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いざ、陸前高田へ。3 [東日本大震災]

ご注意:以下の内容には遺体、遺骨という言葉が多数出てきます。気分を悪くされる方はこの先を読まないようにして下さい。

2日目、9月22日(日)。可能であれば3連休をフルに活用して捜索活動に充てたかったのですが、復興サポートステーションが月・火休みなのでその間は捜索活動自体が行われず、月曜日の活動を断念。だから自分としてはこの日のうちに何とか結果を出したいところでした。

この日もバスでやってくる団体のボランティアが多く訪れ、154名ものボランティアが集まりました。さらにこの日は古川沼の捜索班が大幅に増員されました。これだけいれば今日は何か出てくるかもしれない、そう思いました。

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(特定非営利活動法人P@CT様のHPより)
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(特定非営利活動法人P@CT様のHPより)

結果、この日も自分自身で遺骨を発見することは出来ませんでした。しかしこの日、他の方の手により骨らしきもの1つと歯のようなもの1つ、持ち主が特定できる可能性がある品などが見付かりました。

これらは警察に持ち込まれ、DNA鑑定を経て遺体の一部であるのかどうかが判別される。しかしその結果は、その発見者にも、捜索活動を主宰する団体宛にも一切知らされることはありません。警察に問い合わせても教えてはもらえない。遺骨も人権を尊重して扱われるため、個人情報の漏洩に当たらぬ措置が取られるためです。9月23日現在、公表されている岩手県内の行方不明者数の216という数字がもし215に減ることがあったなら、おそらくはどこかで遺体の一部が発見され、それが遺族のもとに戻ったと言える。それだけが唯一の確認方法です。それよりも確実な確認方法はありません。

この日発見された「骨のようなもの」「歯のようなもの」が遺骨として遺族の元に帰ってくれることを願うばかりです。変わり果てた家族の姿を見てショックを受けることと思うのですが、それでも気持ちに区切りが付けられる遺族の方もきっといると思う。そうなることを願い、震災から2年半以上が経過した現在でも、日々黙々と行方不明者の捜索を続けている人達がいるのです。

しかし現在のペースではとても古川沼の湖底泥を調べ尽くすことは不可能です。数年以上が掛かることになるけれども、そこまで活動が継続できるかどうかもわからない。
今回、捜索活動に関係する現場の写真を何点か掲載しましたが、これは活動の主宰団体であるP@CT様からの撮影及びウェブ上での掲載許可をいただいているものです。但しその公開に際しては条件が付いていました。捜索活動するにあたって全然人手が足りない、この窮状を広めて欲しい、との事でした。


最後に、私が現地で撮影してきた陸前高田市内の写真を掲載します。被災地の写真を撮影、公開することには賛否両論があると思います。ですがメディアではすっかり現地の様子が報じられなくなった今、もう復興しているんだろうと思い込んでいる人も多いことと思います。現実はそうではありません。この街の海沿いは依然としてこのような状態です。まるで戦地のようだと感じました。復興という言葉にはまだまだ程遠い、この現実を多くの人に知って欲しい。

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(5階建の建物ですが、上階まで津波を受け外壁しか残っていません)

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(古川沼から望む陸前高田スタジアム。照明塔だけが残った)

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(古川沼の内陸側。かつて街があった場所も、今は何も無い)

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(奇跡の一本松からほど近い道の駅。建物の中は瓦礫が手付かず状態のまま)

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(名勝高田松原の面影はもうどこにもない)

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(道の駅の側に作られた追悼施設。鎮魂の祈り、そして遺体を見つけ出したいという思いを)

自身のお金、労力、時間を費やして、それで必ずしも結果が得られるわけではない。もし仮に結果が得られたとしても、何か見返りがあるわけでもない。被災者の方から直接感謝されるわけでもない。そんなこと、普通はやらないかもしれない。馬鹿げていると考える人がいるかもしれない。

だから、陸前高田へ行方不明者捜索をするために集まってきていた人達はある意味馬鹿です。自身が得をすることは決してない。むしろ必ず損をしている。ただひたすらに、見ず知らずのどこかの誰かが苦痛から開放されることだけを願ってわざわざ損をしに来ている。

全く以って普通じゃない。休みの日は遊びに行けば楽しい思いが出来るし、自分のお金は自分が欲しい物を買う方がいいに決まっている。

それでも自分は、そんな普通じゃない馬鹿な人達の事が大好きで、自分自身もそんな大馬鹿者の一人であることをちょっとだけ誇りに思っていたりするのです。

協力:特定非営利活動法人P@CT(パクト)

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