でも、オフセットフックとの干渉は無くしたい。ワームの柔軟性も活かしたい。

いかんせん相反している事項ですからその解決策には苦心しました。具体案はあれこれと考えましたが生産工場での技術的な可否もあり、最終的には反射板を入れる位置をオフセットフックのベンド位置よりも前方までに止めるというシンプルな手法を採用しました。

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折角反射板を入れるのだったら、これが後方まで長く伸びている方が見栄えがいいに決まっていますし、明確な反射光の効果も得られやすい。ちなみに、反射板を後方まで長く伸ばしつつもオフセットフックとの干渉を避けるためのアイデアというのもありました。でも、反射板が後方まで伸びているとワーム自体の柔軟性というのはどうしても損なわれてしまう。ボディー全体がピキッと張ってしまう。くねらない。

そしてもう1つどうしても解決しなければならなかったのが本体内が中空構造であるが故のフック保持力の弱さでした。特にロックフィッシュゲームの場合、シチュエーションによってはヘビーウェイトシンカーと組み合わせてフルキャストしたりします。フックを刺し通す位置が本体内の中空部分に掛かっていると保持力が弱いために簡単にズレてしまう。

新ヴィヴィッドライブでは反射板を短くするのと共に中空部分もギリギリまで短くしました。

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その結果、フックを刺し通す位置に関しては中空でなくしっかりと身が詰まっています。これによって保持力が上がりフックがズレにくくなりました。

これで懸念されていた改善点は全て解消できた。オフセットフックを用いたリグで使ってみて、ここまでしっくりくる反射板入りのワームというのはこれまでになかったはずです(フックサイズは#1~1/0を推奨)。

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本体の背中側にはスリットも設けてオフセットフックの収まりも向上させました。

反射板入りのワームって見た目はいいんだけど・・・という人にもこれならきっと納得してもらえるはず。オフセットフック対応コンセプトは是非とも実感してもらいたいところです。

(つづく)

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艶やかなるリアルベイトフィッシュソフトベイト・3 [製品開発]

新型ヴィヴィッドライブはあらゆるリグに使えるバランスというのがメインコンセプトの1つですが、もう1つの重要なコンセプトがあります。それはヴィヴィッドライブのコンセプトでもあったリアルベイトフィッシュソフトベイトの実現です。さらに今の技術があればヴィヴィッドライブとは比較にならないくらいリアルなワームに仕上げられる。でもどうしてそこまでリアルフィニッシュにこだわるのか。

東北では鮭の稚魚が降海する際、一時的に河口付近の港湾部に溜まることがあります。そうするとロックフィッシュの活性も一気に上昇する。現地では俗に鮭稚魚パターンと呼ばれています。ところが、あまりにも特定のベイトフィッシュに偏食しているものだからグラブもホッグも効きづらいとのことなのです。サイズ感、シルエット、外観、泳ぎ、とにかく鮭稚魚に似せる必要がある。

そして鮭稚魚パターンはその一例に過ぎません。何らかのベイトフィッシュが接岸すればターゲットは偏食傾向が強くなる。その時のベイトフィッシュになるべく似せることはそうした状況下での打開策となり得るはずだからです。

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そして今の生産工場の持てる限りの技術を駆使してサンプルを制作してもらったところ、私の想像以上のものが出来上がってきた。反射板のインサートも可能でした。反射板のインサートは是非とも実現させたい事項の1つでした。ラメの細かな反射光の中にキラリと違う反射光を出せる。それだけ反射が複雑になる。それは間違いなく武器になると感じているからです。

ところが、それをテスターの人に渡すとあまり好ましくない反応が返ってきました。コレ、見た目にはいいのだけれど・・・と。どういうこと?!

テスターの八重樫さんは各社のロックフィッシュ用のワームもあれこれと使い込んでおり、それぞれのメリット・デメリットに関しても深い知見を持っていました。そして反射板入りのワームに関しては幾つかのデメリットを挙げられました。新ヴィヴィッドライブのサンプルもこれに当てはまるとのことでした。

  • オフセットフックをセットする際、フックを反射板の左右どちらかにズラさなくてはならず、バランスが崩れる
  • 使用後、フックを外そうとすると反射板に引っ掛かる
  • フックを刺し通す位置が中空であるためフックの保持力がなく、ズレやすい
  • 反射板の硬さによってワームの柔軟性が損なわれる

