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エア抜きされた魚はどうなる? [その他]

面白い文献を見付けました。ディープのバスを釣る人には是非目を通してもらいたい内容です。

ディープからバスを釣り上げた場合、急激な水圧の変化により体内の浮袋が膨張して魚がひっくり返ってしまうことがあります。トーナメントの場合は検量時に腹を上にしている魚に関してはペナルティをとられる場合があります(JB/NBCの場合は-100g)。
それより何より、リリースしてもまともに泳いでいかない魚はそのまま死んでしまう可能性が高く、バスアングラーとしては恥ずべき事です。

こうした結果にならぬよう、特にトーナメンターの人達の間では「エア抜き」と呼ばれる技術が必須です。注射針を魚の浮袋に刺して余分な空気を抜くという作業です。確かに、浮袋が膨らんでしまってライブウェルの中でひっくり返ってしまうような魚に対しては効果があります。

但し、果たしてリリース後のバスがちゃんと生きていけるのかという点についてはきちんと検証されていたわけではなく、想像で語られる部分が多かったように思います。

今回紹介させていただく文献は、2014年に山口県水産研究センターによって発表されたものです。
水産研究センターだより 第7号(PDFファイル)

【再放流に効果あり!~大きく育てよう山口のキジハタ~ 】
山口県水産研究センター外海研究部栽培増殖グループ 南部智秀さん
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【キジハタのエア抜き技術の紹介】
山口県水産研究センター 企画情報室 井上存夫さん
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山口県では漁業調整委員会指示により30cm未満のキジハタの採捕が禁止されています。もし釣れたら再放流しなければならない。その啓蒙活動の一環として、山口県水産研究センターが正しいリリースの仕方というものをきちんと実験で検証されました。

キジハタのような根魚を深い水深から上げると口から胃袋が飛び出してしまうケースもあります。一見してこれはリリースしても駄目だろうと思えるレベルですが、浮袋をエア抜きすることにより、ほぼ100%の個体がリリース後にも生存することができるという検証結果が出ています(口から胃袋が飛び出た魚に対しては注射針を所定の位置に刺したままの状態で、箸等で胃袋を押し込むのが良いとの事です)。

なお、浮袋に穴を空けてしまったら水圧調整が出来ずに沈んでしまうのではないかという懸念もありますが、山口県水産研究センターによれば筋肉が押し戻すことですぐに穴は塞がるとのことです。注射針によるエア抜きはハタ類の他、鯛にも有効との事。

浮袋が膨らんでしまった魚に対しては、注射針によるエア抜きが効果的。その後の魚の生存率は、キジハタに関してはほぼ100%だった。

魚種が違うだろと言われてしまいそうですが、そもそも日本でバスを生かしてリリースするための研究なんてされないでしょうから、これはこれで大いに参考とするべき内容ではないでしょうか。

とはいえ、無闇やたらに魚体に注射針を刺さないで下さいね。自力で潜って行ける魚にエア抜きをする必要なんてないですから。あくまで自力で潜って行けない魚に対しての処置であることをお忘れなく。

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