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KURU・RIN・PA!2 [製品開発]

ロックフィッシュゲームというとヘビーウェイトシンカーに4インチクラスのホッグというイメージがあります。今でも磯やボートゲームではそのようなパワーゲームが主流です。そしてそのようなゲームでは大型が釣れる率が高い。メディア露出では大型魚の方が見栄えが良いので必然的に磯やボートでのパワーゲームが多くなります。そしてそうした記事ばかりが目に付くのでロックフィッシュというとヘビータックルでのゲームというイメージを持ってしまう。

しかし自分自身が東北に行くようになって強く感じたのはロックフィッシュゲームが非常に身近なものだということでした。エントリーが容易な漁港でもアイナメやクロソイを釣ることが出来る。
もし海の近くに職場があるなら昼休みに釣りをすることだって出来てしまう。そして当然のように、仕事が終わってからの短時間釣行も出来る。車にタックルを積み込んでおけば、実に気軽に釣りに行けてしまうのです。関東在住の私から見れば、ただただ羨ましいの一言ですけど。

だから、週末などは磯やボートゲームに行くこともあるのだろうけれど、全体的な釣行比率からすれば断然漁港などでのゲームが多い。となると、タックルもかなりライトなものが多用される。
それは現地の釣具店での販売品を見ても明らかでした。4インチを超えるようなワームはさほど売れない。3インチクラスのワームの方が断然売れているという現状がありました。ちなみに、根魚大将も3.4インチより2.8インチの方が売れています。

ロックフィッシュ用の製品を拡充するにあたり、一般的なイメージよりもそうした現状把握を最優先にしたのは言うまでもありません。実際に物を買うのは現場の人達ですからね。

そして現場の人達の意見を聞きつつ、根魚大将に続くロックフィッシュ用のアイテムのラインナップとして選択したのはリングリブタイプのカーリーテールワームでした。特にスミスのフィールドテスターである八重樫さんからはリングリブが絶対条件とまで言われた。確かにこの手の製品はロックフィッシュの世界では昔から根強い支持があります。

でも・・・グラブじゃ駄目なんですか?
リングリブって本当に必要なんですか?

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自分もこれまでバス用として様々なリングリブワームを愛用してきた人間です。古くはレーベルのリングワームに始まり、サタンワーム、デルタベイト、MG、ギドスリンガーといったリングワームの数々。グラブではバスプロショップスのスプリンググラブ、ザ・フィッシンワーム社のガーリックソルト・リンググラブ、フェニックスのサタングラブ。ちょっとバルキーなタイプではパルスワーム、ZIPPER。最近の製品ではレッグワームやAR-Wピンテールもそうです。だから私もリングリブの有効性は理解しているつもり。

では、リングリブのメリットとは。
全体のシルエットは太く見える割にボディー軸は細いのでより細かいロッドワークに即応する動きを出しやすい。
(その他、食感が高くバイトした魚が離しにくい、表面積が広くなる分フォーミュラの効果がより高くなる、引き抵抗が生まれる、といったメリットがあります)。
つまりリングリブというギミックは微細な誘いを多用するフィネス用途のワームないし長さのあるワームに向いているというのが私の持論。

でもロックフィッシュゲームではスイミング、リフト&フォールなどメリハリのある動きで誘うケースの方が多い。それであればわざわざリングリブでなくてもいいんじゃないか?という疑問を抱いたのです。

そもそも過去に発売されたリングリブ付きグラブのほとんどは淘汰されて消えていった。その理由はきっと以下が考えられると思います。
  • ショートボディーはうねらせることがないのでリングリブである必要性がない
  • ボディー軸が細い為にジグヘッドを刺しにくい、さらに裂けやすい
  • 全体のボリュームの割に軽く、自重がない分扱いにくい

つまり、ボリュームのあるワーム、ショートボディーのワーム(=グラブ)においてはリングリブのデメリットばかりが目立ってしまう。何でもかんでもリングリブにすればいいというものではないのです。