私自身も反射板入りの製品はバス釣りで使っていました。そしてどちらかというと「見た目のリアルさで喰わす」ジャンルだからと割り切っていたのですが、ロックフィッシュゲームでは確かに大きなストレスとなるのは間違いありませんでした。

反射板入りのワームを使ったことがないという人もいるかと思いますので、まずはその構造を説明させていただきます。

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反射板にはアルミの薄いシートが用いられています。チョコレートの包み紙みたいな感じです。左右両面に光沢が必要なので1枚ではなく2枚を張り合わせたものです。スミスではスケールタイプの反射シートを採用しました。写真のシートはゴールドですがシルバーも多用しています。

そしてボディー内において反射シートが入っている部分と周囲の若干の余白部分が空洞となっています。これは製造工程上の理由によるものですが、バス釣りにおいてはこの空洞を上手く活用されている人もいますね。

この構造を知っていただいた上で、フィールドテスターの人から挙げられたデメリットをおさらいしてみると、おおよそ納得してもらえることと思います。

でもこんなにデメリットがあるのならばもう面倒だから反射シートを入れることなんて止めてしまおうかとも思いました。でもそれは非常に消極的な開発姿勢ではないのかなと思い直したのです。
そもそも、生産工場の持てる技術をフルに使って、とことんリアルベイトフィッシュの再現にこだわったワームを作ろう、というのが元々の狙いだったわけですから。

(つづく)

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艶やかなるリアルベイトフィッシュソフトベイト・2 [製品開発]

ロックフィッシュ版のヴィヴィッドライブ。そのサイズ感や形状といったアウトラインはテスターさんと意見交換しながらモデリングを進めていきました。

ジグヘッドリグをメインに考慮していたヴィヴィッドライブ。これをオフセットフックを使った各リグで使用すると、テールの抵抗が大きいためにワーム自体がバランスを崩してしまいます。また体高があるためにオフセットフックの抜けが悪く、フッキング率も良好とは言えませんでした。

ロックフィッシュゲーム、特に根周りや捨石周りをじっくりと探りたいというのであればテキサスリグや直リグ(リーダーレスダウンショット)、ダウンショットなどは欠かせません。だから当然、これらのリグでの使用において快適に扱えるものであることが必須条件でした。

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まずはヴィヴィッドライブに比べて全体のフォルムを細身に設計し直しました。これによってオフセットフックによりマッチするフォルムとなり、フッキング率も向上させることが出来ました。

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そしてシャッドテール部分は各リグでの使用時にバランスを崩すことのないように小型化しました。

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設計し直したフォルムで制作したサンプルはテスターの人にフィールドテストによる結果確認を依頼すると共に、宮城県で開催されたロックフィッシュイベントで展示をし、来場者のロックフィッシュアングラーの人達に直接意見を伺いました。そこでサイズ感や形状はこれで間違いないという確信を得るに至りました。

現在、ロックフィッシュゲームは東西で異なったスタイルに進んでいると感じています。ターゲット自体も異なり、東がソイ・アイナメがメインであるのに対し西はハタ類です。当然使用するワームの傾向も違っていますからどちらに対しても最高!というものはあり得ません。
新型ヴィヴィッドライブに関しては、東北の港湾部を中心としたショアからのロックフィッシュゲームを見据えた設計として開発を進めていきました。

(つづく)

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艶やかなるリアルベイトフィッシュソフトベイト [製品開発]

2007年に発売となったヴィヴィッドライブ。私の判断で2020年のカタログから廃盤としましたが、勿体ないという意見もありました。というのも、発売後10年以上も経過するというのにセールス的には未だに悪くなかったからです。一定数でずっと売れ続いていた。これは根強い人気のある地域があったことと、海外での支持が高かったのがその理由ですが、なかなかないことです。1度生産してそれっきりなんていう製品も少なくありません。

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ヴィヴィッドライブは元々シーバス用に開発をした製品です。ただ単に投げて巻けば釣れる、シンキングミノーのようなワームを作りたかった。実際、ヴィヴィッドライブは5g程度のジグヘッドで投げればテールのみならずボディー全体も連動してロールします。

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軽くチェイスしてくるだけの魚も掛けれるよう、トレブルフックのアシストフックをセット出来る構造にもなっています。ちょっと凝りすぎたかな?と今では思っていますが。

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実際、ヴィヴィッドライブは物凄くシーバスが釣れるワームです。

