バスハンターの余韻

私がルアーフィッシングを始めた頃というのは、国産（日本製）ルアーというのは安物という見方をされていました。実際、舶来製のルアーを真似たようなものが多かったですし、中にはオリジナリティを持ったものもありましたが実際に泳がせてみると真っ直ぐ泳がないなんて当たり前、酷いものになると途中で宙返りするものまであった。それらに較べて、ラパラやバグリー、ヘドン、ストーム、レーベルといった舶来品は確かに泳ぎも良かった。

しかし、小遣いの限られる小中学生の立場ではなかなか舶来製のルアーを多く揃えるのは困難でした。だから私のタックルボックスの中身なんて半分以上はコーモランやダイワといった国産ルアーで占められていました。

国産ルアーの製品には満足出来ないものの、親からもらう小遣いの中でルアーを買おうとするとそれが精一杯でした。金回りのいい友達のボックスにはヘドンやストーム、ホッパーストッパーあたりのルアーがワンサカ入っていて、うらやましかったな。

当時の国産ルアーは、量産品であるにも関わらずその個体差が激しく、実際に泳がせてみないと当たりか外れかわからないものが多かった。ダイワさんのバルサマックなどは、当たりとなると舶来品をも凌ぐ泳ぎの良いものがあった反面、外れとなるとガクガクしながら片泳ぎしてしまうものもあった。インジェクション製のプラグでさえもご多分に漏れず、コネリー、バスジャッカー辺りは当たり外れが激しかった気がします（外れの方が多かったかな）。だから当時は、早く国産品を脱却して、舶来品のルアーを揃えられるようになりたいと思っていました。

しかし、とあるルアーの発売を機に、国産ルアーの精度が一気に向上したように思えました。そのルアーは、ダイワさんの「バスハンター」シリーズ。どの個体を泳がせてみても、泳ぎのバラツキがほとんどない。ちゃんと真っ直ぐに泳いでくる。そんなの当たり前だろうと言われてしまうそうですが、それまでの国産ルアーというのは本当に真っ直ぐ泳ぐことすらままならなかったのです。だから当時の私はバスハンターの精度に感動すら覚えました。

しかも当時、定価が￥600。2割引のお店で買って、私は￥480でこれを入手していました。造りも綺麗で、丸っこい形のバスハンターは見た目にも特に可愛かった。丁度この頃からダイワさんのルアーの台紙デザインも大幅に格好良くなったのもイメージの一新に大きく貢献していたような気がします。そしてこの頃から、国産ルアーに化研のフックが使われるようにもなった。当時はあまり気にしていませんでしたが、今思えばこれも非常に斬新な出来事の1つだったに違いありません。

バスハンターは発売されるや否や当時のルアー少年たちに大いに支持され、私の釣り友達でもこれを持っていない人がいないほどでした。バスハンターのオリジナルモデルは潜行深度がほとんどなく、私自身はあまり良い結果を得ることは出来ませんでした。しかし直後に発売されたバスハンターDRは印旛新川の護岸沿いを引くのに最適で、私にも実に多くのバスを与えてくれました。

さらに追加されたバスハンターSPはそれまでサスペンドRを使いたくても手が出せなかった少年たちにも手が届く貴重なサスペンドプラグとなりました。後に追加されたミラクルシャイン（Gフィニッシュ）のバスハンターM、骨入りのスケルトンモデルのBNもタックルボックスの中に顔を並べたのは言うまでもありませんでした。



その後、当時所有していた国産プラグはほぼ全て釣り場で会った小学生グループにあげてしまったので私の手元には何ら残っていないのが今になって少し後悔するところでもあり、たまに中古販売品の中にバスハンターの姿を見かけるとついつい買ってはボックスの中に仕舞い込み、ふと当時の余韻に浸っているというのはここだけの話にしておきましょう。

コメント 2

いつも楽しく見させて頂いています。

懐かしいルアーですね。

自分はバスブームの時から始めたので、あまり古いルアー知らないのですが、昔から釣れるルアーは今でも釣れますね。

けど今はどんどん新商品が発売して、使用頻度が少ないのが現状です。

久しぶりに使ってみようかな＾＾
by 小木 (2010-11-25 09:37) 

古いモノにも良いものは沢山ありますよ。小木さんは折角ルアーの開発にも関われているのですから、良いルアーを沢山知って、商品の本質を理解して、製品にフィードバックさせていって下さい。
by IKE-P (2010-11-25 23:12)