だからこそ、どうしてリングリブが必要なのか?その点だけは明確にさせておきたかった。

「理由は何であるかはっきりとは言えない。でも、リングリブがあるワームにはガッツリ喰ってくる。おそらくは水押しが関係しているのではないかと思うんですが・・・。ただ、リングリブによる特別な力は確実に感じます

申し訳ないけれど感覚的な回答内容です。この回答がもし限られた人からしか得られなかったのならば、それは単に個人の思い込みという可能性が否定できない。

ただ、私自身が信頼を置く複数のロックフィッシュアングラーが口を揃えて同じことを言うとなれば話は別です。これはもう信じてみるしかない、というのが本音でした。

(つづく)

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KURU・RIN・PA! [製品開発]

スミスでロックフィッシュ専用ロッド「ベイライナーボロン」を発売したのが2003年の事です。当時はまだロックフィッシュ専用のロッドというのはなく、バスロッドやシーバスロッドの流用が中心の時代でした。

ですが、その後スミスではロックフィッシュ専用のタックルを発売することはありませんでした。さらに追い打ちをかけたのは東日本大震災で、東北の釣り市場はしばらく低迷せざるを得ない状況に陥りました。

当時はまだ私自身もロックフィッシュの釣りにはさほど興味がありませんでした。ですが、震災後にボランティアとして足を運んでいた地方で現地の方々が気を使ってくれて私をロックフィッシュの釣りに案内してくれた。遠方から足を運んでいる私達に少しでも楽しんでいって欲しいという気持ちを強く感じました。

結果、今では毎年岩手に足を運ぶようになりました。釣りだけが目的というわけではないですが、今では現地でクロソイを釣るのが楽しみで仕方ない。
そして現地のアングラーと交流したり、釣具店を訪問して話を伺ったり、自らも釣りをすることでわかってきたことがありました。完全ではないにせよ、東北でのロックフィッシュの市場は回復していると。さらに南方に目を移せばハタゲームの人気にも火が点いていました。あらためてロックフィッシュ専用タックルが必要だ、そう思いました。

しかし自分一人だけがやる気になっていても話がスムーズに進むわけではありませんでした。会社内でも賛同をしてくれる人は少なかった。そこで自分が最初に取った手法はバス製品の流用でした。それであれば開発コストは抑えることが出来る。リスクは少ない。

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オーシャンパフォーマーで最初に発売された製品「根魚大将2.8インチ」はマテリアルの混合物とカラーこそ違えど、バス用の製品「BFスイミーシュリンプ」と同一の金型で製造されているものです。そして爆発的な人気とまでは言いませんが、根魚大将2.8インチはBFスイミーシュリンプの何倍も売れた。しかもコンスタントに売れてくれて未だに売り上げが落ちていません。
こうして売り上げ実績が証明出来てからは一気に話が進めやすくなりました。新たに根魚大将3.4インチを追加発売し、さらなるロックフィッシュ専用商品にもすんなりとOKが出る状況にまで持ち込むことが出来ました。

自分が幸運だったのは、ロックフィッシュゲームを指南してくれるアングラーに恵まれた事です。自分もさほど頻繁に現地に足を運べるわけではない。それでも現在のロックフィッシュゲームの現状に関しては情報を教えてくれる人達が居る。とてもありがたい事です。

ロックフィッシュゲームというと、ゴツいタックルで1oz以上のヘビーシンカーを使ったテキサスリグで、4インチ以上のホッグワームをブン投げている。ロックフィッシュゲームと無縁な地方の人には未だにそのようなイメージを持っている人が少なくありません。もちろん現在でもそのようなスタイルが皆無だとは言いません。磯やボートロックではヘビータックルがまだまだ主流です。
ただ、とある大会で参加者のタックルを見たら、ほぼ全ての人がスピニングタックルで軽めのリグを投げていました。現地の釣具店で売られているワームも小型のものばかり。ちなみにホッグ系を使う人はもう少ないとも言われた。

