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パイオニアの理想形・2 [製品開発]

辻本さんから届いたデザイン案を見た自分は思わず絶句しました。

形状と構造があまりにも複雑過ぎる!普通の生産工場では即答で断られるレベルです。しかも、左右のアームとボディー内にエアーホールを設けるようにとされている。これを成型するための金型の構造が想像できない・・・。

この時点で「さすがにこれは無理です」と回答しても良かったかと思います。ただ、リクエストを出したのは自分側なので、無下に却下なんて出来ない(汗)。

開発依頼をぶつけようとしている工場は、これまでバス用のワームでも比較的複雑な形状をこなしてきた高い技術力のある生産工場なので、10中8、9駄目だろうけども駄目元で試作を依頼してみることにしました。

その試作にあたり図面を製作しましたが、通常のワームの5倍の手間と時間が掛かりました(汗)。自信の開発経験の中でも間違いなく過去イチ複雑な図面となりました。でも、これだけ苦労して図面を描いたけれど、きっと工場に断られてボツになるんだろうな。

却下はしなかったものの、辻本さんには次のように伝えていました。「一応は試作依頼を出してみますが、形状と構造が複雑すぎるのでおそらく試作も出来ないと思います」と。

ところがその後工場からの連絡が来ませんでした。図面を確認したらすぐに「出来ません」と言ってきそうなものなのに。

そして数ヶ月後のこと。私の元に荷物が届きました。これ、何だっけ?と思いながら開封してみると、何とあの超絶複雑構造のワームのサンプルが入っているではありませんか!

よく成型出来たなぁコレ。ただただ感心することしきり。金型代や製品単価はその分高そうだけど(汗)
でも、まさかカタチに出来るなんて思わなかった。改めてこの生産工場の技術力に驚いた出来事でした。辻本さんも、私から散々「断られる可能性大」と言われ続けてきたので、実物のサンプルが出来上がったことは大いに喜んでくれました。

但しこれはあくまで1st.サンプルに過ぎません。確かに図面通りに出来上がってはいましたが、実際に辻本さんにフィールドテストをしてもらい、何箇所かの修正を繰り返す必要がありました。具体的にはフックを刺している部分の直径、リブの位置、エアーホールの大きさ、空気孔の位置、カーリーテールの形状修正等々。
このうちの何点かは図面作成段階で不具合が出ることを予想していたのですが、最初から自分が色々と口出しをしてしまうとどんどん自分寄りのデザインになっていってしまうので、最初はあえて何も言わず進めさせていただきました。カーリーテールの形状がどことなく根魚大将っぽいのは少し私のデザインテイストが入っていますね。

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230320-1.jpg

少し時間が掛かりましたが、ようやく完成形を見ることになりました。自分で使い込むとあれこれ口出ししたくなってしまうもので、あえてフィールドテストは全て辻本さんにお任せしました。

(つづく)

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