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終わりと別れ [災害ボランティア]

本日で年内の佐野市のボランティア活動は終了だそうです。そして年明けは1/11,12。どうやらその日が佐野市のボランティア受付の最終日になるかも?なんて話もチラホラと・・・。

既にニーズの9割以上が完了となっており、残っている案件というのは少ない。そこに多数のボランティアが集まってきてもかえって人手が余ってしまう。今後、佐野市においては事前登録したボランティアのみが需要に応じたかたちで活動を続けていくことになるとのことです。

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自分も社会福祉協議会の人から災害ボランティアの事前登録をお願いされました。散々悩んだのですが、1月以降はフィッシングショー関係のイベント業務が続くこともあってボランティア登録はしないことに決めました。

ですので、1月11日or12日の活動を以て、自身の栃木県佐野市でのボランティア活動を終了することにしました。実をいうと佐野市での活動後は栃木市での活動をと考えていたのですが、こちらは佐野よりも一足早く一般募集を終了してしまい、参加を断念しました(佐野市よりも被害が大きかった事に加えボランティアの参加人数も少なかったはずなのに、佐野市よりも早く終了というのが不思議でなりませんが・・・)。

よって、台風19号関連の自分の復旧支援活動は1月を以て終了とします。

自分に出来る限りの事はやりましたが、未だに泥だらけの家屋や農地、側溝などを数多く目にします。そのため、達成感というものはあまり感じていません。

昨日、以前に訪問したお宅をちょっとだけ見に行きました。勿論、住人の方には声を掛けず玄関先から眺めるだけでしたが。
自分が訪問した際は家の中も庭先も駐車スペースも泥だらけでした。それが昨日は小綺麗な状態になっていた。床上浸水の上に車も廃車になったお宅だったので相当な出費があったのは間違いないはずです。でも、ここのお宅は自宅で落ち着いた年末年始を迎えることが出来るだろうと思いました。
とても嬉しかったです。願わくば被災した全てのお宅がそうであって欲しいところですが、残念ながら現時点ではまだまだです。

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私たち災害ボランティアの望みはただ1つで、被災された方々が1日でも早く元の生活に戻って欲しいということ。ただそれだけです。ですから、街の復旧が進み、災害ボランティアの必要性がなくなる日が来るのは早ければ早いほどいい。

その一方でとても寂しい気持ちになる自分もいます。それは同志との別れが名残惜しい気持ちになるから。

東日本大震災や鬼怒川の水害などにおける活動時も然りでしたが、2ヶ月以上にわたる佐野市でのボランティア活動でも大勢の有志達と力を合わせ、復旧活動に取り組んできました。
ボランティア活動においては見知らぬ者同士がグループを組み、派遣先へと赴いていきます。学生さんもいれば仕事をリタイアした高齢者もいるし、男性ばかりではなく女性もいます。共通しているのは被災者を助けたいという「強い志」です。

災害が起き、生活に困窮する人が出てしまう。その人達だけではどうすることも出来ないのは誰の目にも明らか。そんな時に迷うことなく「すぐに助けに行くぞ!」という思考回路を持ち合わせた人達が災害ボランティアの人々です。それは正義であり、人として当然の事だと思うのだけれど、残念ながら世の中には他人の不幸を見て見ぬふりをする人間の方が圧倒的に多いのが現状です。

ボランティアセンターに続々とボランティアが集まってくる。時には数百人もの人が集まるけれど、世の中では圧倒的少数派。時には周囲から奇特者扱いされることもあるはずです。どうして他人のために貴重な休日を使ってわざわざタダ働きをしに行くのか?と。こればっかりはもう、人間としての思考回路そのものが違うので議論をする価値すらありません。

でも、ここには同じ価値観を共有できる人達が集まってくる。本気で被災地・被災者のことを考え、行動できる人達。年齢も居住地域も職業も性別もまるで違う。こうした場が無ければ決して顔を合わせることのなかったはずの人達が繋がり、同じ目的のために力を合わせることとなる。これは決して偶然なんかじゃなく、集まったことが必然だったんじゃないかと思えるくらい。

やがてボランティア活動が終焉を迎えると同時に、共に力を合わせて頑張ってきた同志達もそれぞれの生活へと戻っていきます。現地で長期に渡り車中泊をしながら参加していた高齢者は元の年金生活に。最も過酷な床下での泥出し作業を率先していた女性も平凡な子育て主婦業に。故郷の惨状を前に居ても立ってもいられず舞い戻ってきたという若者も都心での賑やかな学生生活に。職安で失業保険の受給を蹴ってまで日々のボランティア活動に取り組んでいた無職の男性も、きっとほどなく仕事が見つかることでしょう。そしてバス釣りジャンキーのオッサンは再び釣りが中心の日々へと戻ります。
年齢も地域も環境もまるでバラバラ。だから、世の中が平和であってくれれば私達はこの先に決して顔を合わせることはないでしょう。

同志と共に力を合わせて復旧作業に取り組む日々は体力的にも精神的にも決して楽なものではなかったけれども、同じ思考回路を持ち合わせる者同士の居心地の良さというものは確実に感じていました。そして自分がそこに加わっていることの必然性も。

もう少しで、そんな同志達ともお別れです。共に復旧作業に取り組んでくれた人達にはただただ感謝の気持ちしかありません。出会えたことにも感謝しています。
でも、私達が再び顔を合わせることがあってはなりません。その時はどこかで災害が起こり、被災している人が出ている時だから。

自分もそろそろ元の生活に戻る日が近いようです。居心地の悪い、違和感だらけの日常に。
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