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超ドMの時代 [メモリー]

昔は冬になると、雑誌の巻頭カラーを飾る2大ルアーターゲットがありました。1つは「本栖湖のスーパーブラウン」、そしてもう1つは「湘南のシーバス」でした。

スーパーブラウンは、もう今は生き残りなんていないのでしょう。もっとも、当時としても相当な低い確率のターゲットではありました。

ルアーとフライ、両方の狙い方がありましたが、特にルアーにおいてはこの釣りが日本のハンドメイドミノー文化のバックボーンの1つにあったのは事実です。リアルなミノーを波間に投げて放っておく、ほっとけメソッドなんていうものまであった。フライだったらダブルハンドロッドでストリーマーを引くというイメージでしょうか。

いずれにしろ、吹雪の中で湖に立ちこんで黙々とロッドを振るというイメージの釣りです。しかも、それがほとんど報われることはない宝クジのような釣り。まさにドMの釣りの頂点とさえ言える釣りでした。それでも本栖湖のブラウンの記事を目にした当時のルアー少年達は、そんな釣りに憧れを抱いていたものなのです。

もう1つの「湘南シーバス」というのは、まさしく日本のシーバスフィッシングの始まりといっても過言ではありませんでした。投げ竿の流用から専用のシーバスロッドへと大きく進化を遂げたのは、湘南シーバスという釣りのスタイルがあったから。ジャクソン社のケイロン、スミスのサーフプラッギングといった専用ロッドが、シーバスロッドのパイオニアとなった。当時は今よりも長くて、11ftクラスがスタンダードでした。重心移動のルアーなんて、当時はまだ無かった。

今は真冬よりもその前後がベストシーズンという認識があると思いますが、当時はシーバスといったら冬の釣り。完全防寒スタイルで寒風吹きすさぶ冬の海に立ちこんで釣りをする。「冬」「夜」「海」というこれでもかの3重奏。これまたドMな釣りと言わざるを得ない。それでも当時は随分流行っていたようだし、雑誌を読んでいた少年達はそんな釣りに憧れていたのです。

当時に較べて、今はそこまでドMな釣りをするアングラーは少なくなった。というよりも、本当は少し時期をずらした方がいいとわかったり、色々と解明されるに従ってそこまでしてやる必要は無くなったといったところでしょうか。でも少なからず、釣り人自体が軟弱になったのも事実じゃないかな?と思います。

「池島さんは冬なのによく毎週バス釣りに行きますよね、寒くないんですか?」よく言われるセリフです。

寒いわけがない。昼間の釣りだし、風のない日を選んでいる。釣り場だって温暖な水郷です。雪なんて滅多に降らない。その昔に、本栖湖のモンスターブラウンや湘南のシーバスを追い掛けていた人が聞いたら、鼻で笑われてしまうに違いないです。そんなの序の口だよって。
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