SSブログ

進化できる?樹脂タングステン [その他]

現在スミスで扱っている製品には存在しませんが、以前に樹脂タングステン製のバレットシンカーを発売していたことがあります。そのバレットシンカーの開発を手掛けたのは自分でした。当時、環境に優しい製品の開発を推進する雰囲気が強く、自分が命じられて開発に取り組んだものでした。

151203-1.jpg

時代的には丁度タングステン素材が出回り始めた頃で、焼結金属タングステン製は当時あまりにも高額なものでした。そこでやや価格も手頃な樹脂タングステンが注目されていたのです。

樹脂タングステンというのは粉末状のタングステンをナイロンで成型したものを指します。当時自分が扱っていた素材は比重が13.5のものでした。

タングステンの一番の売りは高比重であることです。それによって同じ重量であれば鉛や真鍮よりも小さくできるし、感度も良くなる。私も早速製造工場から素材のサンプルを取り寄せました。ところが樹脂タングステンのシンカーは、鉛のシンカーと大差がないように思えてなりませんでした。厳密に言えば確かに鉛のシンカーよりは少し重い。でもその差は小さかった。無理もありません、純度の高い鉛であれば比重は11程度あります。そもそもの比重自体が樹脂タングステンと大差ないわけですから。

おまけに樹脂タングステンには致命的な欠点がありました。衝撃に弱く、ぶつけると割れてしまうことがある。この点を改善するように製造工場の担当者には散々要望を出しましたが、それを改善するにはタングステンの比率を下げナイロンの比率を上げるしかないと言われました。でもそれをやったら鉛よりも比重が軽くなってしまいタングステンの意味がない。まぁ、そうこうしているうちに焼結金属タングステンの素材が価格が手頃になってきたのでそちらに切り替えたというわけです。

ちなみにスミスが販売している焼結金属タングステン製のシンカーは比重が18.2。これはもう、鉛やブラスシンカーと比べると劇的に重さの差が感じられます。

そんな経緯があったため、自分は樹脂タングステンという素材にはあまりメリットを感じていないのです。もし環境面を度外視してもいいというなら、むしろ鉛製の方がいいとさえ思います。割れませんから。そして当時はこうも思った。この先樹脂タングステンの素材は需要が消えてなくなるだろうとも。

あれから10年以上の時が流れました。今でも樹脂タングステンのジグヘッドやスモールラバージグが販売されており、自分の予想は外れたことになります。ただ、バス釣り以外のジャンルにおいては、私の知る限り皆無です。ではどうしてバス釣りの世界でだけは樹脂タングステンが生き延びているのでしょう?その答えはきっとJBのFECOルールにあります。FECOルールの下にジグヘッドやスモラバを作ろうと思ったら、確かに樹脂タングステンで製造するのが無難であるのは間違いありません。

まぁ、FECOルールがどうあれ、樹脂タングステンが生き延びていることについては別にいい。でも、10年以上が経った今でも割れやすい。特にジグヘッドやスモラバのワームキーパー部分といった細い部分が弱い。せめて強度面の進化はして欲しかった。そしてこの素材を採用するメーカーさんにおいては素材強度を考慮した製品デザインを施して欲しいとも思います。製品名は書けないけど、1日使うと大概割れてしまうようなスモラバ、ありますから。最近発売されたワイヤーベイトにもある。

それと、製品によるのかもしれませんが、ずっとワームを刺しっ放しにしていたりするとワームの可塑剤と反応してしまうのか、グズグズになって崩れてしまうことがあります。樹脂タングステンは油分が付着した状態のまま放置するのはあまり良くないと個人的には感じています。結構、取り扱いにも気を使う素材だと感じているのは自分だけ?

ks-vspec.jpg
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。