SSブログ

真冬の実釣テスト [製品開発]

バスルアーの新製品を発売するのに最も良い時期なのは春です。フィッシングショーやカタログに出して認知性を高めておき、春にリリースするというのが最も理想的な流れです。

これは小売店の仕入れの都合とも関係があります。これからベストシーズンへ突入するという時期ならば、多少無理をして仕入れてもそれなりに商品がさばけるだろうという期待が出来ます。逆にこれがもし秋だったら、残り少ないシーズン中に売り切ることが出来なかったならばそのルアーは冬の間はずっと在庫として残ってしまうことになり、小売店としても財布の紐を固く締めざるを得ないのです。

で、ルアー開発者として最も苦労するのが春に発売することを見込んで開発を進めていくと製品版での最終テストがどう考えても冬にあたることです。もちろん、スイムチェックだけをするならば冬でも問題はありません。しかし、実績のないまま市場に出すわけにはいきませんし、自社ホームページの製品紹介のページなどに釣果写真があるのとないのとでは説得力が違います。

ヤラセをすれば写真を用意するのは簡単でしょう。或いは、管理釣り場に行けば実際にバスを釣るのもさほど苦労はしないでしょう。けれど、それではユーザーを騙していることになります。だから私は何としてでもナチュラルフィールドでの実釣結果にこだわっているのです。

ところが冬にバスを釣るのはそうたやすいことではありません。まして、その時期に向いたルアーのテストとは限りません。真冬だというのにシャロークランクを引かねばならないときもあります。何度も釣り場に足を運んでは1日中テストルアーを投げ倒し、ノーフィッシュで帰るなんてこともザラです。

これはあくまで私の場合ですが、何の成果も出せないかもしれないというのに会社の経費や勤務時間を使うことには抵抗があるので、写真撮影目的のフィールドテストには全て自分の時間と経費を割くようにしています。だから決して平日にテストに行きまくっているわけではないのです。条件は一般アングラーと全く同じです。

私が開発した製品に、シャロークランクのペブルSRというルアーがあります。これもやはり発売は春先だったので、何としても2月までにホームページ掲載用の釣果写真を確保する必要がありました。けれども雪に降られたり何だりで、来る日も来る日もノーフィッシュ。当然です。普段から私は真冬の水郷界隈を釣り慣れていますので、とてもこの時期にシャロークランクで釣れるわけはないというのは自分自身が一番良くわかっていたのです。

それでも多少なりとも可能性がありそうなエリアを徹底的に狙い、何とか魚をキャッチしようと頑張っていました。けれども魚が釣れぬまま、遂にタイムリミットが迫ってきてしまいました。残りはあと1週間。残されたチャンスはせいぜいあと1、2回といったところです。
管理釣り場に行くか?いや、それだけは避けたい。けれどこのままではホームページに魚の写真が掲載できません。自分の中で葛藤が続きました。

完全に頭を抱え込んでしまっていた私のもとに思わぬ吉報が入ってきたのはそんな時でした。なんとペブルでバスを釣り、しかも写真までばっちり撮ったというのです。
見事バスを釣ってくれたのは霞親父こと吉田幸二さん。時を同じくしてシャロークランク「紅龍」のテストをしていたようなのですが、たまたま比較対象品として貸し出していたペブルをキャストしたところヒットしたのだそうです。ちなみにその魚はその年の吉田さんの初バスだったとの事です。
これを聞いた瞬間、ホッとするあまり肩の力が一気に抜けたのは言うまでもありません。

けれども人間というのは贅沢なもので、できればもっとサイズの良い魚で写真を撮りたいと思い、その週末もペブルを引きまくったところ、今まで散々苦労したのが嘘のようにバスが立て続けに釣れてしまいました。余計な気負いが抜けたのが良かったのでしょうね。
あいにくグッドサイズには恵まれませんでしたが、無事にホームページの製品紹介ページに魚の写真が掲載できたのは言うまでもありません。

そろそろ新しいスピナーベイトのテストも始めないと・・・。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0