この時に思いました。勝手なイメージだけで製品開発を進めなくて良かったと。

オーシャンパフォーマーの製品を拡充させていくにあたり、参考としたのはやはり現地のアングラーの声でした。現在では正規にフィールドテスターとして活動して下さる方もいますのでさらに細かい部分まで意見を聞くことが出来るようになりました。フィールドテストに関しても然りです。

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そして2019年の新製品として発売となるのがオーシャンパフォーマー『狂輪波』(くるりんぱ)です。

(つづく)

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2018-05-20 [製品開発]

先日、若手のソルトゲームフィールドテスターの人からこんな要望が来ました。

とあるメバル用プラグを***な使い方をしたら特徴的な面白い動きになった。しかもこの動きに対するメバルの反応が非常にいい。この動きをするプラグを開発してもらえませんか?というもの。

よくあのルアーをそんな使い方しようだなんて考えたねぇ!と感心しきり。やっぱり若い人の発想は柔軟で面白い。

ただ、その使い方をすると動きは面白いかもしれないが致命的な欠点が生じる。単純にそれを真似てカタチを起こしたところで欠点は解消しない。欠点を解消しようとすると動きの良さは失われてしまう。
そもそも、カタチが特異過ぎて売れそうもない。ソルトの場合は特にそれが顕著な分野でもあるので。

だからこのルアーの開発に関しては前向きな返答を出さなかった。その場でハッキリと断ってもいいレベルだったかもしれない。開発の方向性が今一つハッキリとは見えないし、それを実現したところで売れるものになるという気がしない。

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でも何となく心に引っ掛かるものがあり、自宅でバルサを削り始めた。この程度のモノだったら30分位で手軽に作れます。塗装は面倒ですけど。

提示された形状のものとは全くの別物ではありますが、同じ動きが出せればいいわけだよね。これで上手くいけば提示品に存在した致命的な欠点も発生しない。

幾つか試作をしてみて、動きが出せなければボツ。もし狙い通りの動きが出せて、フィールドテストの結果もいいとなれば、製品化するか否かを会社に判断してもらうことになる。

ただ、こうした案件はルアー造りをする立場の人間としてはなかなか面白い。ドコドコの製品が良く売れているから似たようなものを作れ、などと商売的な事を言われてしまうと気持ちが萎えてしまいますが、ルアーの動きがこうだと魚の反応がああで、というものを目指すというのが気持ち的には一番燃える。開発案件としては一番難しいんですけどね。

ただまぁ、製品化に繋がる可能性は10%くらいかな。

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たかがハリス止めなれど [製品開発]

するするタケちゃんという糸通しがあります。武田栄さんが考案者です。元々の開発担当者は私ではなかったのですが、マイナーチェンジを図って発売することになり、それを機に自分が担当をしました。

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するするタケちゃんは細かなマイナーチャンジが図られており、自分が担当した最新版(紺色のパッケージ)で3代目になります。

武田栄さんがこの製品を提案してきた時、本当にこれを製品化するの?!と思いました。だってハリス止めにゴム紐を付けただけじゃないか。見るからにチープな雰囲気。果たして売れるんかいなコレ。

しかしその後、爆風の冬の夜の鹿島で痛感することになる。フロロ2lbをガイドに通すことがこんなにも難儀だったなんて。もちろん明るい時間帯だったら何の問題もないし、無風だったら楽に通せたと思う。でもこの時ばかりはそうではなかった。「アレさえあれば・・・」心からそう思った。

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そしてするするタケちゃんは人気商品となった。一度使ったらこの便利さは他では代用できない。自分はバスタックルにもするするタケちゃんを使っています。近年はマイクロガイドが多くなったので、これが実に重宝する。4mm径のガイドまでならSサイズで通せます。老眼の人でも楽々ですよ。

