SSブログ

区切りの年 [東日本大震災]

2016年。震災から5年が経ち、このタイミングで震災以降続けてきた復興支援活動に一区切りをつけました。

これまで仮設住宅への訪問、復興支援イベントのお手伝い、泥出し、各種の寄付、行方不明者の捜索など行ってきましたが、果たしてそれらによって現地の人達をどの程度助けることが出来たのか?結果を出すことが出来たのか?というとそれは本当に微々たるものでしかないと言わざるを得ませんでした。いかに自分が無力であるかを痛感したのと同時に、どうすれば被災地の力になることが出来るのか、日々悩み続けました。

そんな折、北浦の貸しボート屋さんが廃業されるということでFRPボートを安価で売りに出しているのを知りました。一方、岩手には津波によって多くのボートを流失してしまった観光業者さんがいた。それならば北浦のボート屋さんからボートを20艇ほど買い上げてそれを提供すればいいんじゃないか。観光業や釣り客が復活すれば地域経済もきっと活性化する。そのプランを岩手の観光業者さんに提案したところ、是非お願いしたいとの回答を得ました。自分がやるべきことは、これだと思った。

ところがそんな状況に待ったが掛かることになります。釣り客が戻って来る気配がないと。だから、今ボートを提供されても活用できないと。確かに、自分自身が現地の視察に出向いた際にも、釣り客の姿は皆無で寂しい光景でした。この地がボート釣りで賑わう日はもう戻って来ないのか?

少なくともボートを提供するという当初の支援プランは頓挫することとなりました。ここでまた悩むことになった。

焦ったところで仕方がないと考え、まずは釣り人に戻って来てもらうことを目的とした支援策を模索していくことにしました。そして自分が最終的に出した結論というのが「浄土ヶ浜マリンハウス大物ダービー」の開催でした。スタートは2013年です。

130612-3.jpg

とにかく、やるからには絶対に成功させるという意気込みで開催しました。だから「無理せずやれる範囲で」ではなく「無理をしてでも徹底的に」。開催は雑誌でも告知。賞品もフィッシュグリップやリールなどイベントとして恥ずかしくないレベルのものを揃えた。手間もお金も時間も惜しむことなくガッツリ注ぎ込んだ。
なお、当初自分が想定していた「成功」というのは数年をかけて釣り人が戻って来ることを目論んでいました。それくらい、ロングスパンでの取り組みを想定していたのです。

ところが結果は嬉しい誤算となりました。大物ダービーは初年度から予想以上の盛り上がりを見せ、2年目には延べ参加人数が455人、3年目には659人と想像を遥かに超える人達が浄土ヶ浜に足を運び、ボート釣りを楽しんでもらえるようになった。もちろん全員貸しボートの利用客でもあるので、現地における大きな経済効果も生み出すことが出来た。

140623-1.jpg

浄土ヶ浜の海で多数のアングラーがボート釣りを楽しむ光景。2011年、2012年に現地訪問した際には、そんな光景はもう戻って来ないかもしれないとさえ思えました。せめて自分が生きているうちにそんな光景を目にすることが出来たなら嬉しい。本気でそう思っていた夢の光景が、今はもう現実のものとなっている。予想以上に早く、当初の目的は達成することが出来た。

そして659人という参加者があった2015年に決めました。もう自分は必要ない。自分は2016年で手を引く。現地の人達にもそう伝えていました。大物ダービーは既に復興支援策からは完全に脱却して、現地での純粋な釣りイベントに成長しました。知名度もアップした。あとは現地の人達がやりたいように育てていってくれればいい。

2016年。台風10号の襲来により岩手県宮古市も大きな被害を受けました。宿泊施設は冠水し幹線道路が寸断され、観光業が大きな打撃を被った。しかし、釣り客はすぐに戻って来てくれた。さすがに今年はダービー参加者の人数は前年に及ばないだろうと予想していましたが、結果的に2016年のダービー参加人数は2015年をさらに凌ぐものでした。年々、釣り客が増加の一途を辿るようになった。観光客と違い釣り客は一度来た人が2度3度と来てくれる。

これではっきりとわかりました。浄土ヶ浜の釣りは、もう簡単に廃れてしまうようなことはない。大丈夫だ。自分も安心して手を引くことが出来る。

来年から、大物ダービーは新しいスタイルに生まれ変わって開催される予定になっています。

この5年、当初は空回りしたり悩んだりしながらの復興支援活動でしたが、今は自信を持って結果を残せたと言える。だからここで一旦終わりにします。

では、来年からはどうするのかって?これまで同様、年に一度は宮古市の街並みを見に行く。今や復興という次元を通り越して発展し続けている宮古を見ると何だかとても嬉しくなれるから。そして浄土ヶ浜のロックフィッシュにもチャレンジして、あわよくば大物ダービーへの上位入賞を密かに狙っていく。これからは参加者として楽しませてもらうつもりでいます。

ks-bandocraw.jpg
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。