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本物の釣り人・2 [物申す!]

私は仕事柄、かなり多くの釣り雑誌に目を通しています。バス雑誌のみならず、フライやトラウト、ソルト、時には普通のエサ釣りの雑誌にも目を通しています。さらには北海道や東北、中京の地方誌まで。

当然、その中に自社製品が出ていたりすると目ざとく見付けてチェックしています。それがモノクロページの小さな記事であっても8割以上はチェックしている自信がある。

スミス製品に限ったことではありませんが、メーカーの製品が露出されている記事には大きく分けて2種類あります。1つは、メーカーのテスター或いは関係者による記事です。これはまぁ、そのメーカーの製品が出ていて当たり前ですね。そしてもう一方は、純粋にその製品が好きで愛用して下さっている方が書いた記事です。

毎月雑誌に目を通しているうち、とある雑誌に登場するアングラーが頻繁にあるスミスルアーを使用しているのに気が付きました。もちろん他社製品も使っているのですが、どうやらとりわけそのスミスルアーを愛用して下さっているようでした。ある時などは、そのルアーを使う理由までもが詳細に記事中に記されていた。もちろん、その人はスミスの関係者ではないので普通にお店で商品を購入して下さっているのでしょう。

そして何より釣りのスタイルが独特だった。おおよそ普通の人では真似できそうもない、けれども大物のみに狙いを絞り、確実に仕留める内容でした。誌面を飾っていた魚も見事なものだった。誰かの後追いや真似事をするアングラーが多い中、そのアングラーには他人の影響がほとんど感じられない。自分自身で築き上げてきたスタイルなのでしょう。

興味が沸いた私は、そのアングラーを起用している雑誌の編集長に連絡を取り、その方の事を伺ってみました。するとやはりというか、スミスルアーのヘビーユーザーでした。そして編集長の計らいもあり、そのアングラーとコンタクトを取る機会に恵まれたのでした。

私はそのアングラーに、まずこれまで頻繁にスミス製品を誌面に露出してくれている点に対して礼を述べました。そしてその後は個人的な興味から、そのアングラーのスタイル、釣りに対する姿勢などを聞き出してみました。とにかく魚に対して真っ直ぐで、ストイックなスタイルでした。

そして何より感心したのは、特定メーカーからのサポートを受けないということを信条としていた点でした。メーカーサポートを受けると、どうしても製品のプロモーションをしなくてはならない。それが時には自分のスタイルとは異なる部分も出てくる。自分が思ってもいないようなことを文面には出来ないし、人には言えない。道具も好きなものを使いたい。だから自分は特定のメーカーサポートは受けないのです、と話してくれました。その方はカラーページでの取材記事も多いため、これまで何社かからの製品サポートの申し出があったそうですが、いずれもお断りをしてきたそうです。

今時、こんな真っ直ぐなアングラーが居たとは驚いた!私はメーカー側の人間ですが、話をしていて何かとても清清しい気分になりました。

何せ、最近はやたらと自分を売り込んでくる人であるとか(過去の経験上、そういう人ほど問題を起こす可能性が高い)、既に雑誌誌面に記事を書いているアングラーで「誌面に出してあげますからルアーを送って下さい」なんて平気で言って来る人間もこれまで何人かいたからです。しかも既に某社のサポートを受けているのに平気で連絡を入れてきたりする者さえいる。

この世界は悲しいかな、天狗になったり、とにかく前に出て行きたがる野心家がやたらと多い。そのための手段として、メーカーやら知名度のあるアングラーに取り入ろうとする人間は少なくない。そんな姑息な事を画策している暇があったら、もっと釣りに行き腕を上げるべきだ。

それに引き換え、自分のスタイルを貫くためにあえてメーカーサポートを受けないと言ってのけたアングラーの心意気は素晴らしかった。そして、どこのメーカーサポートを受けているわけでもないそのアングラーを起用して記事を掲載する某誌もまた素晴らしい。そのアングラーを起用したところで広告収入が増えるわけではないのですから。

バス釣りにだって、ストイックで一直線なアングラー、或いは強烈なほどにマニアックな人などもきっといるはず。そんなアングラーを発掘、起用してくれるメディアが出てきたら、すごく面白いことになると思うのだけれどなぁ。

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ばんぱく

こういう人が本当の意味でのアングラーなんでしょうね。すごーく共感できる考え方ですね

そしてこういう人を釣具メーカーの人間でありながら

ブログで取り上げるIKE-Pさんも
by ばんぱく (2012-09-06 17:19) 

IKE-P

自分もこの業界のはしくれなので、時にはジレンマを感じながら仕事を進めることもありますけどね。でも、健全な世界じゃないなって、思うことは多いですね。
by IKE-P (2012-09-07 00:17) 

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