で、この製品の担当になった時、マイナーチェンジの開発自体はチョロいだろうと思いました。だってハリス止めとゴム紐をくっ付けただけですから。でも実際には想像以上に時間が掛かった。武田さんと自分はとにかく良いハリス止めを模索しました。ちなみにゴム紐に関してもするするタケちゃん専用の特注品を使っています。

その過程で驚いたのは、ハリス止めと言ってもその出来具合がピンキリなんだということでした。自分は昔、ヘラや小物釣りなどもやっていたことがありましたが、その時にはハリス留めなんてどれも大して変わらないと思っていました。ですが、するするタケちゃんに適したハリス止めを模索していって10社近いの製品を試しましたが、武田さんと私が納得できるものはたった1つしかなかった。

そもそもハリス止めというのは1本のワイヤを曲げて作られています。だからどこかに切れ目がある。そこの切れ目はどの位置にあるのか。そしてその切れ目はどう処理されている?

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例えばこのハリス止めは切れ目が先端にあります。溶接処理がされているものがほとんどですが、溶接が甘いものは太いラインを挟み込んだ際に溶接が剥離する。まぁ元々ハリス止めというのは細いハリス用ですから、本来の用途であればこれでも別に問題はありません。でも糸通し用となると話が違ってきます。

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このハリス止めは切れ目がクビレ部分にあります。溶接はされていません。赤いスレッドで止められています。使用上の問題はないと思いますが、外見的には厳しいですね。切れ目の部分を溶接できませんか?と聞いてみましたがさすがに小さすぎるものなので出来ませんとの事でした。

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そしてこのハリス止め。クビレ部分に切れ目があるのですがそれが全くわからないくらいに丁寧な溶接がされている。こんな小さな接続金具にこれだけ丁寧な処理がなされているものはこれしかなかった。ちなみにNTスイベルというブランドのハリス止めです。新しいするするタケちゃんにはこのハリス止めを採用しています。

たかがハリス止め、されどハリス止め、です。

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サイズアップ根魚大将・2 [製品開発]

根魚大将のベースモデルであるBFスイミーシュリンプはJB TOP50の川又プロの監修品でもあるので、根魚大将のサイズアップ版に関しても自分だけの判断で勝手に開発を進めるわけにはいきませんでした。
「実はソルトの人から要望があって、根魚大将のサイズアップモデルを作りたい」と川又プロに話を持ち掛けたところ、偶然にも川又プロ側からもBFスイミーシュリンプのサイズアップ版が欲しいという要望が出ることになり、意見とタイミングが一致したところで開発を進めることにしたのです。

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デザインのキーポイントは把握していたので理想通りの仕上がりとなっているサンプル品を作り出すのにさほど時間は掛かりませんでした。川又プロと自分がそれぞれに行ったフィールドテストでも共に合格点をつけることが出来た。もう2年前のことです。あとは会社の許可を取り付けて販売へと進めるだけとなった。

が、会社からの発売許可は下りませんでした。その理由としてはバス用ワームの売上不振、ソルトのロックフィッシュ用途に関しては東北市場の震災後の回復度合が不透明、といった理由によるもので、自分としてもそれを覆すだけの反論材料を持ち合わせておらず、結果として頓挫することとなりました。

川又プロと生産工場には事の顛末を説明して詫びを入れました。が、生産工場には1つだけお願いをしました。合格品サンプルの仮型データだけは残しておいてくれと。自分はまだ根魚大将3.4インチの発売を諦めてはいませんでした。

1年以上の時が過ぎた頃、自分は改めて会社内で根魚大将3.4インチの販売を再提案しました。残念ながら、これをバス用として販売した場合に採算が取れるだけの販売が見込めるとは自分自身も判断できませんでした。しかし1年以上もの間、根魚大将2.8インチは着実な販売実績を積み重ねていました。一度仕入れてくれたお店から2度3度と追加注文が入って来る。通信販売をしているお店ではソルトルアー部門の売り上げ上位にその名を連ねていました。この売上実績を前にして、自分の販売提案が却下されることはありませんでした。

