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フルタングステンメタルジグ T.G.スロー [スミスルアー]

タングステンの焼結金属を素材に使ったフルタングステンのメタルジグ。その必要性はテスターの人からも要望されていました。シルエットが小さいために小型のベイトフィッシュに偏食している時にでもヒットが得られる事、鉛のジグに比べて沈下が圧倒的に早いためいち早くヒットレンジに落とし込めるので船中でも有利であること。これらはやはりタングステンならではのメリットです。

これまで私自身はタングステン製のバレットシンカーやネイルシンカーの開発を手掛けてきました。タングステン製品は鉛製のものとは比べ物にならないくらいの開発の難しさがあります。

タングステンは鉄よりも融点が高いので特殊な金型でないと成型が出来ません。勿論その金型は高額なものとなります。これが何を意味するのかというと、簡易な仮型や安価な金型での成型が出来ないためタングステンでの試作というものが出来ない。つまり、試作をするにもいきなり金型製作をすることになるのです。

仮にサンプルが駄目だったとなると通常は形状修正することになりますが、タングステンに関しては基本的には金型はほぼ修正ができないものと考えるべきです。量産用の金型は修正方法が限られる上、それを行うとなるとリスクが大きい。もちろんその費用も含めてです。

だからタングステン製品の試作というものはほぼ一発勝負で決めないといけません。開発経験の少ないメーカーさんは手を出さない方がいいです。

私自身はジギング用品の開発業務は担当外ですが、タングステン製品の開発に関しては社内での経験者だったということもあり、タングステンメタルジグの開発を社内で提案したのは自分でした。工場の見積もりから試算を行い、製品化の目途が立てられたことにより企画書の提出までは私がやりました。その後はバトンタッチをしましたが。

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実のところ、T.G.スローの開発は一発勝負では決まりませんでした。鉛製のジグを多数デザインしてきたデザイナーでも、やはりタングステンは手強かったのです。

とはいえ、ファーストサンプルも特に大きな問題点があったわけではありませんでした。人によってはこれでも特に問題点はないという人もいたのです。及第点は出せる、そんな具合でした。けれども一部の人からは「ここがもうちょっと、こうだったら」という意見がありました。
最終的にはイチかバチか金型に手を加えることとなった。それで決まらなければ全てが水泡に帰するというリスクがありましたが、幸いにも上手くいった。

一時はどうなることかと心配していたのですが、結果的に良いタングステンジグに仕上がったようなのでホッと一安心。結果オーライだったから良かったようなものの、タングステン製品の開発はやはり一筋縄ではいかないな、と痛感したのでした。

01.イワシ
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02.カタクチグロー
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03.イカナゴ
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04.アカキングロー
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05.ゼブラ
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06.ピンクゼブラ
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07.レーザーピンクグロー
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08.ブルーピンク
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09.グリーンゴールド
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10.フルレーザー
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【T.G.スロー 50g】
・全長:68mm
・標準小売価格:¥2,000+税

【T.G.スロー 65g】
・全長:75mm
・標準小売価格:¥2,450+税

65gのジグ1個で¥2,450・・・私の昼飯5日分です(爆)。

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