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2019-11-12 [災害ボランティア]

台風19号の上陸から1ヶ月が過ぎました。接近段階からその被害の大きさが懸念されていましたが、その爪痕は想像を超えるものでした。

水害が発生し、各地でボランティアセンターが立ち上がるとともに自分も被災地に入りました。もちろん平日は本業に従事していますが、週末は栃木県佐野市に通っていました。
それからは釣りにも全く行っていない。遊びにも出掛けていない。でもそれは自粛とは違います。自分自身がとても遊びに行く気になんてならないのです。目の前にある光景を見れば、今はそれどころじゃないということくらい一目でわかる。

被災直後に比べれば街もだいぶ綺麗になりました。とはいえまだあちこちに土嚢が積まれており、道路では砂埃が舞い上がる。住宅地に目を移せば、未だにスコップ片手に泥出しに励む住民の姿があちこちに見られる。この地域に住む人達はこの1ヶ月、ただひたすらに泥出しや掃除に追われてきたはずです。「一晩で生活が地獄に変わってしまった」と訪問先の人が私に話してくれました。

佐野市は栃木県内では最もボランティアの人数が集まった場所です。それはきっと報道で目にすることが多かったことも一因でしょう。秋山川の決壊場所は橋のすぐ側でした。だから決壊現場の間近で撮影が出来た。秋山川の堤防が決壊し、そこから川の水が住宅地に流れ込む光景は多くの人が映像で目にしたことでしょう。

だから佐野の水害は秋山川の堤防決壊が原因だと思っている人も多い。でも実際はそれだけではなく、市内を流れる幾つかの小規模河川も溢れており、それによって床上浸水となってしまった家も多い。さらに山間部では土砂崩れも起きている。

災害ボランティアは訪問先での写真撮影が禁止されていますのであまりSNSなどでも現時点での被害状況が拡散されることがありません。今ではすっかり報道も少なくなり、世間からは忘れ始められているでしょうし、もうだいぶ復旧が進んだものと考えている人もいるかもしれない。でもそれは間違いです。

191112-1.JPG

この写真は11/10時点で撮影され、佐野市社会福祉協議会のホームページに掲載されていたものです。車が半分埋まってしまっていますがもう一ヶ月近くも手つかずだったことが伺えます。しかも泥というより大量の石に埋まっていることがわかります。
その後、ボランティアによって大量の石と泥は取り除かれ、車を車庫から移動することが出来たようです。報道はされていないけれど、未だにこんな状況の場所があることを知って欲しい。

佐野市では高齢者の住居を優先してボランティアの派遣を進めました。ニーズに対してボランティアの人手は不足し、だいぶボランティアの訪問待ちをしたお宅もあったようです。
現在では、依頼を出したお宅のほとんどにボランティアが複数回訪問している状況です。但し、床板を剥がすことを後回しにしてしまったがために今になって床下の泥出しに着手するケースが少なくないようです。そして市街地だけではなく山間部にもようやく人手を回せるようになってきたようです。依然として人手は足りていません。

佐野市では約2700軒もの浸水被害がありました。そのうち床上浸水だけで1472軒もあります。が、その全ての家がボランティアを依頼したわけではなく、身内だけで、或いは近所の人達と協力し合って泥出しや掃除に取り組んできた家も多い。それで完了するならそれに越したことはないです。
でも、作業が長引くようなら躊躇せずボランティア要請をして欲しいです。床板を外した家は空気が逃げるので暖房が効きません。早く作業を終えて家を修繕しないと寒いままで冬を迎えることになります。

そしていつまでも大勢のボランティアが来てくれるわけではありません。ほどなくボランティアの人数も急減していくでしょう。常総市の水害の時もそうでした。さらに高速道路の無料措置が終われば県外からのボランティアはほぼ来なくなる。やがてボランティアセンターも活動終了となります。まだボランティアが大勢来ている今のうちに作業を依頼するべきです。

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自分が災害ボランティアとして被災地に足を運んでいることを知られた際に「頑張っているね!」「凄いな!」という言葉が返ってくるとガッカリします。その言葉の裏に、その人自身は行く気がないことが垣間見えるからです。
「自分もやってみたい」という人は残念ながら私の周りに一人もいませんね、今のところ。

1日でも早く、この地域の人達に元の生活を取り戻して欲しい。でもそれを願っているだけでは何にもならない。だから自分は今週末も、そしてその次の週末もきっと佐野で泥出しをしています。

とことんやってやるぜ!と思っています。
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