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こうして、工場に廃棄しないよう依頼をしていた根魚大将3.4インチのデータはようやく陽の目を見ることになった。

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限られた本数しかなかったサンプルを数名のフィールドテスターに渡した。結果、大型のオオモンハタ、アカハタが連日釣り上げられた(ワームをもっとくれ!と言われて困ったけれど)。そして自分自身もアイナメやソイを釣っている。50cmのアイナメはマグレでしたが出来過ぎだった。根魚大将3.4インチは釣れる。発売を前にして絶対的な自信を持ちました。

今後、スミスはロックフィッシュゲームに力を入れていきます。根魚大将はその幕開けに相当する製品であり、これからもその中心に位置し続ける存在です。ロックフィッシュ用のワームはラインナップを増やしていく予定で、既に何種類かの開発構想があります。強力なアドバイザーになってくれるであろうフィールドテスターの人も新たに採用しました。

スミスは元々、ロックフィッシュ専用ロッドのパイオニアでもありました。ベイライナーボロンを発売した当時、他にロックフィッシュ専用ロッドなんて無かった。しかしその後に新製品の開発が途絶え、震災の影響もあって社内的に判断しかねていたのも事実です。

そもそも自分自身もバスがメインであってロックフィッシュにはさほど興味を持っていませんでした。それが変わったのは震災を機に東北に足を運ぶようになってからのことです。現地の人達が教えてくれたロックフィッシュゲーム。最初はあまり乗り気でなかった。でもハマった!それが今に繋がっているのは何だかとても不思議な気がします。

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サイズアップ根魚大将 [製品開発]

ようやくこの秋に根魚大将3.4インチが発売となります。実はこのワーム、2年前には既にほとんど完成していた。

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カラーや配合物に差異があるものの、海用の根魚大将2.8インチはバス用のBFスイミーシュリンプを海用に転用したものです。同じ金型を用いたワームをバス用と海用で併売したわけです。

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しかし、そのセールスとしては海用である根魚大将の圧勝でした。これはスミスに限ったことではなく、バス用と海用のワームを併売しているメーカーは同じことです。何社かのメーカー関係者に直接聞いた話なので間違いない。バスアングラーである自分としては複雑な心境ですがそういう時代になった。それが現実。

自分はバスへの拘りが人一倍強く、バス用に開発した製品を海用に転用する事に対してはあまり乗り気はしません。「これが釣れる!」ではなく「これでも釣れますよ」というニュアンスをどうしても感じてしまうからです。

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ところが、BFスイミーシュリンプを海で使った人達からの評判がすこぶる良かった。
「是非ソルト用カラーを」「塩は入れなくていいから味や臭いを強くして」といった要望を反映させて製品化したものが根魚大将2.8インチでした。そして根魚大将2.8インチは港湾部でライトロックフィッシュゲームを楽しんでいる人達から絶大な支持を得ていくことになりました。

けれども当然、2.8インチは小型魚向きです。磯やボートロック、ヘビーウェイトシンカーを使うケースにも対応できるサイズアップ版を要望する声が大きくなった。

自分は当初、ロックフィッシュ用のワームとしてはBFスイミーシュリンプをベースにした根魚大将のサイズアップではなく、専用設計(デザイン)を施した製品をラインナップさせたいとの考えを持っていました。が、この考えは根魚大将2.8インチの愛用者の人達から猛反対を受けることになります。

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「あのバランス、あのカタチがいいんだ。形状の黄金比を絶対変えてくれるな!!」
こうした意見を寄せてきた人達には、根魚大将2.8インチだけではなく実はBFシュリンプ3.4インチも使ってもらっていました。彼らが言うには、絶対にボディーはBFシュリンプ3.4インチのものが良いと。

