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スモール・シンクスパイダー 2 [製品開発]

私自身の元々の構想ではシンクスパイダーに1.6インチを追加する考えはありませんでした。がまかつ322にも#2より小さなサイズがなく、マッチさせられるフックがあるかどうかという点が気掛かりだったからです。

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ところがこれは杞憂に終わりました。インチフックラージでも、スーペリオLOフック#6でもフッキングには何ら問題がないことが確認できました。少なくともフィールドテスト時においてはスッポ抜けがほとんど起きませんでした。

ですが実はもう1点、シンクスパイダーを小型化するにあたり気掛かりな点がありました。それは脚の強度でした。

ワームというものは魚を釣っていくうちに多かれ少なかれ壊れていきます。中にはすぐにテールが千切れてしまうようなものもある。例えそうであってもいざという場面で頼りになる製品があるのも事実ですが、さすがに1尾釣っただけで毎回駄目になってしまうようでは弱過ぎる。

シンクスパイダーは自重を稼ぐために、工場が設定してある基準を超える割合のソルトを配合しています。そのためマテリアルとしては脆く、あまり脚を細くし過ぎると喰い千切られやすいものでした。2.2インチ開発途中のサンプルの中には、バスを3尾釣るとほぼイモグラブに変貌してしまうものもありました。さすがにそれは弱すぎるということで、特性をスポイルしない範疇で脚の直径を上げたという経緯があります。

でもこれをサイズダウンするとなると脚はそれに合わせて細くしなければならない。そうしないとバランスが悪くなってしまう。そしてマテリアルの比重も変えるつもりはない。それをやったらシンクスパイダーとは別物になってしまうから。

脚を喰い千切られるというケースには2パターンがあります。
1つはブルーギルもしくは20cm未満の小バスに突かれるケース。ブルーギルや小バスはバイト時に脚だけを咥えるケースが多いです。丸呑みできないからそうするしかないのでしょうけど。そして少し間を置くとブルーギルはそのまま脚だけ喰い千切っていってしまいます。ですのでブルブルブルといった明らかにブルーギルのバイトが来たならば、早々に引っ張ってブルーギルからワームを取り上げてしまうのが得策です。

そしてもう1つはバスのバイトで、ワームが口の中に入る。その状態からアワセを入れることでワームが口の中から外に向けて引きずり出される。魚の口は閉じていて、そこから引きずり出される際に脚が引っ掛かり切れてしまうことがある。こればかりはバスを釣っている以上は仕方がないです。

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ケースバイケースではありますが、私が最終サンプルをテストした結果ではバスを3尾程度釣ると脚が1~2本切れているケースが多かったです。そして5~6本釣るとイモに近くなっていました。その程度の強度だと思っていただければ間違いないです。中にはそれでは弱いという人もいるかもしれません。ただ私自身は1本のワームでその程度釣れれば許容範囲かと判断しました。だって今の日本のフィールド、1尾1尾が貴重ですから。

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シンクスパイダー1.6インチで単体での自重は約1.4gです。ゲーリーヤマモトのイモグラブ30が単体で約1.3gなのでほぼ同じ位と言えます。このサイズになると使用するラインはフロロ直結ならば3lb以下でないと扱いづらいです。遠投も出来ません。接近戦やショートディスタンスで繊細な釣りに向いています。釣りの内容としてはテクニカルで難しい部類に入るでしょう。

以前にも記したように、シンクスパイダー1.6インチは私自身が欲したというよりは周囲の要望に応える形で製品化したというのが正しい。言い換えればテクニカルに使うワームを求められていたわけで、それだけ今の時代はハイレベルなアングラーが多くなっているという事の表れなのかもしれません。

(つづく)

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スパイニークローラー、11年目の廃盤 [スミスルアー]

自分がルアーのデザインを進めていく中で重視していることがあります。それは独創性を有している事。そしてその独創性というのが単なる飾りではなく釣るための機能を有している事です。

