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オレンジミノーのオジサン [メモリー]

近所に釣り場があって、暇な時にはすぐに釣りに行ければどんなにいいだろう。それでいて時間にも余裕があって毎日釣りに行けたら最高だ!釣り人たるものそう考える人は少なくないはずです。でも実際のところは釣りに行ける時間なんて週末くらいのものだし、車で数時間かけて釣りに行くというケースがほとんどでしょう。

ですが私は数年間、頻繁に釣りに行ける環境下にあった。もう10年以上も前のことになりますが、転職を機に思い切って都内から埼玉県の吉川市という街に引っ越したのです。ここには当時私の勤務先だったスミスの商品センターがあるのです。その通勤時間、10分!!

当時はまだ釣りブームを引きずっていましたから仕事自体は結構忙しく残業する日ももちろんありましたが、もしも定時に退社してしまうと、何と18:00前には帰宅出来てしまう。そんな日は当然、ロッドを持って近所の川に釣りに出掛けていました。それまでは都内でハードな業務に終われる日々を過ごしていた私には、あまりにも拍子抜けしてしまうようなのんびりとした日々。果たしてこんな生活をしていてイイんだろうか?とまるで何かいけないことをしているような気分になってしまうほど、ちょっとした罪悪感のようなものさえ感じたものです。

当初はもちろん中川でバスを狙っていました。夕マヅメのいい時間帯に釣りをしているんだからそれなりに釣れるだろうという甘い目論見は数ヵ月後には完全に崩壊してしまっていました。この川でバスを狙って釣るのは無理だ・・・夕方釣行も徐々に足が遠のいていきました。

ところが、ある日とある支流で70cmオーバーのシーバスをキャッチしました。偶然だろうと思っていたのにどういうわけか行く度にシーバスばかりが釣れてしまう。私が投げるルアーは、いつの間にかミノーに変わった。これが私の川シーバス釣りの始まりでした。

何シーズンかを経て、このゲームは夏が中心なんだと知った。私の経験上は7~8月が最もいい。だからこの時期は仕事が終わると毎日川に行って数時間ロッドを振るという日々を過ごしました。今でこそ埼玉の河川でシーバスを狙うアングラーもいるようですが、当時はこんなところでシーバスが釣れるだなんて誰も信じてくれなかった。夜な夜な川でルアーを投げ続ける私の姿は、川辺を散歩している人にも奇特に思われていたようです。たまに「釣れるかい?この辺りはバスなんて釣れないよ」と近所の人に声を掛けられることもしばしばでした。

しかしある日、私がシーバスを釣り上げるところを近所のオジサンに見られてしまいました。私は秘密主義者なので現場であまり多くを語ることはありませんが、見られてしまっては仕方がない。夏になるとこの辺りでシーバスが釣れること、そしてこの時のヒットルアーはパニッシュのCORという色だったのですが、オレンジ色のこのルアーが一番釣れるということを正直に話したのでした。

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(中川水系でダントツの釣果を叩き出してきたパニッシュ85F・CORカラー。現在は廃盤色)

その事実がオジサンには軽いカルチャーショックだったらしく、「ココはオレンジ色のルアーでスズキが釣れるんだよ!」とその界隈の釣り人に言いふらしていたようでした。やっぱり、教えるんじゃなかった。

そして数日後、なんとその近所のオジサンがロッドを持ってそのポイントにやってきた!投げ竿と思わしきロッドの先には、パニッシュではありませんでしたがオレンジ色のミノー(笑)。そして沖目に向かってエイヤーッとキャスト!リールをガンガン巻き始めた。(あぁっ、それは危険だ!)

ゴンッ!水面が渦を巻いた。しかしフックアップはせず。オジサン、いきなりのアタリにビックリしている様子。しかもキャストするたびに強烈なヒットがある。なかなかフッキングしないようでしたが、やがて遂にロッドが強烈に締め込まれた。(あ~ぁ、やっちゃったよ)

ロッドは一気にノサれて瞬時にラインブレイク。オジサン、呆然。きっと心臓バクバクだったのでしょう。しかし手持ちのルアーは1個のみだったらしく、その場は引き返していきました。かなり興奮している様子で、きっと大型のスズキがヒットしたものと思っていたのでしょう。

それからというもの、そのポイントでオジサンの姿を見掛けることはなかったのですが、後日悟ったのでしょうかね、キャストする毎にガンガンとルアーに当たるその正体が、沖目で群れている巨大なコイやレンギョの群れだったってことに。

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