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パイオニアの理想形 [製品開発]

仕事柄、その道のエキスパートと一緒にタックルの開発を進めることがあります。ある意味かなり役得と言っていいでしょう。勉強になることも非常に多い。

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辻本ナツ雄(通称ポッキン)さん。言わずと知れたハタゲームやメバルゲームの大ベテラン。メディアで目にする機会も多かったですから自分もかねてより存じ上げていました。ちなみにハタ釣りを普及させようとした際に「グルーパーゲーム」と称するようにしたのは辻本さんのアイデアなのだそうで、その点においてもまさしくグルーパーゲームのパイオニアと称して差し支えないと思います。

自分が辻本ナツ雄というアングラーに対して抱いていた印象はというと、様々なリグを駆使する「リグ職人」ということと、与えられたモノを自分の持ち駒にしてしまうスキルの高さです。具体的に言うと、レーベルのクローフィッシュプラグを駆使してチヌを釣ったり、ヤムのクリーチャー系ワーム(もちろんバス用)でハタを釣ったり、というところです。何でも器用に使いこなして自分の武器に出来てしまう、スキルの高いアングラーなんだろうなと思っていました。

そして、辻本さんにとっても不本意な出来事だったのに違いありませんが、元々のメインスポンサーだったOFTさんが消滅し、ご縁がありスミスに移籍することとなった。自分もまさか辻本さんと一緒に仕事ができるようになるなんて思ってもみませんでした。

これだけ知名度の高いエキスパートアングラーですから、自分としては早々に辻本さんのノウハウを生かした製品作りに取り掛かりたいと思っていました。たまたまOFTさんで開発途中だった案件があり、その開発案件ごとスミスで引き継いだものがありました。それはPKミノー、PKポッパーというメバル用のプラグでした(これは私以外の人が担当しました)。

しかしその後、辻本さんから「こんなものを作りたい」という声がなかなか上がってこない。何か作りたいものはないのですか?と聞くと「僕はまだスミスの中では新米だから・・・」と謙虚な答えが返ってきました。辻本さんは誰に対してもとにかく物腰が低い人で非常に驚きました。知名度のあるアングラーになると、結構上から目線の人も少なくない世界ですから。

そして数年後。痺れを切らして自分の方から辻本さんにリクエストを出しました。「既存の製品をベースにしたようなものではなく、辻本さんが理想とするワームを白紙状態から考えてみて欲しい」と。

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OFTさんから発売されていた「ロッキンホッグ」は辻本さんが手掛けた製品ではあったのですが、私から見ればYUM社のクリーチャーベイトの発展型と言えるものでした。というのも、辻本さんが元々愛用していたYUM社製品が廃番となってしまったのでその代替になるものを、との経緯があったようです。

しかし自分が辻本さんにリクエストしたのは、何かの既製品をベースにするのではなく、辻本さんが白紙状態から考えた理想のグルーパー専用ワームでした。一体どんなモノを理想として考えているんだろう?興味が尽きませんでした。

そして遂に、辻本さんからのデザイン案が私の元に届きました。

(つづく)

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