2010年に発売したスパイニークローラー。この製品は自分の中でも会心の一作となりました。独創性があり、それが機能に繋がっているという点でも非常に満足しています。初めてそのプロトを手にした瞬間の「これだ!」という感覚、フィールドで投げたその一投目で鳥肌が立つような感覚があったのを今でもよく覚えています。

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2009年に発売したカクータスに端を発した、ボディー全体を細かい毛で覆うというボディーハックルデザイン。水面に浮くワームは風波の影響で流されやすく、定位性を上げることでその点を改善させるためのものでした。カクータスの威力によってボディーハックルがもたらす「毛ヂカラ」に確信を深めていた自分はそれをストレートワームにも採用することにしたのです。そうして生まれたのがスパイニークローラーでした。

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私自身がマッディーシャロー育ちということもあってか、スパイニークローラーは水深の浅い場所で高い効果を発揮するワームに仕上がりました。強い水押しを伴いながらフォールするためにフォールスピードが遅く、またボトムコンタクトの感覚が柔らかくなるため深い場所を釣るには向きません。それであればスワンプクローラーの方がいいというのは私自身も認めるところです。

ですが、水深3mを切るような場所であればスパイニークローラーは同サイズのストレートワームの中でも抜きん出て良く釣れる。水深の浅い場所でも水を押しながらドロリとスローフォールするので魚が気付きやすく、フォール中のバイトも多い。ボトム着底後に動かす際にも大きく水をまといながらボワンボワンと動くのでこれまた魚に気付かれやすく、バイトも深く出る傾向があります。要はじっくりと誘って喰わすタイプのワームなのです。

そしてその効果というのは発売から10年以上が経過した今なお変わることはありません。特に水郷エリアでは現在も私の中で超一軍の頼れる存在となっています。

しかし発売から10年以上も経過をするとセールス的には一部の販売店を除いてほとんど停滞してしまっていました。次々と発売される新製品ばかりが注目されてしまう今の日本の市場ではそれも致し方のないことです。ですので今年のカタログよりスパイニークローラーを廃盤としました。

スパイニークローラーが入手できなくなってしまうと困ってしまうバスアングラーの代表は間違いなく私でしょう。とりあえず自分で使う分としては手元にあと5年分位あるかな?私と同じくスパイニークローラーを必要としている方は今のうちに市場在庫の確保をお願いします。

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SSマグナムボックス [自社製品]

何度かこのブログ上でも記しているのですが、私自身はスミスがPLANO製タックルボックスの取り扱いを止めてしまったことが残念で仕方がないです。特に近年の製品は強度や精度も過去のものと比べて格段に良くなっているので自信を持って勧められるものになっています。

でも一番の理由は、市場に選択肢が無さすぎることでしょうか。勿論、明邦さんの製品がいいのは重々承知しています。でも皆が皆同じものを使っているというのはちょっとねぇ。

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ところでPLANOの製品では圧倒的にカーキ/オレンジのアタッシュケース型がトップウォーターフリークの間で人気があります。古いものはプレミア価格で売買されていたりする。でも現在はこのカラーはPLANO製品にはラインナップされていません。

ハッキリ言って最近のPLANOのカラーの方がよほど色鮮やかで綺麗です。でもやっぱり人気はカーキ/オレンジ。古き良き時代とオーバーラップする色はコレということなんでしょう。

でも、昔のボックスには弊害もあります。特に近年はルアーが大型化したり、羽根物などかさばるものも増えた。いくらボックスの色が良くったってルアーが入らないんじゃ意味がない。

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そこでスミスでは往年のプラノマグナムの雰囲気を踏襲しつつも、大型ルアーの収納も出来るボックスを作りました。SS(スーパーストライク)マグナムボックスです。

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誰の私物か知りませんけど収納例。大概のものは入ります。

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また2021年度初回販売分に関しましてはスミス50周年のステッカーが付属しています。まぁつまり、ステッカーが要らなければ別に慌てて買わなくても・・・おっと(汗)。

・サイズ:370×295×63mm
・仕切り板6枚付
・標準小売価格:¥5,000+税

・3月発売予定

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