BFシュリンプやBFスイミーシュリンプというのはジグトレーラーとしての用途も考慮してあるため、一般的なロックフィッシュ用のホッグとしては他製品と比較してボディーが短い。これでいいの?
すると、このショートボディーがいいんだとの事。その理由を尋ねてみると・・・

バイト。早アワセ。スッポ抜け。
バイト。少し喰わせの時間を置く。根に潜られる。
技量面では解決策が見出せないこのジレンマを解決させるためにはショートボディーが非常に有効だったと言います。

バイト。早アワセ。フッキング。根に潜られる前に引き剥がす。
確かにショートボディーであればこの理想的な流れを実現できる可能性は上げられるでしょう。

加えて、根魚大将特有のパタパタとはためくようなテールアクションはサイズアップ版でもしっかり再現して欲しいと要望がありました。まぁ、ここまで要望が具体的な方が開発もしやすかったのは事実です。

(つづく)

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ピンピン、ピョンピョン・6 [製品開発]

メバピンピンというふざけた(笑)商品名は、実は私が考えたものです。でも、自分はそれを正式採用するつもりなんてサラサラなかった。

製品自体を開発するのと並行して、パッケージデザインも検討していました。その際、何らかの製品名を入れておかないとイメージしづらかった。メバル用のピンテールワームだからとりあえずメバピンピンでいいや、そういうノリでした。そして本採用する製品名は武田さんに決めてもらえばいいと。

やがて製品名を決めなければならないタイミングになった。武田さん、どうしますか?
「別にメバピンピンでいいじゃないですか」
えーっ!そんなこと言わずに何かいい名前を考えて下さいよ。
「いやホント、メバピンピン、イイと思いますよ」
ということで、メバピンピンに決定(笑)。

それじゃ、ダート系の方はどうします?
「ピンテールがメバピンピンだから、こっちはメバピョンピョンでいいでしょう」
ということで、こちらの名付け親は武田さん。

そんな軽いノリで決めつつも、一応は商標などに問題がないか程度は調べてから採用しています。

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メバピンピンはピンテール系のオールラウンダー。

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メバピョンピョンはジグヘッドタケちゃんと組み合わせると左右にキレよくダートするので、デーゲームにおいてもメバルを誘えます。

この2つのワームに関しては、武田さんが特にこだわったのはカラーリングです。なので、本来のカラーリングを損なうことが無いようエビ粉系のフォーミュラではなく意図的にオイル状のフォーミュラをブレンドさせています。

というわけで、エキスパートの理想をカタチにしたら、出来上がったものは案外王道的なものでした。いずれのワームも特異な形状をしているわけではないですし特殊な素材を使っているわけでもない。

しかしながら、水中で動かしてみると「オッ!」と思えるワームに仕上がっていると思います。それは動きも然り、カラーも然り。武田さん、このワームには相当な自信を持っているようです。是非、メバピンピンとメバピョンピョンの威力を試してみて下さい。ふざけた名前の割には、かなりやりますよ。

【メバピンピン 1.4インチ】

#01 パールグロー/RD(レッド)
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#02 パールグローSF/PK(ピンク)
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#03 パールグローSF/OR(オレンジ)
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#04 オレンジグロー/CR(チャートリュース)
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#05 ナチュラル/GR(グリーン)
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#06 クリアー/RD(レッド)
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#07 クリアー/PKグロー(ピンクグロー)
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#08 クリアーSF/ORグロー(オレンジグロー)
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#09 クリアー/アミ
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#10 クリアーSF/ナチュラル
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・10本入
・¥500+税

【メバピョンピョン 1.3インチ】

#01 パールグロー/RD(レッド)
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#02 パールグローSF/PK(ピンク)
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#03 パールグローSF/OR(オレンジ)
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#04 オレンジグロー/CR(チャートリュース)
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#05 ナチュラル/GR(グリーン)
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#06 クリアー/RD(レッド)
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#07 クリアー/PKグロー(ピンクグロー)
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#08 クリアーSF/ORグロー(オレンジグロー)
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#09 クリアー/アミ
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#10 クリアーSF/ナチュラル
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・10本入
・¥500+税

