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BF performance・5 [製品開発]

当初、川又プロが提出してきたデザイン案にはチャンクテールと、ホッグタイプのアームが付いていました。それだけ、強い水押しやアピール性能を重視しているという事が伺えましたし、実際の製品においてもその根幹は変わっていません。

でも、アームがちょっと大きいな、と思った私はボディーサイズに合わせたバランスに設計変更しつつ図面製作を進めたのでした。

ところがそれを確認した川又プロからすかさず駄目出しを食らうことになります。アームを小さくしては駄目なのだと。そして厚みをもっと持たせて欲しいとも言われました。

私は当初、そのバランスには同意しかねました。小さなボディーに対して必要以上に大きなパーツを左右に取り付けると、時にバランスを崩しやすくなります。特に水の抵抗を受けるアームの場合はなおさらで、ちょっとしたワームの曲がり癖などが悪影響を及ぼす点も懸念されたからです。但し、川又プロが大きめのアームを推すのにもきちんとした理由がありました。

川又プロは以前から、様々な製品を切り貼りしては自分好みにアレンジしてその理想形を模索していました。その中で、アームはやや大きいものを、そして極力末端付近に位置させることでキャスタビリティーが向上することを見出していたのです。極力自重を持たせ、さらにその重心を先端に位置させるという考え方です。

投げやすさというのはスピニングタックルではさほど重視されるものではありません。気にする必要がないからです。しかしベイトフィネスタックルというのは、ある意味タックルの性能が向上したからこそ生まれたジャンルで、ベイトリールの性能面の限界値が上がったからこそこなせるものです。リールの基本性能、ドレスアップパーツによる性能アップ、チューニングによる性能アップ、さらにはオイルまで全てはベイトリールの限界値をさらに向上させるためのものです。

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BFシュリンプは使用されるルアーとしての立場から、よりキャスタビリティーを向上させるというコンセプトを持たせてあります。ただ、小さなワームのパーツをいじった程度で劇的に飛距離が変わるなどということはありません。中にはその違いを実感できない人もいるかもしれない。それでもあえてこのコンセプトを取り入れたのは、タックルの限界値ギリギリで実践されるこの釣りをほんの少しでも良いから扱いやすいものにしたい、という川又プロのこだわりから生まれています。

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多くのアングラーがリールのスプールを換え、ベアリングを換え、少しでもベイトフィネスの釣りを扱いやすいものにしようとしている。プロショップに勤務する川又プロはそんなお客さんの姿を数多く見てきました。そんな彼だからこそ、自らが手掛けるワームにおいてもその扱いやすさの向上という点は、どうしても取り入れたいと考えていたのでしょう。

なお、文中にて私が触れた、左右のバランスを崩す恐れがあるというデメリットに関しては、スモラバと組み合わせて使用する分には全く問題がありません。ジグヘッドのラインアイが上向きなので方向性が固定されるからです。

ダウンショットリグで使う場合はもしかするとバランスを崩すことがあるかもしれません。その場合はアーム自体を除去してしまうことで解決できます。ダウンショットリグの場合はキャストする際にシンカーが先行飛行する方が投げやすいため、私はむしろその方が良いと思います。

(つづく)

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