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心に刻まれるタックル [物申す!]

自分が中学生~高校生の頃は、スミスのスーパーストライク、エビスのミスタードン、ウエダのスーパーパルサーなどが人気があったものです。ダイワのアモルファスウイスカー、シマノのファイティングGTなんていうのもありましたね。友達の間でも、スーパーストライク派、ミスタードン派などと分かれていたものです。

自分が中学生の頃は、親がドケチだったせいか周りの友達よりもかなり小遣いが少なく、一緒に遊ぶにも何かと不自由を感じていたものです。欲しい物もなかなか買えませんでした。メイホーのトラウト6000という両開きのタックルボックスにヘドンやボーマーのルアーをギッシリ入れた友達がうらやましくて仕方がありませんでした。自分は、高いルアーといったらラパラが数個くらい。あとはほとんどダイワやコーモランといった国産のルアーが多かったです。

けれども、高校受験や上級の珠算検定の際には、試験に対するやる気を起こさせる為のエサとして
両親が「合格したらお祝いにロッドやリールを買ってやる」と言ってくれていました。父親がヘラ釣り師だったということもあって、釣り道具に対しての理解だけはあったようです。自分にしてみれば試験の合格のみが、憧れのタックルを入手できそうな唯一のチャンスでした。

当時、シマノのバンタムやダイワのファントムよりも、アブのアンバサダーの方がステータス性がはるかに上でした。いずれは国産リールを卒業して一生もののアンバサダーを使う、という風潮がありました。当時私は中学生の分際でシマノのバンタム100EXというリールを使っていたのですが、自分もいつかはアンバサダー、それも5000Cを使うんだと決めていました。
そしてそれに似合うロッドは、スーパーストライクのGC-60しかありえないと思っていました。フジのグリップはアンバサダーには似合わないと思ったからです。チャンピオンのガングリップを装着したスーパーストライク以外には考えられませんでした。

そして第一志望の高校に進学出来た時、長年の夢だった憧れのタックルを遂に手にすることが出来たのです。受験からようやく開放された私は、それらのタックルを手に毎日釣り場に通いました。休みの日は勿論のこと、部活にも入らず、平日でも帰宅したら即釣り場にダッシュの日々でした。そして年間で数百匹のバスをこれらのタックルでキャッチしていました。一生ものと言われていたはずのアンバサダー5000Cのギアが磨耗し過ぎて異音を発していたほどです。

ところがある日の事、誤ってフロートチューブからそのタックルを落水させてしまったのです。運悪く鯉釣りの仕掛けを回避しようと沖に迂回した時に落としてしまったので結局は回収も出来ず。その時の私の落胆ぶりといったら・・・

今の自分だったらそんな事はしないと思いますが、当時の私は何を思ったか、その経緯をメーカーの人に宛てて手紙に綴りました。父親はそんな私を見て、そんな事をしたって無駄だから止めておきなさい、と言っていたのを覚えています。

ところがです!メーカーさんから返信があったのです。
アブリールの代理店・エビスフィッシングさんからはキャップが送られてきました。それには丁寧な手紙が添えられており「さすがにリールを提供するわけにはいかないのですが、キャップを送らせていただきます」との内容が記してありました。

そして、スーパーストライクのスミスからも手紙が届きました。それにはこう記してありました。「セミナーで使った中古のロッドで良ければ¥5000でお譲りできます」と。もちろん喜び勇んで即お願いを申し出たのは言うまでもありません。
そして届いたロッドを見てまたもやビックリです。確かにブランクス側は中古である様子でしたが、新品のチャンピオングリップが付いているではありませんか。当時のチャンピオングリップは単体で確か¥7000以上だったはず。しかし私が払った代金は¥5000のみ。明らかに新品のチャンピオングリップはスミスからのプレゼントでした。
これらの釣具メーカーの親切な応対には私の父親も大変驚き、そして感心していました。

そんな事があって以来、私はリールは全てアブ、ロッドは全てスミスで通してきました。トーナメンターに転向した時も、全てテラミスというロッドとアブライトで揃えましたし年に数回使う程度のシーバスロッドやトラウトロッドも全て然りです。ささやかではありましたが、その時の恩を少しでも返したい気持ちがあったからです。そして今では何故かそのスミス社で働いています。何か不思議な縁でもあったのでしょうか。

その時にスミスからもらったロッドと、エビスフィッシングさんからもらったABUのキャップは今でも大事に取ってあります。私にとってスーパーストライクのロッドとアンバサダーのリールというのはとても特別な存在であり、きっとこの先もそれは変わる事は無いでしょう。

自分が普段手にするタックルは今やすっかり最先端のものになってしまいました。最先端の道具はやはり良いです。格段の使い心地をもたらしてくれました。きっと釣果にも大きく貢献してくれているはずです。
けれども最先端の道具は進化の波に飲まれていずれはその意味を無くしてしまいます。果たしてそんなタックルが自分の心に刻まれる道具にはなるのかどうかは疑問です。


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コメント 4

T.Inaba

私も中学の頃は同様で小遣いはなしの生活をしていました。
その代わりにテストなどの成績でタックルを増やしていきました。
高校に入るとバイトを始めバイト代は全部タックルになりました。
高校に入ってからも小遣いはなしだったのですが、部活が年間に数日程度しか休みがないため、休みの日だけは親が釣行費は出してくれたのでラッキーでしたね。
by T.Inaba (2006-01-27 11:55) 

IKE-P

自分はチャリンコ部隊だったので釣行費はかかりませんでした。船橋から片道2時間チャリンコをこいで牛久沼まで行き、朝から晩までフローターで釣りをして、帰りはまたチャリンコこいで。家に着くと同時にブッ倒れていましたよ。
by IKE-P (2006-01-27 22:11) 

前田

ルアーフィシングを始めたころスミスのロッドは特別な存在でした。当時テラミスとバトラックスがありました。当時ライギョ釣りにはまってたのでバトラックスのBAT-76というモデルを購入し今でも現役で活躍しています。僕もこだわりがありロッドはスミスリールはアブです。バトラックスがタイガーとなってよみがえったのは嬉しいですね。現在はツアラー、ストラテジー、マグナムハスキーと最新の機種に移行してますが少し前のシリウスやバスマニックもまだまだ現役です。僕も道具に対する思い入れが強く手放すことはないと思います。これからもスミスのロッドとアブのリールで釣りを楽しんでいきたいと思います。フィシングシヨーにも行きますのでスミスブースに行くのを楽しみにしています。
by 前田 (2006-02-08 18:43) 

IKE-P

前田さん、コメントありがとうございます。今の日本のバス市場というのは新製品しか売れないというのが現実で、結果的にモデルチェンジが早過ぎますよね。そんなミーハー体質にしてしまった業界や出版はそろそろ考えを改めるべき時期でしょう。製品開発に関わっている人間が言うべきことじゃないですが。愛着を持って末永く使える道具が理想だと個人的には思っています。ぜひスミスブースにいらして下さいね。お待ちしています。
by IKE-P (2006-02-08 21:21) 

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