シャッドプラグ不毛の時代・番外

かつて、スミスにもバス用のシャッドプラグが幾つかありました。とはいっても、現在のシャッドプラグの概念とは少々異なるものではありましたが。

その1つはシャッティーという、今で言えばフラットサイドクランクに属するものでした。実は以前にフラットサイドクランクがブームになりかかった時、よっぽど復刻させようかとも思いました。しかし、未だに中古ルアーとして流通量が多かったこともあり、見送りとしたのです。残念。

そしてもう1つはMARSH（マーシュ）というプラグでした。コレはルックス的にはシャッドと呼んでおかしくないプラグでしょう。でも個人的には、シャロークランク的な意味合いが強かったとの印象です。廃盤品です。どちらもまだ私が開発セクションに就く以前の製品です。デザイナーは社外の方が担当していました。



このMARSH、当時の製造工場の技術がまだ未熟だったためか、その作りは粗雑という気がしないでもありません（現在ではその工場の技術も格段に上がっています）。それとカラーリングがあまりにも独特でした。まぁ、見方によってはスミスらしさを狙ったのかもしれませんが、う～ん・・・個人的にはナチュラルカラー路線のものに絞って購入していました。とりわけ、アユカラーに関してはなかなか良い感じでした。

そのアクションに関してはかなり機敏に動く方ですが、ローリング、ウォッブリング共にそれほどタイトというものでもありませんでした。だから、低水温時・活性の低い魚を相手に使うことを前提とされた現在のサスペンドシャッドの性能とはまるっきり異質のものです。どちらかというとハードルアーを積極果敢に追って来るような活性の高いバスに対して、ただ巻きもしくは連続トゥイッチでアピールさせて喰わせるタイプのプラグだったのです。

このプラグ、セールス的にはさほど芳しくなかったこともあり非常に短命に終わってしまったのですが、個人的には少々惜しい気もします。なぜなら、泳ぎのレスポンスは本当にいいのです。釣れるルアーであることには間違いないと断言できます。

当時は確かにシャッドプラグが売れない時代という背景も確かにあったかもしれませんが、せめて顔周りやスケール彫刻といったルックスがもう少し本気でリアルフィニッシュにされていたのなら、さほど短命には終わらなかったような気もするのだけれど・・・