12月上旬発売予定

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ピンピン、ピョンピョン・5 [製品開発]

現在はメバル釣りも多様化し、尺メバルを狙うような大型志向の釣り人がいるのも事実です。しかしながら、武田さんは都心近郊の激戦区でもちゃんと釣れる製品を、ということを重視しているように思います。

武田さんが良く言う言葉があります。
「メバルが釣れないという人は、ワームと(ジグヘッドの)フックが大き過ぎる」

これには自分自身も同意できる部分があって、標準的なサイズのワームで釣れない魚を釣るためにメバームシャッドというダウンサイジングモデルのワームを設計したということがあります。激戦区で釣りたければ、使いこなせる範囲内でワームもフックも小さくするというのが大事だと武田さんは力説します。自分も同感です。

メバピンピン、メバピョンピョンの開発にはツートンカラーの実現に手間取ったおかげでかなりの時間が掛かってしまいました。開発当初に武田さんに描いてもらったイラストはありましたが、それからだいぶ時間が経過してしまっていたのでデザイン面に関しても再確認を要することとなりました。

すると、基本的な形状自体はさほど変わりませんでしたが、ワームをちぎって短くすることを念頭に置き、スリットを入れることになりました。スリット方式は既に他社製品にも存在しますので目新しいものではありませんし、スリットなどなくともハサミで好き勝手な位置で切ればいいようにも思えます。

しかしながら、適当な位置でちぎるよりも常に同じサイズで統一させやすいのがメリットと言えるでしょう。リブの8節目で切ればいい、なんていうのをいちいち覚えておくのは大変だけれども、1本目のスリットで切ればいい、となると簡単でわかりやすいですよね。

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メバピンピン1.4インチには2個所のスリットを設けることで3段階のサイズ調整が、メバピョンピョン1.3インチには1箇所のスリットを設けることで2段階のサイズ調整を行うことが可能です。メバピンピン1.4インチはジグヘッドのフックサイズが#8~#12(お勧めは#10か#12)の間で調整可能。メバピョンピョン1.3インチは#10ないし#12がマッチします。

(つづく)

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ピンピン、ピョンピョン・4 [製品開発]

せっかく試作段階で完成度の高いところまで仕上がっていながら開発をふりだしに戻すというのはとても残念で勿体ないことだと思えました。半年後には製品を発売できるという目処まで立っていたものがその予定すら無くなってしまうことを意味していたからです。

ただ、生産工場がギブアップしてしまったものを私の力でどうこう出来るというものでもなく、ワームの開発自体が一時ほぼ白紙になってしまいました。

もしツートンカラーを諦め、単色のワームに路線転換したのならば何の問題もなく製品化に漕ぎ着けたことでしょう。でもそれでは武田さんの理想をカタチにするという根本的な部分から外れてしまう。どこかツートンカラーの製造(量産)が出来る工場はないか?あちこち模索する日が続きました。

結果として、これまでの前後2色成型や塗装という手法ではなく、コアショットを用いることで解決を図ることになりました。

コアショットというのは芯に他色を用いた2色成型の事で、最近の技術ではなく、むしろ昔ながらの手法でもあります。バス釣りの世界においては、コアショットというとむしろ「昔のワーム」のイメージが強いのではないでしょうか。ミスターツイスターのコアショットグラブ、そしてスライダーワームにもコアショットカラーが存在しました(私のフェイバリットはスモーク/ゴールドコアでした)。但し、近年の製品にはコアショットカラーというのはほとんど見られません。思い当たるのは昔の製品ばかりです。

