SSブログ

今こそフローティングレベルワインド [リール]

ソルトの世界では当たり前となったPEライン。バスではパワーフィネスとフロッグ用には普及しました。アブ使いの私としてはフロッグのスキッピングを上手く決められるセッティングがなかなか見い出せずにいましたが、レボ4SXをチューニング(AMO製シャロースプール換装、マグトラックスブレーキに変更)してようやく現時点での結論に到達できた印象です。

でもまだパーフェクトとは思っていない。どうしても飛距離に若干のバラツキが出る。その原因はキャスト時のレベルワインドの位置。これが端に寄っているとPEラインとの接触角度がキツくなるタイミングでスムーズなライン放出が阻害される。

201117-4.jpg

そして秋にチャレンジしたシーバスのコノシロパターンの釣り。レボビーストXにPE3号をセットしました。王道セッティングでしょう。慣れるに従い少なくなりましたが、少しスイングを速めて投げるといきなりラインの出が止まってつんのめるような時があります。細糸だったらルアーが切れて飛んでいくこともあります。いわゆる高切れと呼ばれている症状です。ベイトリールにPEラインを巻いてキャストすると高切れが起きることがあるので2号以上のラインが推奨されているケースが少なくありません。

これはとても勿体ないことです。通常、スピニングタックルでのシーバス釣りに用いるPEラインは0.8~1.2号程度が多い。飛距離も出るし、メタル系ルアーも素早く沈められる。そうしたラインに慣れている人であれば、とても2号のPEラインなんて使う気にはなれないと思う。PEの細糸でもトラブルなくキャスト出来るベイトタックルがあればその可能性はもっと拡げられるはずです。

自分は使ったことがないのだけれど、ダイワさんのTWS装着機はPEの細糸を使うソルトゲーム愛好者の間で高い評価を得ているそうです。如何にレベルワインドとの接触抵抗がPEラインでのキャストを阻害しているかの表れだと思います。

ダイワさんは昔、ゼロフリクションレベルワインドという画期的な機構を開発しました。クラッチを切ると同時にレベルワインドが左右にパカッと開くのです。キャスト時のレベルワインドとラインの接触抵抗が皆無なのは明らかでした。
初めてゼロフリクションレベルワインドを搭載したファントムEX20を見た時は心底驚きました。開発した人は天才だなと。以後、PT-E、PT-Z、ファントムZEROといった機種に次々と採用されていったゼロフリクションレベルワインドでしたが、故障がとにかく多かった。
以後、PT-33シリーズからは通常のレベルワインドに戻り、TD-Hiシリーズ、TD-Zといったヒット作へと繋げていきました。つまり結果だけで言えば、ゼロフリクションレベルワインドは決して成功例とは言えなかったのです。

そんな一連の流れを知っているだけに、TWS機構を搭載したT3シリーズが発売された際には「また同じことの繰り返しになってしまうのではないか?」と懸念を抱いたものです。

一方のアブは、ウルトラマグという機種を発売した際(1982年)にフローティングレベルワインドという機構を採用していました。クラッチを切ると同時に、レベルワインドもフリーとなって左右に動くという仕組みです。発売時期としてはダイワさんのゼロフリクションレベルワインドよりも数年早かったと記憶しています。

210108-1.jpg

フローティングレベルワインドはウルトラマグ、ウルトラマグXL、ウルトラマグXLT、ライトFLといった機種に採用されていきました。私自身もXLTとライトFLは所有していました。ただ、キャスト時においてもラインが出るのに合わせてフリーになったレベルワインダーが追従して左右に動くといったことはありませんでした。これはおそらく当時のリールのスプール幅が比較的ナローだったこと、使用しているラインがナイロンやフロロだったため滑りが良く、レベルワインドとの接触抵抗が低かったためにレベルワインドを動かすほどの抵抗がなかったからだと思います。

実際にフローティングレベルワインド搭載機と非搭載機(XLTフリッピングvs521XLT、ライトフリッピングvsライトプラス)で投げ比べてみても、フローティングレベルワインド搭載機の方が良く飛ぶという感覚は全く感じられませんでした。

それに加えて、フローティングレベルワインドも故障をしやすい機構でした。実際、自分が使っていたXLTとライトFLもこの機構が壊れました。結局はダイワさん同様、アブもまた通常のレベルワインドに戻ることになります。

当時の自分はそれで良いと思いました。複雑な機構のレベルワインドなんて必要がないし、むしろ故障の要因となるのでいらないと思っていたからです。

でも近年、PEラインの普及に伴って事情が変わってきたようにも思います。PEラインはレベルワインドの停止位置によって接触抵抗が大きく、その使用感にバラツキや支障が出る。スキッピングも、ビッグベイトのフルキャストも。だから今こそフローティングレベルワインドの再採用を再考しても良い時期ではないかと思うのです。勿論、壊れないように設計の見直しは必要でしょうけど。

それさえ出来ればデザインを犠牲にしてまでロングノーズ化する必要もないし、ベイトリールで細PEを使えるようにもなると思うのだけれどな。

gill-tentacrawler.jpg
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー