SSブログ

一味違うシャロークランク、マッディービーツ [他社製品]

自分が開発を手掛けたシャロークランクにペブルSR(現在は廃盤)があります。

181013-1.jpg

アクションはワイドウォッブル。スミスには元々ナチュラルアクションのディプシードゥ1もありましたので、それとの差別化を図りたいという意向もあってワイドウォッブルのシャロークランクをラインナップさせていました。

ペブルは主に霞ヶ浦水系の流入河川でテストをしていました。だからというわけではないのでしょうけど、新利根川や小野川などでは非常に良く釣れたクランクベイトです。ユーザーからは野池などでの釣果も寄せられていました。

が、「ペブルを使っているが釣れないんですけど」という声も聞こえてきました。確かにペブルのようなワイドウォッブルのクランクベイトはクリアーウォーター向きではありません。てっきりそうした釣り場で使っているのかなと思って聞いてみると、霞水系や利根川で使っているというのです。

これがどういうことかというと、魚が「居着いているか」「動いているか」の違いです。動いている魚というのは回遊やフィーディング傾向の強い魚のことです。

霞ヶ浦水系の流入河川というのは泥底で水が澱んでいる場所が多いです。こうした場所では魚はアシ際などに居着く傾向が強くなります。そしてこうした居着き系の魚にはペブルのようなワイドウォッブリングのクランクが効きます。
一方、霞ヶ浦水系でも本湖や流出河川(北利根~常陸利根川)においてはボトムが硬く水も動いているために魚がよく動くようになります。こうした魚はナチュラルな泳ぎのクランクベイトの方が効きます。
(※もちろん全体的な傾向であって例外はあります)

居着き系の魚によく効くペブルSRなのですが、廃盤ゆえに私も補充することが出来ません。何か他にいいものはないかな?ということで他社製品も色々と試しています。

181013-2.jpg

そんな中でコイツはちょっと他とは違うな?!と感じられるのがOPAさんのマッディービーツ。現在はSSRSRの2種類があります。

このクランクベイト、とにかくやたらめったらと動きが強い。ルアービルダーによっては「しまった、動きが強過ぎるわ」と判断して修正を掛けるレベルです。裏を返せば、他のメーカーにはここまで強い泳ぎをするクランクベイトはありません。少なくとも私が知っている限りでは無いです。もちろんペブルよりも断然強い泳ぎをするクランクベイトです。



一般的なクランクベイトというのは動きの中心点がボディー中央からやや前方を支点として動くものが多いのですが、マッディービーツに関しては支点がボディーの先端部というか、とにかくボディー全体を激しく振るのが特徴です。

181013-3.jpg

自分が初めに入手したのはSSR。というか初めはこの1種類しか無かったんですよね。当時はまだSSRという表記もなかったはず。

着水していきなりリールを速巻きしようとするとルアーが横方向に飛び出してしまうこともあった。それくらい横方向に強く泳ぐ力が働いています。

このクランク(SSR)が特徴的なのは強い動きだけではありませんでした。それは2通りのレンジで使えることです。着水直後からロッドを立ててデッドスロー~スローに引くと水面から水面直下を引くサブサーフェイスクランクとして使える。

ところが、着水からスローリトリーブ。そのままリトリーブスピードを上げていくと、あるスピードを境に急に潜り出すようになります。そしてそのままのスピードをキープしながら引いてくると一定層のシャローレンジをキープしながら泳いできます。

リトリーブスピードに比例して徐々に潜行レンジを下げるのではなく、とあるリトリーブスピードを境にしてサブサーフェイスクランクとシャロークランクの2つに使い分けが効く、という印象です。こんな使用感のクランクベイトは他にはない。リップの形状がちょっと独特なオフセットスクエアリップなのでこうした特性が生まれているのかも。

181013-4.jpg

そして、いつの間にか追加ラインナップされていたマッディービーツSR。見た目としてはリップが長めなのでMR(ミディアムランナー)なんじゃないの?と思えなくもないですが、実際に使ってみると確かにSRです。ボートに乗って沖側方向へ引いてくる分にはSSRよりもこちらの方が自分的には使いやすいです。

自分はルアー開発に携わっている人間なので、これは入れ子型にして型代を抑えたんじゃないかな?と思っていました。入れ子型というのは本体の金型は共通に、リップの部分だけを組み替えられる金型のことです。往年のメキシコ製バンディットのフットルース、100、200などは入れ子型で作られたルアーです。

181013-5.jpg

が、マッディービーツSSRとSRを見比べてみてビックリ。これは入れ子型じゃなくてちゃんと専用の金型で作られていることがわかりました。一見すると同一ボディーに見えるのですが、じっくり観察するとベリー部分のエイトカンの位置であるとかエラの彫刻の深さなどが違います。
つまりそれぞれ別の金型を作ったということになるのですが、どうせ2種類の金型を作るという事であれば自分だったら全く違うタイプのプラグで2種類にするかもしれません。その方がセールス的には売りやすいはずです。が、あえて深度違いの2種類でいくあたりは、ビルダーの小林さんが如何にこのマッディービーツというプロダクトに自信を持っているかが伺えますね。

そしてSRはSSRと較べてベリー部分のフックサイズも一回りデカい。いやいや、45mmの小型クランクで前後共に#4のフックなんてデカ過ぎなんじゃないだろうか?!

ちなみに、前後のフックは余裕で干渉します。すぐに絡んじゃうんじゃないかと心配だったのですが意外なほど問題なく使用できる。これ、アウトバーブフックのおかげかも。干渉してもスルッと解けてしまう。普通の内側バーブだったらこうはならないと思います。
カバークランキングを強めのタックルで行いたいという人には大きい(その分強い)フックが付いたクランクベイトというのは心強いんじゃないでしょうか。魚を抜き上げたりしてもそうそうフックが曲がることもないでしょう。自分は軟弱クランカーなのでネットで掬いますけど(笑)。

当たり前の事ですが、SRの方はSSRよりも一段下のレンジを引いてこれる。ちょっとした沈み物に居着いた魚を狙うような場合はこっちですね。スナッグレス性能はかなり良好と感じています。

ワイドウォッブルのシャロークランクは居着き系の魚に効くと前述しましたが、これだけ泳ぎが強いと魚を威嚇させる度合いも強いです。時期によっては威嚇要素で喰わせた方がいい時もあるのでハマると強いクランクだろうな、と思います。

おそらく、マッディービーツはかなり好き嫌いが分かれるクランクだと思います。決して幅広い状況に対応できるオールラウンダーではないです。でもルアーって、色々な種類を揃えて、なるべく広い状況に対応できるように使い分けをするのがセオリーだと思います。同じような動きをするものばかり複数持っていても、それではあまり意味がない。

他にはない強い泳ぎをするクランクベイトだからこそ、自分はマッディービーツをボックスに用意しています。一味違うクランクが欲しいと思っている人ならば、是非とも一度試してもらいたいクランクベイトです。

gill-tentacrawler.jpg
nice!(3)  コメント(1) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 3

コメント 1

モジャ公

mibroのフュリーというクランクもかなり強い泳ぎすると思います
by モジャ公 (2018-10-14 15:39) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。