しかし、コアショットもまた専用の金型を必要としますし、どこの工場でも生産出来るというものではありません。そりゃ昔ながらのものなのですからアメリカには生産工場が幾つかあるのですが、日本向け(=フタル酸系の可塑剤は使用出来ない)に作ってくれる工場があるかというとそれは非常に難しい。ましてや1インチ台のワームにコアショットというと、精度も必要になる。

今回は台湾の工場でコアショットカラーのメバルワームの生産目途を立てることが出来ました。成型精度、発色の良さ、いずれも高いレベルで製品化することが可能になりました。文章にするとサラリとした内容ですが、工場との折衝にも長い時間を要しました。何度か喧嘩もしましたし。

自分自身はバスアングラーの思考回路ゆえ、今時コアショット?!という少しばかりの抵抗もありました。しかしながら出来上がってきたサンプルカラーを見て納得。武田さんからの要望を具現化させた、メバル用のコアショットカラーというのはバス用のコアショットカラーを見慣れた自分にはむしろ斬新なものにさえ思えました。

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単一なグローカラーというのではなく、コアショットをグローカラーで包み込むグローラップカラー、それとは正反対の、グローコアカラー。ワームの形状的なシルエットとはまた別のシルエットを醸し出す。コアショット技術をこんな方向で活かすなんて、凄い発想だと思いました。

(つづく)

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ピンピン、ピョンピョン・3 [製品開発]

ワームにおける前後のツートンカラーを実現するには何通りかの方法があります。その1つは、専用の金型を必要としますが、前後から金型に素材を流し込む方法です。よくテール部分だけ別色だったり、ハサミの色だけ違うクローワームなどがありますが、まさしくアレです。ちなみに自分はあまり好まない方法でもあります。理由は・・・昔、よくスライダーワームが尻尾の先だけ無くなったから。

それはさておき、早速開発中のメバルワームを前後のツートンにしたものを試作しました。

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一目で、これはないなぁと思いました。美しくない。アメリカのクラッピー用ワームにはありそうな出来ですけど。

テールの先端だけとかハサミの先っぽだけというのならあまり気になりませんが、本体を別色に分けると見た目がどうもチープだなぁと思いました。加えてこの方法、ワームの本体にどうしても金型の素材注入口の跡が残る。バス用のワームならばさほど気にはならないレベルですが、1インチ台のワームにしてみればかなり気になってしまうというのもネックでした。

続いて別の方法でツートンカラーを模索することにしました。次なる方法は「塗装」です。

エーッ、ワームに塗装をするの?!という声が聞こえてきそうですが、これは昔からある手法であり、特別変わった手法という事でもありません。特にアメリカ製のワームの中には、ストライプが入ったものや、シャッドやクラッピーといったベイトフィッシュのプリントが入ったものもあります。軟質素材のものにも塗装は出来るのです。

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スミスの製品で私が開発したものですが、ヴィヴィッドライブのレッドヘッドやイワシカラー(ドット模様)などは塗装によるものです。出来上がりが硬いわけでもありません。柔軟性はそのままです。

で、開発中のメバルのワームも塗装でツートンカラーを再現してみました。まずは、塗料にドブ漬け。

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う~ん、これもやっぱり美しくない。リブも塗装で埋まってしまっていますしね。

そこで、工場に頑張って再試作してもらい、出来上がったきたサンプルがこちらです。

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おぉ!これは良い出来だよ!!これで行こう!!武田さんもこれなら合格という事で、すんなり製品化に進む予定でしたが・・・量産に際し、工場がギブアップ。

これ、プラグの塗装同様にスプレー方式で塗装しているのですがメバルのワームは小さく軽いために、スプレーの風圧に負けてしまって塗装できないということでした。

サンプルの出来栄えが良かったために私も簡単には諦め切れず、工場に何か打開策を練ってくれ、と懇願していたのですが最後は完全ギブアップとなり、開発自体がふりだしに戻ってしまうのでした。

(つづく)

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