ところが、定期的にオーダーをいただけるショップの立地を見てみるとどうもシーバス以外の用途で使われているということがわかってきました。で、話を伺ってみるとロックフィッシュ用途で売れているということでした。岩手在住のフィールドテスターである八重樫さんも、スミスのテスターになる前からヴィヴィッドライブをロックフィッシュに使っていたとか。

モッサを沈めて使われてしまったり、ヴィヴィッドライブをシーバス以外の魚種で使われてしまったりというのは開発者としては微妙な気分ですが(苦笑)それだったらいっそ、ヴィヴィッドライブをロックフィッシュ向けにブラッシュアップしてみようという気になりました。
そしてそう考えたのにはもう1つ理由があってヴィヴィッドライブの開発時点と比較して今では製造工場の技術が飛躍的に向上していたからです。

現在の技術でどんなことが出来る?その問いかけに対して工場からの回答内容には驚かされました。ヴィヴィッドライブ開発当時には不可能だったあんなことやこんなこと、それらも可能になっていたからです。ヴィヴィッドライブは大きく進化させられる、そう確信しました。

(つづく)

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戦闘力******のカラー [製品開発]

新たに発売するシンクスパイダーにラインナップ、そしてモッサにも新色として追加される"FRZ"。

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FRZとは一体何ぞや???

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元ネタはイモグラブの#359(スモークブルーパール/シルバー&パープルフレーク)です。実はこのイモ#359、超絶釣りウマアングラーのMさんが三島湖でダントツ釣果を得ているカラー。普通の人がようやく10尾釣れるかどうかという時にMさんは40尾ほど釣っていたり。まぁコレだけ使っているわけではないでしょうけど。
誰もが知っているであろうMさんですが迷惑が掛かるといけないのでここではお名前は伏せておきます。

何度か湖上でもお会いし、その時に#359の話を振ってみると・・・

「あぁ!●リーザですね!何せ戦闘力******ですからね!!半端ないですよ!」
(いや、あの、何を言っているのかわからないんですけど・・・)
「つまり、バスが浅場で稚ギルを食ってる時にはメチャクチャ効くんですよ!」
(あぁ、やっと話が理解できた)

そしてどうやらMさんの周りではイモの#359は「●リーザ」と呼ばれているらしい。ここまで書けばもうおわかりですよね。あのアニメの有名な敵キャラです。言われてみれば確かにそれっぽい(笑)。このカラーの事を最初に「●リーザ」と呼んだ人のセンスは素晴らしいなぁ!

ただですね、アニメのキャラクターや特撮ヒーロー、怪獣などの名前というのは要注意なんです。というのも、商標の分類で釣具とおもちゃは分類が同じなのです(●リーザの場合は某大手釣具メーカーさんが釣具で商標を持っていましたけど)。迂闊に使うことが出来ない。

商品名ではなくカラー名ではあるのですが、一応その辺りのところも考慮して「●リーザ」という名称は避け、FRZ。わかる人だけわかってくれれば(笑)。

で、Mさんの勧めに従い自分も三島湖でイモグラブの#359を試してみました。すると・・・バスがイモグラブを見付けるや否やすっ飛んでくる!!何なんだ、この反応の良さは。ビックリしました。でも他のフィールドだとそこまで突出した威力は感じないのですけど、不思議だなぁ。

三島湖爆釣カラー"FRZ"。発売されたら是非お試し下さい。

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シンクスパイダー 真っ直ぐ落ちていく・5 [製品開発]

シンクスパイダーはスライドせず真っ直ぐ沈むことがコンセプトの1つです。狙った場所に確実に落とすためにはそれが不可欠でした。

本来このためにはボディー断面が真円であることが理想です。ところがそうしてしまうとオフセットフックのフッキングに難が出る。スッポ抜けやすくなってしまうということです。
そうした点では横方向に潰れた偏平であるのがいい。でもあまり偏平になりすぎると今度はスライドフォールしてしまいやすい。だからシンクスパイダーは、偏平率を抑えた楕円形状となっています。具体的には、モッサ2.2インチよりも偏平率は抑えてあります。

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真円 <---イモグラブ---シンクスパイダー---モッサ2.2in---> 偏平

また、オフセットフックのフックアップ率を向上させるためにスリットを設けてあります。

真っ直ぐに沈むということはサイトフィッシングだけに有効なわけではありません。垂直岩盤、単体の立ち木や杭など、狙ったスポットからいかに離れないように沈ませるかというのが極めて重要です。勿論、ラインテンションのコントロールありきの話ですが。

