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殺さない駆除へ 2018 [物申す!]

今年も群馬県邑楽町(おうらまち)の中野沼において外来魚駆除大作戦という名目の釣り大会が開催されました。昨年に引き続き、自分も運営スタッフとして出向いてきました。

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各地で実施される外来魚の駆除。しかしながら邑楽町教育委員会が主催する中野沼での外来魚駆除ではオオクチバスを殺傷することなく、生かしたまま管理釣り場へと移送される。これは外来生物法施行後初の試みであり、全国的に見ても他に例を見ない取り組みなのです。オオクチバスの生体移動を実現させたのは昨年に続いて2度目ということになります。

特定外来生物は生体移動が禁止されているのにどうしてそんなことが出来るのか。その鍵となっているのは特定外来生物の飼養許可です。飼養許可を取得している者同士の間であれば、その譲渡は可能となる。大会参加者の中から寄せられた「殺したくない」という声に応える為、邑楽町教育委員会はオオクチバスとブルーギルの飼養許可を取得した。そして遂に史上初となる”殺さない駆除”を実現させたのです。これらは環境省の指導の下、問題がない事を確認しながら進められていきました。

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会場である中野沼(西沼)は何種類かの希少動植物が生息しており、沼自体が天然記念物として指定されています。普段は釣りも禁止されている。つまり、バスやブルーギルが生息していることは誰からも望まれていない水域です。こうした場所からバスを捕獲し、受け入れを希望する水域へと移動させる。日本釣り振興会が提言してきた「ゾーニング」がまさしくこれです。

その理念に賛同し、スミス、ティムコ、プロズファクトリーの各社、Rod and Reelの制作をされていたシーオーツー、地元プロショップのオジーズ関係者、上州屋関係者、NBCチャプター関係者といったバスフィッシングに関連する企業・団体からも多数ボランティアスタッフとしての参加がありました。

口先で理想論を語るだけなら誰にでも出来る。行動に移せる人・企業・団体こそが本物だと自分は思っています。

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尚、中心となって動いてくれているのは日釣振、JOFI群馬の皆さんです。参加者用の道具一式、生エサの手配、当日の段取り等々。本当に頭が下がります。

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今回もイベントの参加者を募集したところ定員(170名)までアッという間に埋まってしまったそうです。それくらい、このイベントは地元で人気がある。邑楽町町長、副町長も挨拶に訪れる、まさに邑楽町の毎年恒例のビッグイベントと言っていいのかもしれません。

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さらに今回は環境省から、環境大臣補佐官である笹川博義議員も挨拶に訪れました。

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今回は天候に恵まれたこともあり、大勢の親子連れで賑わいました。

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今回もブルーギルは場所によっては入れ喰い。数100尾もの釣果が上がりました。幻の魚オオクチバスは4尾。その他、ライギョ、ミシシッピアカミミガメなどが検量所に持ち込まれました。

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柏瀬先生の授業(自然環境学習)は今回も子供たちに大人気。

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ジュニアアングラーも大活躍!!

この”殺さない駆除”はまだ完成形ではありません。何故なら、殺さずに済んだのはたった4尾のオオクチバスだけだから。現時点では何百匹ものブルーギル、そしてミシシッピアカミミガメは殺処分するしか方法がない。子供たちの中には釣り上げたブルーギルやカメを飼いたいという声もあったが、それは出来ない。

「どこかブルーギルを引き取ってくれるところを知りませんか」昨年、教育委員会のH課長からそのように相談された。自分の知る限り、ブルーギルの飼養許可を取得しているのは邑楽町教育委員会以外には思い当たらない。

バスアングラーから見れば、オオクチバスの生体移動を実現させたというだけでも本当に画期的な出来事です。ブルーギルなんて別にどうでもいい、そう考える人も少なくないでしょう。

でも子供たちにその考えを押し付けるわけにはいかない。オオクチバスは大事に扱って生かす。でもブルーギルやカメは殺す。同じ生き物なのにどうして命の重みに違いがあるのか。それを子供たちにどう説明すればいい?

子供達に命の尊さを伝えたいと願う教育者の描く理想のかたちはまだ先にあるように思います。大人たちの価値観や釣り人の価値観を子供達に押し付けたくはない。”殺さない駆除”がもっと良いものになることを願わずにはいられません。

尚、今回の模様はルアーマガジン(6/26発売号)、TOP TOU(6月下旬発売号)にて掲載されます。是非ご覧下さい。

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