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艶やかなるリアルベイトフィッシュソフトベイト・3 [製品開発]

新型ヴィヴィッドライブはあらゆるリグに使えるバランスというのがメインコンセプトの1つですが、もう1つの重要なコンセプトがあります。それはヴィヴィッドライブのコンセプトでもあったリアルベイトフィッシュソフトベイトの実現です。さらに今の技術があればヴィヴィッドライブとは比較にならないくらいリアルなワームに仕上げられる。でもどうしてそこまでリアルフィニッシュにこだわるのか。

東北では鮭の稚魚が降海する際、一時的に河口付近の港湾部に溜まることがあります。そうするとロックフィッシュの活性も一気に上昇する。現地では俗に鮭稚魚パターンと呼ばれています。ところが、あまりにも特定のベイトフィッシュに偏食しているものだからグラブもホッグも効きづらいとのことなのです。サイズ感、シルエット、外観、泳ぎ、とにかく鮭稚魚に似せる必要がある。

そして鮭稚魚パターンはその一例に過ぎません。何らかのベイトフィッシュが接岸すればターゲットは偏食傾向が強くなる。その時のベイトフィッシュになるべく似せることはそうした状況下での打開策となり得るはずだからです。

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そして今の生産工場の持てる限りの技術を駆使してサンプルを制作してもらったところ、私の想像以上のものが出来上がってきた。反射板のインサートも可能でした。反射板のインサートは是非とも実現させたい事項の1つでした。ラメの細かな反射光の中にキラリと違う反射光を出せる。それだけ反射が複雑になる。それは間違いなく武器になると感じているからです。

ところが、それをテスターの人に渡すとあまり好ましくない反応が返ってきました。コレ、見た目にはいいのだけれど・・・と。どういうこと?!

テスターの八重樫さんは各社のロックフィッシュ用のワームもあれこれと使い込んでおり、それぞれのメリット・デメリットに関しても深い知見を持っていました。そして反射板入りのワームに関しては幾つかのデメリットを挙げられました。新ヴィヴィッドライブのサンプルもこれに当てはまるとのことでした。

  • オフセットフックをセットする際、フックを反射板の左右どちらかにズラさなくてはならず、バランスが崩れる
  • 使用後、フックを外そうとすると反射板に引っ掛かる
  • フックを刺し通す位置が中空であるためフックの保持力がなく、ズレやすい
  • 反射板の硬さによってワームの柔軟性が損なわれる

私自身も反射板入りの製品はバス釣りで使っていました。そしてどちらかというと「見た目のリアルさで喰わす」ジャンルだからと割り切っていたのですが、ロックフィッシュゲームでは確かに大きなストレスとなるのは間違いありませんでした。

反射板入りのワームを使ったことがないという人もいるかと思いますので、まずはその構造を説明させていただきます。

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反射板にはアルミの薄いシートが用いられています。チョコレートの包み紙みたいな感じです。左右両面に光沢が必要なので1枚ではなく2枚を張り合わせたものです。スミスではスケールタイプの反射シートを採用しました。写真のシートはゴールドですがシルバーも多用しています。

そしてボディー内において反射シートが入っている部分と周囲の若干の余白部分が空洞となっています。これは製造工程上の理由によるものですが、バス釣りにおいてはこの空洞を上手く活用されている人もいますね。

この構造を知っていただいた上で、フィールドテスターの人から挙げられたデメリットをおさらいしてみると、おおよそ納得してもらえることと思います。

でもこんなにデメリットがあるのならばもう面倒だから反射シートを入れることなんて止めてしまおうかとも思いました。でもそれは非常に消極的な開発姿勢ではないのかなと思い直したのです。
そもそも、生産工場の持てる技術をフルに使って、とことんリアルベイトフィッシュの再現にこだわったワームを作ろう、というのが元々の狙いだったわけですから。

(つづく)

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