シンクスパイダーには生産工場が嫌がるレベルでソルトを混入させています。生産工程上これまでの限界とされていたレベルの、さらに上まで頑張ってもらった。それでもゲーリーヤマモトマテリアルほどの高濃度には達していませんが、それに近いレベルには達しています。自重も3.1g程度あります。現在市販されているシンキングインセクトベイトの中では私が知っている限りでは一番速く沈みます。



沈下速度についてはコンセプト自体にも関わる部分ですので随分と悩んだ部分です。そもそもスレっからしの見えバスを釣ろうと思ったら、あまり沈む速度は速くない方がベターである気もします。じらして喰わすのならその方が絶対にいい。
でもそうした使い方であれば既に発売されている他社製品に良いものが幾つかあります。用途がまるっきり被るものをあえて作る必要はない。

シンクスパイダーは沈みが速いので、湖岸沿いを比較的早い速度でクルーズしているような足の速い見えバスを狙い撃ちするのに向いています。さらに、浅い側から深い側に向かっていこうとするバスも捉えることが可能です。

そしてシンクスパイダーは普通にノーシンカーでバンク撃ちをしながら流していく事が出来ます。イメージ的には少し軽くなったイモグラブ感覚とでも言いましょうか。

自分が気に掛けていたのは、そもそもサイトフィッシング自体がかなり難易度の高い上級者向けの釣りだということです。沈む虫系が流行りとはいえ、皆さん本当にそんな難易度の高い釣りばかりをされているんでしょうか?
ただでさえ週末のフィールドは人出も多く、どうしても後手に回ることも少なくないはずです。朝なんてインレットの上流部目指してレース状態になることも多々ありますよね?ちなみに私のエレキは12V54lbですのでレースになると絶対負けます(涙)。

そう考えると、沈む虫系でサイトフィッシングが出来るのは1級ポイントに1番乗りする一握りの人達に過ぎず、そのタイミングも限られたものと言えます。つまり、沈む虫系のワームは本来あまり出番自体が多いものではないのです。

その点、シンクスパイダーは通常のノーシンカーバンク撃ちでも使えますので、比較的どなたにでも扱いやすいものに仕上げてあります。使い手のスキルは問わず楽しんでいただけるものと自負しています。

**********

ピンクスパイダーは真っ逆さま 墜落してゆく。
シンクスパイダーは真っ直ぐに水平姿勢で落ちていく。

このネーミング、ピンと来ている人が多いでしょうけれどあの曲が由来です。製品が完成する前から名前だけは決めていた。それならどうしてピンクがないの?と言われてしまうんですが。

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シンクスパイダー 真っ直ぐ落ちていく・4 [製品開発]

フックの自重がバランスの大部分を占めてしまうシンキングインセクトベイト。このジャンルの性能の優劣は見分けが付きにくいのは確かです。では、ワーム自体の性能を比較したいと思ったらどうしたらいいでしょう?

答えは簡単で、水槽でもお風呂でもいいのですが、フックを刺さずワーム単体で沈めてみることです。スライドフォールしてしまうもの、斜めに傾いて沈んでしまうもの、中には頭から沈んでしまうものもある。

シンクスパイダーは単体でも「真っすぐに」「水平姿勢で」「素早く」沈みます。あえて意地悪をして、傾けた状態で水に落としても即座にクルリと翻って姿勢を正してしまう。これがシンクスパイダーのセルフレベライザー(自立水平姿勢保持)機能です。



意図的に横方向に水面に落としていますが、次の瞬間には姿勢を正してフォールしていくのがわかると思います。シンクスパイダー以外の製品でも自力で姿勢を正すものはありますが、クイックに姿勢を立て直すスピードとしてはシンクスパイダーが最も優れている部分です。

シンクスパイダー以外で、自力でバランスを正すことの出来るワームもあります。製品によって異なりますが、その原理は2種類です。
  • そもそも左右のバランスが取れているので、沈みながらゆっくりと姿勢を正していくもの。
  • 本体の上下で素材の比重を変えてあるもの。腹側を高比重にしている。

なお、シンクスパイダーはフォールスピードを速めるために素材自体は全体を一律に高比重ソルトイン素材を使っています。

シンクスパイダーのセルフレベライザー機能は、上記の2種類の原理とは異なる手段で姿勢を正すよう設計されています。シンクスパイダーのセルフレベライザー機能は、沈下の際に毛(脚)の間を通り抜けていく水流抵抗によってもたらされるものです。

