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マスコミの弊害 [物申す!]

バス雑誌は数年前と現在とで大きく様変わりをしました。琵琶湖、八郎潟といった大規模メジャーレイクが相次いでリリース禁止になったことで、バスボートでの取材が減りました。その代わりに台頭してきたのがオカッパリの記事です。昔だったらプロガイドやバスプロの人が野池でオカッパリをしている記事なんてほとんど見ませんでした。当時はミスマッチな印象もありましたしね。これにより、ここ数年でオカッパリの地位が随分と上がってきたように思います。

ところが、これには大きな弊害がありました。小中規模の釣り場の荒廃です。私は関東の人間なので他の地域がどのような状態なのか全くわからないのですが、少なくとも関東の小規模の釣り場に関してはマスコミに取り上げられてしまった後の荒廃の仕方といったらそれは半端なものではありません。

以前から個人のホームページなどにはこの手の情報がよく掲載されていたものですが、実際に小規模の場所にオカッパリで釣りに行っている人は釣り場を大事にしなくてはいけないことを充分承知していますから、近年は具体的なポイント名などは伏せるケースがほとんどとなりました。これは非常に良い傾向だと思っています。私自身も、写真を撮る際には背景に川が写らないようにしていますし、特徴のある建物などが入らないようにしています。

ところがそれに逆行するかのように、雑誌やテレビ番組といった影響力の大きなマスコミが、平気で規模の小さい釣り場のポイント紹介をするケースが増えてきたのです。

取材というのは平日に行われるケースがほとんどです。だから人気のある釣り場でも空いているはずです。人も居ないし、駐車場所にも困らないことでしょう。けれども、平日に釣りに行けるような恵まれた人は少数です。ほとんどの一般アングラーは週末に釣り場へ足を運ぶのです。ただでさえ人も多いし、車を停めるのにも苦労する。それが実情なのです。

それがマスコミに紹介されてしまうことで、とんでもない事態に発展します。わざわざ遠方から足を運んできた人は、目的地をたやすく変更しようとはしません。そりゃあそうです、マスコミが散々その釣り場が良い、と煽ってしまっているのですから。ですから人が沢山居るような状況であってもなんとか無理矢理駐車をしようとします。結果、他の車両の通行の妨げになるような駐車をする人もいますし、農道を塞ぐように車を停めてしまう人さえも居ます。
いつも釣り場で顔を合わせていたヘラ師の人が駐車することが出来ずに苦笑いしながら釣り場を後にしていく姿を見る事になりました。それまでは気さくにバスアングラーに挨拶をしてくれていたのが態度を硬化させたのは明らかでした。トラクターを運転する農家のオジサンがとても困っている場面を見掛けました。犬の散歩をしていた地元の人が呆れた視線でその光景を眺めていました。

ポイントの紹介のみならず、こんなこともありました。霞ヶ浦のとある流入河川の紹介記事。私や仲間内でもよく足を運んでいる川です。ここには小さなスロープ状の場所があり、土日などは順番待ちをしながらボートを降ろした後は次の人の為に車を離れた場所に移動したりと、そこを利用する人達の間での暗黙の了解がありました。けれど、この場所を知る人がこれ以上増えてしまったら困ってしまうだろうと思われる、そんな場所でした。
そんな場所でさえ、容赦無く掲載した雑誌がありました。しばらくはその場所の利用を自粛せざるを得ませんでした。関東のとある川では、利用者のマナーが悪いが為にスロープや河川への侵入口が次々に閉鎖されてしまった場所があります。その二の舞にならなかったことだけがせめてもの救いでした。

私の仲間内では自分達の大事にしてきた場所が紹介されてしまったことによってその雑誌を買うのを止めた人達が居ます。彼らの怒りは私もよく理解できたのでそれを咎める事はしませんでした。私も釣り業界の人間でなかったなら編集部宛に苦情の電話を入れていたことでしょう。

雑誌社や釣り番組の製作者の方々にお願いがあります。
小規模の場所を晒し上げることだけはどうか止めていただきたい。
その場所でバスアングラーが締め出される事になったら取材出来る場所がますます減って自分達の首を締めるという点をもっと自覚するべきです。

そして一般のバスアングラーの人は自分が足を運ぶ釣り場が窮地に立たされるような事があれば
その元凶に対してハッキリと文句をつけるべきです。取材している側もどんな問題が起こりうるかをしっかり把握していないケースもあるでしょうし、何も行動しなければますますあなたの釣り場が荒廃することになります。

残念ながら、今はバスに対する風当たりの強い時代です。バスやバスアングラー自体の世間的なイメージも決して良くは無い。だから、今の現状を守って行く事はとても重要な事なのです。まずそのことを一番肝に銘じておかなくてはならないのはマスコミ関係者です。


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コメント 2

HALU2001

この様な記事はほんとうに共感します。
子供のころからの良い釣り場が、釣り禁止、行政の監視・・・
いまでは車でしか釣りにいけません
おきな意味でつり業界、釣り人が変わらないといけないと痛感します。
by HALU2001 (2006-03-10 19:46) 

IKE-P

雷魚釣りや、バスでもトップウォーターフリークの人には釣り場を大事に守るという意識が強いような気がします。一般のバスアングラーも、雑誌に小規模な釣り場が紹介されてしまうのを仕方ないことだと諦めてしまうのではなく、きちんと出版社に意見を出すことが大事だと思います。釣り場を守れるのはその釣り場に足を運ぶ釣り人の皆さんです。
by IKE-P (2006-03-10 21:30) 

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