SSブログ

境界線での芸達者。2 [スミスルアー]

カクーンが登場したのは1998年のこと。フローティングペンシルベイトのカクーンと、水面下でダートアクションを起こすことの出来るカクーンSPが同時に発売されました。

発売当初、まず私が注目したのはカクーンSPの方でした。これはもしかしたらスラッグゴーの代わりに使えるんじゃないかと期待したからです。というのも、スラッグゴーはフッキングがイマイチでした。よっぽどのカバーを狙わない限り、オフセットフックによるスナッグレス性能はちょっと過剰なのではと思っていました。少なくともオープンウォーターでは不要だと思えました。カクーンSPだったら、オープンウォーターで具合良く使えるんじゃないかと思ったのです。だからフローティングの方はあまり気になる存在ではありませんでした。

090113-1.jpg

当時はキャスパーというペンシルベイトが大のお気に入りで、とりあえず魚を釣るならトップはこれだけ用意すればいいとさえ思っていました。それくらい、キャスパーは私にも容易に動かせたし、それで本当によく釣れた。ただ、キャスパーの泣き所はベイトタックルでの扱いづらさでした。使えないことはなかったのですが、理想を言えばもう少し自重があれば申し分なかった。これはサイズゆえのものなので致し方ない部分でもありましたが、1/2ozクラスの「キャスパーマグナム」が欲しいなんて、本気で思っていました。

そんな時です。カクーンの存在を思い出したのは。幸い、開発担当者のT専務からも何個かいただくことが出来た。これならばサイズも丁度いい感じだと思いました。私の場合はトップオンリーではなくクランキングロッドなどでそのまま投げてしまっていたので、これくらいのサイズが欲しかった。が、カクーンはキャスパーのように私レベルの技量では、そしてクランキングロッドの流用などではそうやすやすと扱いきれるシロモノではなかった。ましてや、私のようにスナップを使ってルアー交換する人間だと、ダイビングばかりしてしまう。む、難しい・・・

それからしばらく、私の中でカクーンは封印されました。

数年後、ビデオロケの一員として駆り出された私は実際に羽鳥静夫さんが操るカクーンを目にすることになります。その動きは、私が操る時のようにギクシャクなんてしていなかった。時にのびやかに、実に生き生きと動いていた。朝のうちはトップウォータープラグに派手にストライクしていたものが、陽が上がるにつれて出が悪くなると自然とカクーンの出番が多くなった。事実、時に水面下にスライドダイブするカクーンはそんな状況下でも魚をヒットさせ続けた。

そうか、こういう時に使えばいいプラグなんだ。キャスパーとは全く用途が違うことに気が付いた。そして、このデリケートなプラグに滑らかな動きを与えるためには、しなやかで柔らかいロッド、8ポンドか10ポンド程度のライン、それを直結で使うこと。それが肝なんだと悟った。

ようやくカクーンを動かせるようになった私は四国地方のあるダムで、面白い経験をすることになります。初めての湖という事もあり、あちこちのポイントをエレキで周っていました。やがて大きなワンドに差し掛かりましたが、水は透明で底の様子までクッキリと見て取れた。そしてバスはおろかベイトフィッシュの姿さえも全く見えない。魚っ気がまるで感じられなかった。

当然、じっくり攻めるようなことはせず同船者とともにアップテンポに流していました。船上は、おそらくこのポイントは駄目だろうという雰囲気で、とりあえずサッと流してみようか、そんな感じでした。私もカクーンをロングキャストして探っていましたが、釣れそうな期待感というのは全くなかった。

しかしふと、カクーンが水面から消えたのです。それと同時に、バスマニックがグィーンと曲がった。ヒットでした。しかし、あらぬ方向に魚が走っていくのが見えた。けれどルアーをくわえた魚は違う場所で跳ねている。アレッ?と思いました。何と、ヒットしたバスにほぼ同サイズのバスが一緒に付いてきていたのでした。私にはそれがまるで、つがいだったように思えました。もちろん釣れたバスはその場ですぐにリリースしました。トップウォータープラグで釣れる魚はどれも記憶に刻まれていくけれど、この魚は特に思い出深い1尾(2尾?)になりました。

(つづく)
nice!(0)  コメント(2) 

nice! 0

コメント 2

Nishine

IKE-Pさん始めまして。
何時も楽しく拝読させて頂いています♪

今日、話題に登場されてたキャスパー。

僕も凄く好きなルアーで、琵琶湖のほとりに住んでいた頃は本当にお世話になりました!!

特に、バスが子アユや子ケタバスにロックオンしている時なんか、キャスパーでしか釣れない条件に遭遇した事もシバシバで、ホントにヤバイぐらい釣らせて頂きましたよ~!!(笑)

何が原因で、そんなに大きな違いになるのか僕にはワカリマセンが、サイズがマッチしているのか、超ハイスピードでドッグウォークさせた時に時々跳ねる様な動きが良いのか、とにかく沢山釣らせて頂きました♪

琵琶湖を離れた今でもたまに、スピニングロッドでキャスパーをバヒューンと投げたくなる時がありますよ~!!(今は最後の一個を無くしてしまったので無理ですが。泣)

初見にも関わらず長文スイマセン。(しかもカクーンの話でも無いし。汗)

これからも楽しみにしております!!
by Nishine (2009-01-15 04:47) 

IKE-P

昔、まだ琵琶湖でリリース禁止問題が勃発していなかった頃、スミスのトップウォーターセミナーというのを琵琶湖で開催していました。トップは苦手なのに何故か私もインストラクターにされてしまっていたのですが、キャスパーには本当に助けられました。

何気なく目の前のウィードホールにチャポンと落としたら、バスが真下から一気に上って来てキャスパーをバクッ!!なんて、トップウォータープラグへのヒットシーンを間近で見る事が出来たり・・・

思うところあってリリース禁止施行後には行っていないのですが、やはり琵琶湖は素晴らしい湖でしたね。

キャスパー、日本ですと中古屋さんで見掛けることも少なくないんです。カナダでは、入手方法ないですよね・・・
by IKE-P (2009-01-15 23:01) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。