毛が生えていること自体、沈む力にとっては抵抗以外の何物でもありません。速く沈みたいのに毛が抵抗となって邪魔をする。けれどもシンクスパイダーには毛の方向性、生えている位置の関係で、水流抵抗が軽くなる位置があります。抵抗が強いまま無理して沈もうとするのではなく、おのずと水流抵抗の軽い姿勢を取ろうとする。それがセルフレベライザー機能の原理です。

とはいえ実際のところ、オフセットフックをセットすればどの製品も大差はないです。単体で沈めると頭から落ちて行ってしまう製品だって、オフセットフックをセットすればそれなりには水平姿勢になりますから。

但し、シンクスパイダーの場合はワーム自体の姿勢保持のポテンシャルがズバ抜けているという点だけは自信を持って言っておきたいと思います。

(つづく)

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シンクスパイダー 真っ直ぐ落ちていく・3 [製品開発]

今現在「沈む虫」ブームとなっていますが、自分はこれをあまり「虫」だと思い込まないことが使いこなす秘訣ではないかと思っています。使う時期やリグなどもとても幅広いものだからです。イメージ的にはむしろエビの方が合っているのではないでしょうか。ノーシンカーだけではなくてダウンショットリグで使ってみても悪くないです。

ただ、シンキングインセクトベイトならではの強みを最大限に発揮できるのはノーシンカーのサイトフィッシングだと思います。自分はその道の達人ではないですけど。

見えバスを発見!早速、狙った場所にワームを撃ち込んでみる。
こうした魚は大概はスレッカラシなので、アプローチに失敗すると警戒心を増してしまいチャンスを逃してしまいます。一発で決めることが肝要です。

見事、狙った場所にワームが落ちた。さぁ、喰え!心臓が高鳴る瞬間です。
が、必ずしも思い通りになるとは限らない。
  • ワームが思わぬ方向にスライドして沈み、魚の視界から離れてしまった。
  • ワームが斜めに傾いた姿勢で沈み、バイトに持ち込めなかった。
  • ワームが沈んでいく間にバスがどこかに泳ぎ去っていった。

こんな経験をされてきた人も少なくないはずです。

釣りなんて自然を相手にした駆け引きですから必ずしも思ったように行かないのは当たり前。ただでさえ釣るのが難しい相手ですから、最高のアプローチが出来たのに口を使わなかったというのならばそれは仕方がない。でもせめてアプローチは成功させたい、それが前提条件だと思うから。
そのためにも、使うワームには
『狙った位置に真っ直ぐ沈んで欲しい』
『水平姿勢を崩さずに沈んで欲しい』

そしてそれが出来るインセクトベイトを求めて試行錯誤を繰り返してきました。シンクスパイダーはその集大成です。

ノーシンカーのフォーリングの釣りをやり込んでいる人だったらきっとその重要性はわかってくれていると思います。ワームの沈下姿勢が水平であるものほど良く釣れる。頭下がり、尻下がりよりも水平姿勢の方が断然喰う。中層レンジで頭下がりや尻下がりになっているベイトフィッシュなんていないですものね。

ストレートワームのように長い形状のものはワッキーリグでセットすることにより水平姿勢でフォールできます。一方、インセクトタイプのように短い形状のものはオフセットフックを使用すればおのずと水平姿勢にはなります。フックの自重による影響が大きいので、あまりワーム自体の性能には差異が出ないというのが正直なところです。

そしてもう1つ重要な事。ワームが傾かずに正しい姿勢で落ちること。上下左右がブレずに沈むことです。でも、これもまたオフセットフックをセットすれば余程バランスが悪くない限りは問題のないレベルになることがほとんどです。

オフセットフックをセットすれば、ワーム自体のバランスはあまりシビアでなくてもいい。極論すれば、余程おかしな形状でもしていない限り水平姿勢で沈んでいくし、左右のバランスもそうそう崩れるものではありません。だからシンクスパイダーも適当に、それらしくデザインしました・・・なんてワケがない。

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シンクスパイダーはワーム単体、つまりフックをセットしていない状態でも水平姿勢を維持しながら、バランス良く沈みます。無理矢理おかしな姿勢で沈めようとしても出来ません。クルッと自力で体勢を立て直して水平姿勢に戻ってしまいます。これがシンクスパイダーの大きな特徴である「セルフレベライザー機能」です。

(つづく)

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